手を入れただけ自然は応える
荒廃した3haの農業放棄地の開拓を始めて、3年と少しの月日が経った。
昨年の5月からは、ここ赤井川村に定住し、コツコツと宿泊施設開業に向けての準備を進めているわけだが、あいかわらず日々感動するのが、植物たちの変化だ。
笹、イタドリ、ヨシ、ヨモギ、フキなど、凶暴な繁殖力をもつ『先駆植物』たちを根気よく駆逐し続けると、やがてシロツメクサやタニギキョウ、クルマバソウといったかわいらしい草花が芽吹くようになる。もちろん、これらの草花も生命力旺盛な雑草であり、放置すればどんどん巨大化して景観を悪化させていくので、引き続きマメな草刈り作業は欠かせない。
雑草たちが最も成長するのは、当地の場合、6月から7月初旬頃。その間は、それこそ悪天候以外はほぼ毎日草刈り作業だ。なにしろ敷地が3haもあるので、順繰りに刈って始点に戻ってみれば、もうすでにそこは雑草祭りになっているという有り様。まさにエンドレス。
幸い、盛夏を迎える頃には草たちの成長のスピードが緩むので、暑くなる前にがんばっておけば、あとはラクになるというもの。昨今、北海道でも30℃超えの真夏日が珍しくなくなってきたので、真夏の屋外作業はできるだけ避けたいところである。
このように、山の景観の保全のためにはかなりの労力がかかるのだが、植生が変わって、見違えるほどフレンドリーな雰囲気になると、その努力が報われたような晴れ晴れとした気持ちなる。
山暮らしは、ヒトと自然の共生を実感する日々でもあるのだ。