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『FIELDOOR 雪下ろし棒』の実力

当地は、北海道の中でも豪雪地帯として知られている。
さらに山間部のため積雪は平地よりも多く、スキー場並みに2mを超える年もある。

というわけで、冬場はひたすら除雪作業に明け暮れることになるのだが、つらい作業の中でも「屋根の雪下ろし」は特に危険を伴う難題だ。

暖房している母屋(管理棟)の屋根の雪は自然に落下するからいいとして、同じ四寸勾配(21.8°)屋根の下屋についてはひたすら積もる一方で、なかなか落ちてくれない。

2025年1月3日撮影
屋根の積雪は概ね80cmといったところか
接続している右側のコンテナの雪は、この時点で1回下ろしている



屋根に積もった雪は、季節外れの暖気に晒されると一気に崩落するリスクがあり、非常にアブナイ。
下屋の屋根のサイズからして、積雪1mとすると体積はおよそ15立米となり、締まり雪の場合は7トン以上の重量になる計算だ。
こんな塊に直撃されたら、運がよくても大怪我、たぶん、高い確率で死ぬ。実際、毎冬、道内各所で雪下ろし作業による死者が後を絶たない。

もっとも効果的な「屋根の雪下ろし」は、屋根の上に登って、スノーダンプで削り落とすことだ。
ただし、この作業は、フラットルーフならいざ知らず、四寸勾配屋根となると、かなり難易度が高い。命綱、ヘルメットの着用は必須である。それでもめちゃくちゃおっかない。

昨年の同時期(2024年1月19日)撮影
昨年も今年同様「大寒」あたりに季節外れの暖気に見舞われ、下屋の雪が一気に崩落した
下にいたら、間違いなく埋まって死んでいる


そんなこんなで、これまで下屋については、落雪は暖気到来を待つしかないというお天気任せな状態だったわけだが、このたび、満を持して新兵器を投入した。

『FIELDOOR 雪下ろし棒』である。

『雪下ろし棒』の存在は、以前からYouTubeの動画かなにかで知っていたが、なんとなく半信半疑なところもあり、これまでついぞ手を出すことがなかった。
結論からいえば、もっと早く導入していればよかったと自らの優柔不断を悔やむばかりである。

さて。『FIELDOOR 雪下ろし棒』の実力について。
この手の『雪下ろし棒』の価格がのきなみ1万円を超える中、『FIELDOOR 雪下ろし棒』は税込¥5,940とかなりがんばった価格設定となっている。
北海道までの送料として ¥750 が追加されるのは惜しいが、このご時世、致し方あるまい。


「ぱっと見」の品質は、まあ、価格相応といったところか。特に、最も重要な『雪かきヘッド』の造作は、「ちゃちい」という表現が適当だ。
組み立ても簡単そうに見えて、ヘッドとL字のパイプの接合はかなり難易度が高く、プラ製のジョイント部をマイナスドライバーでこじりながら強引に差し込んだ。
一歩間違えば破壊してしまいそうだし、いちど組み立てたものをバラす気にはならないだろう。

また、延長棒が4本もセットされており、最長で660cmまで棒を伸ばすことができることを謳っているが、正直、実用的に延長は1本か、がんばって2本までがせいぜいで、それ以上は取り回しにかなりの筋力を要することになる。

ショップのサイトより
モデルさんがなんだか味わい深い。たぶん、北方系の中国の方か、モンゴルの方か…
これくらい屈強な体格なら、660cmまで伸ばしても大丈夫だろう


ヘッドに装着された『妖怪・一反もめん』のような『雪滑りシート』は、延長棒に合わせて5m以上の長さがあるにもかかわらず、そのシートの軸が雪をカットする仕組みになっているので、利用する都度、すべてを引き出す必要がある。
これはこれで取り回しが悪いので、使用する延長棒の本数が決まっているなら、それに合わせて余分をカットしてもよいかもしれない。

またヘッドの左端には、収納時に『雪滑りシート』を巻き取るための小さなハンドルが装着されてるのだが、軸の構造がお粗末なので、少しでも負荷がかかると空回りしてうまく巻取りができない。やはり、このあたりが価格相応というものか。

実際に操作してみると、積もったばかりの新雪に限っては「面白いほど」よく落ちる。真四角な白い塊が「すーっと」滑り落ちてくる様は、まるで豆腐をさっくりと切っているようで、ある種の爽快感すら覚える。

一方で、締まった雪にはまったく歯が立たない。途中で引っかかったりして無理に引っ張ると、落ちた雪が『妖怪・一反もめん』に絡まって身動きが取れなくなる場合もある。
あくまでも、降りたてほやほやの新雪に対してのみ有効と割り切るべきだろう。


実際に使用中
すでに締まり雪が50cmほどの厚みに達しており、残念ながら表層しか削れなかったが
それでも50cmほどは削減できたのではなかろうか
これで延長棒1本追加の状態。これくらいが使いやすいようだ


…という具合に、いろいろと不満を書き連ねてはいるが、条件付きとはいえツールとしては非常に有用なものであり、この機能がこのプライスで手に入るというのは実にありがたいことである。
あとは耐久性がいかほどか、というのが気になるところで、たぶん、雪のカッターを兼ねる『雪滑りシート』の巻き軸が最初にぶっ壊れるのではないかと推察している。

ちと気が早いが、次の積雪シーズンには『FIELDOOR 雪下ろし棒』を冒頭から出動させ、このツールのおいしいところを満喫しようかと思っている。





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