物の豊かさ.心の貧しさ
[豊かな日本 そんなに悩んで何処へゆく…]
欲望は食事に似たり…
腹を満たせば一時は癒やされるが.またぞろ腹が減れば.欲望の炎は燃え盛る.無常なもの…
生きる意欲から始まり.絶対に必要なものだが.執着すれば無明の闇を深め彷徨う…そんな無明の闇を晴らすのが.仏の教え…
欲望が満たされると楽を味わうが(小楽)…
欲望が少なければそれ以上に楽である(大楽)…
統一された精神には.この上ない悦楽がもたらされ.悦楽の中に智慧の悟り(大悟)は啓かれる.
煩悩の要求に幾ら応えた処で.更なる要求をしてくるだけ…
決して満たされる事のない底なしの欲望に翻弄され.心をを欲深く.不浄にしてゆくだけ…
逆にそんな心を抑制していってやれば.波立つ湖面も.やがて鏡面の如く鎮まり.心は次第に澄み渡り.何の為に生きているのか.真理を映し出す…
人間だけが具えている折角の高度な智慧を使えば.もう既に何十.何百.何千.何万の幸せを持っている事に気付けるだろう…
それは煩悩(存在欲)が主人の座に治まっている奴隷状態からの解放を意味し.下らない物事.つまらない物事.どうでもいい物事にも.捉われ.拘り.執着し.価値感を見出しながら.人格.精神性.器量.寛容.境地を貶め.それが為に心を貧しくさせ.貪欲と渇望の中に苦.不満.不幸.怒り.悲しみを造り出しながら生きてゆく事になる…
自分が既に.矜持する有り余るほどの幸せに気付き感謝し.奥深く味わう.心.豊かな者となれ…
現代社会の精神状況を評して[物の豊かさ.心の貧しさ]という表現もよく使われます…
これは未熟で無明な心が.常に満たされず.足りないものを追い求め.物質.所有への欲望に捉われる事を言います…
これは物質的豊かさを追求して多くのものを得た反面.精神的な面では多くのものを見失った事を意味しています…
一方.心が豊かな人とは.思慮分別があり.与える事の喜びを知り.一歩下がる心の余裕を持ち.感謝の心と.他人の愚かさを許し.慈しみながら.自らを高め.成長させてゆくもの…
人格.精神性.人間性.器量.寛容さ.人の質.次元.レベルを磨き.養い.育て.努め.励み.智慧と気付きにより堅固な幸せへと到達するのです…
兎角.無明で.愚かな.心の貧しい者達は.今.自分が苦しく.満たされず.不幸な原因は.所有物の所有量の不足だと.勘違いして.いるものです…
しかし真実は.無明で愚かで煩悩(悪業)が深いだけであり.煩悩の要求に幾ら応えた処で.更なる要求をしてくるだけであり.煩悩に翻弄されながら.折角の人の身として生まれた一生を.酔生夢死して逝くのです…
これが諸行無常のこの岸に留められ.輪廻転生してゆく因縁果であるのです…
また必要最低限の所有に留め.無一物の境地の実践こそが.仏陀も実践された如来への道…即ち.諸行無常のこの岸に繋ぎ留める輪廻転生の連環運動(因縁果)を断ち切る.成仏法でもあるのです…
◆持って逝くものと.置いて逝くもの…
感謝と歓びの中に幸せに生きてゆくか.欲望と自利への執着の炎に煽られながら.短命な喜びと引き換えに.多くの苦しみ.不安.不満や怒りに塗れながら.心を貧しくさせてゆくか…
要は.その人の持つ心の物差し(価値観)次第なのです…
それは本質的には便宜的.手段としての価値でしかない.まして今生に置いて逝く.所有の次元の事物(金.財.地位.名誉…)へ夢.幻が如き価値観を懐き魅入られるか.
例えばお金や財産を有り余るほど持っていても.満たされる事なく.不幸で意地汚い人は.掃いて捨てる程いますし.世間で言う処の地位や名誉.人身を極めたとしても.ほんの束の間の歓びに過ぎず.却って欲望は苛まれ.心を卑しくさせている下衆な人間も沢山居るものなのです…
洪水のように溢れ返る情報の海の中で翻弄され.例えば.最悪なのがyoutubeなどの類であり.無明で.未熟な者達が.したり顔で宣う単なる知識や情報が果たして本当に役立つのでしょうか…
無明なまま.無思考に生きている人には.論外に聞こえるかもしれませんが.堅固で安定的な真の幸せを得るには.人格.人間性.精神性.寛容.器量.境地.智慧(叡智)などの向上が欠かせないのです…
心の狭い怠惰な人とは.大概が.未熟で.偏屈.頑迷.短絡的.浅薄.感情的.感覚的で利己的な愚かな自分に.気付く事が出来ないものなのです…自分が今.幸せではないのは.くまた満たされて居ないのは.お金や物がないからとか.世間に認められないからとか.希望が叶わないからだと.大きな勘違いしながら.益々と心を貧しくさせながら自らを慰めているものですが.…
人格.精神性などを向上させて行くには.先ず自分の心の貧しさ(心の貧困)に気付き.目覚め覚醒し.乗り越え超越し.解き放たれ解放されて行かねば.この世界の無常法に翻弄されたまま.心の貧しさ(心の貧困)は深まってゆく事となるのです…
それは[物の豊かさ.心の貧しさ]とも言われるように.敗戦により何もかも失ない何もない世代が裸一貫から切磋琢磨して築き上げた世界に冠たる産業立国.日本.そしてそんな物の豊かな社会に育った強欲で利己的.自己中心的な我欲に翻弄された心の貧しい次の世代が.仏教で[転倒の善果よく梵行を壊す]と言われる如く.汎ゆる欲望に翻弄され.心の貧しさ(貧困)を深めてる今の日本の現状を見れば明らかなのではないでしょうか…
つまりは物質的豊かさを追求して多くのものを得た反面.精神的な面では多くのものを失ったことを意味しているのです…
◆渇愛
仏教では.欲望の背後には渇愛のような衝動があると考えられており.欲望を制御することが実践的なテーマとなっています…
渇愛には三種類があり.釈尊の教える真理を知らない状態であるとされています…
この無知を[無明]ともいい.迷いと苦の原因であると考えられています…
渇愛とは対象のものごとを貪ったり.執着することを指す.仏教においては中核的概念のひとつであり身体.精神的な[渇き.欲望.渇望.貪欲]を指しています…
◇欲愛 感覚器官により得られる刺激
快楽への渇望
◇有愛 存在する事への渇望
◇非有愛 存在しなくなる事への渇望
渇愛とは.苦と再生の因として現れる…
しかしそれは苦や輪廻の原因というだけではない.何故ならば全ての生じるものは相対的であり.何かに依存して何かが生じ.それを因として次の何かが生じているためであるのです…
仏典では苦の原因として.渇愛のほかにも.煩悩と述べている…
しかし渇愛は常に冒頭で取り上げられ.中核的なものとして認識され.苦の[もっとも明確で直接的な原因]だとワルポラ・ラーフラ師は述べている…
◆定義
【プラパンチャ】
戯れ言.能書き.空理空論.世迷言.形而上学的観念.綺麗事.フィクション.虚構…
【アガティ】
偏り.偏見.認知バイアス.思い込み.勘違い.欲目.邪見.固定観念.既成概念.錯覚.誤解.無知.無明.主観的.感覚的.感情的.洗脳(染脳).色メガネ【苦(ドゥッカ)】
不安定さ.不完全さ.苦しみ.悩み.憂い.難儀さ.迷い.心痛.嫉妬.憎しみ.恐怖.哀しさ.悔い.飽き.退屈.儚さ.脆さ.弱さ.空虚さ.惨めさ.実質のなさ.不満.怒り.不本意.無常さ.無念さ.無明.欲.渇き.マイナス思考など…
思い通りにはならない人生の絶対真理
【楽(スカ) 】
安定.安穏.安心.平安.満足.喜び.快楽.幸福感.静逸.潤い.慈愛など…
【所有の次元】
金銭.財産.物欲.地位.名誉.名声.称号.身分.異性.伴侶.家族.仲間.権威.権利.承認.理解.権力.勢力.威力.健康.長寿.若さ.知識.情報など
[所有物により.幸せになる.人生の目的物と勘違い.錯覚.妄想する短命で無常な小楽]
【存在の次元】
人格.人徳.精神性.人間性..器量.寛容.境地.賢明.智慧(叡智)