小さなトライを何度も何度でも
ポルトガルには、ナザレという世界屈指のサーフスポットがあります。
ときには100ft (約30m、10階建てのビルの高さ)の大波が立つ、ビッグウェーブの聖地です。
ナザレで大津波と同等の波に乗るため、世界中から命知らずのサーファー達が集まる大会が、「TUDORナザレ・トー・サーフィン・チャレンジ」です。
波が大きすぎて、人間のパドル力では到底波をつかまえることは出来ないため、ジェットスキーで牽引してもらって波に乗る、ビッグウェーブイベントです。
海の最深部が5kmあり、全長230kmのナザレ海谷が、巨大波(スウェル)を生みだしています。ナザレは深い海峡の先端に位置しており、その海峡が北大西洋のスウェルを一カ所に集め、高さ30mもの海水の山脈を作り出すのです。
ここには、アイコニックな赤い灯台があり、そこから巨大波を見下ろすことができます。
冬の巨大波がやってくる日に、再び訪れてみたいと思います。
今回は、“小さなトライ”、物事を進めていくうえで、根底の話をしたいと思います。
近年、ネイチャーフォトグラファーとしては、年1冊のペースで写真集を出し、お店は年に1店舗のペースで新規出店するようになりました。2015年から2025年の10年間は、それまでの10年間とは進むスピードが何倍も違ってきています。
これは、一つ良いPJ(プロジェクト)が生まれると、そこから派生して次の企画が出てくるので、それを精査しながら、一つ一つ作っていくループに入っているからで、特別にすごい事をやってるわけではありません。
全てが成功しているわけではなく、上手くいっているものと、まだまだのものがあります。上手くいくというのは、人やアイデア、資金に時間、競争相手や環境、もちろん能力など様々な要素が加わり、その時のタイミングも重なって上手くいくのです。
売上が上がり、経営的に上手くいけば、それは嬉しいことですが、まだ利益が出ていないからといって、ダメだというわけでもありません。
例えば、ピカソは多作が有名で(バルセロナでのピカソ美術館の影響か)、15万点にも及ぶ作品を生み出しています。
今でも画家といえばピカソと言われる存在になっている裏側には、15万点もの膨大な作品があります。全く人目を見ない作品もたくさん存在している、いやほとんどが誰も知らない作品なのです。
PJを成功させるには "能力" も必要ですが、“運” も必要で、それはタイミングとも言い換えられます。
この文章を書きながら思ったことですが、多くの人は、人生は数回の大きな選択で全てが決まっていくと、知らないうちに刷り込まれているのではないでしょうか?
成功するかしないかは、結局 “能力” なんだよ、みたいな捉え方をしているのではないか??、と。
就職や結婚、マイホーム、転職、独立、お店を出す、等々。人生は、大きな一つの選択や決断が大切、と捉えているのではないでしょうか?
もちろんそれらの一つ一つは大切な、大きな決断なのですが、僕は、間違ったらやり直せばいい、と考えています。人生は思っているより長いし、小さなトライをたくさん繰り返した方が確率が上がるだろうな、と。
だから、自分の意見を発言することや、何かを始めることをそこまで大きく意識したり、何かに囚われたりしてはいなく、ピカソに学んで、なるべくたくさんの事をやっておいた方が、失敗もあるが大きく成功する事もあるだろう、と考えています。
家族で海外に移住する時も、上手くいかなかったら帰ってくればいいし、やれるなら今のうちにやってみよう、と考えていました。
その結果、子供達は僕とは全く違う環境で育っていますし、僕も知らない世界を知ることができ、とても楽しいです。
もちろん大変な事はたくさんあります。時には人種差別を受けることもありますし、語学や、外国での暮らしへの対応、子供達の日本語教育、医療や保険などなど、あげればキリがありませんが、それはトレードオフなのです。
大変な事を、面倒だからと何も動かない人生よりも、大変な事もそれはそれで受け入れ、その後に色々な事を楽しむ人生が好きです。
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