たてよこのあれこれ #08
夜の雁木通りは暗い。一部素敵な照明が設置されている区間はあるものの、ほとんどの通りは電柱の街灯のみだ。住居は縦に長細く、主な生活スペースは建物の真ん中あたりにあるので、外まで光が漏れてこない。本当に人が住んでいるのか、そう思うことすらある。
たてよこ書店の営業時間は21時まで。日没以降、通りで明かりがついている場所は他にない。真っ暗な通りにポッと一軒だけ明かりをつけている。
7月4日。「たてよこ夜話」というイベントを初めて開催した。20時に集まって、夜の古本屋さんでじっくり話をするというイベント。終わりの時間はとくに決めていない。気の済むまで。
文化的な時間が欲しかった。夜の古本屋さんに集まって、テーマも決めずに流れのままに言葉を紡いでいった先に何か生まれるものがあるのではないか。何か生み出そうとして生み出すのではなく、話を重ねていく中でじわじわと生み出されるような、そんなイメージだ。したがって、たくさんの種類の言葉が欲しい。似たような志向を持った人の集まりではなく、様々な背景、経験、考えを持った多様な人が集まり、それぞれの言葉をそこに置いていくことで何かが醸成されていく。そうやって醸成されていった何かを、いつか形を持ったものとして世の中に提示できたらいいなと思っている。
『カフェから時代は創られる』という本がある。その本によると、
20世紀初頭、まだ世の中の異端者であったピカソやヘミングウェイ、サルトルをはじめとする若者たちはカフェに集まり、同志やライバルとの出会いをきっかけに時代を切り拓く存在になっていったという。
「カフェ」をそのまま「本屋」に置き換えてみたらどうだろう。
「本屋から時代は創られる」
なかなかしっくりくるのではないか。
本屋から
「時代は創られる」
「まちは創られる」
「文化は創られる」
「人は創られる」
かっこつけているようだけど、本気でそう思っている節はある。
そんな場所になるように頑張っていこう。
てなわけで、8月も「たてよこ夜話」を開催します。
ぜひお越しください。