たてよこのあれこれ #10
このnoteは、新潟県上越市にある「たてよこ書店」という小さな書店の店主によるnoteです。『たてよこのあれこれ』と『店主のひとりごと』という2つのマガジンを更新しているのですが、『たてよこのあれこれ』では、たてよこ書店を運営するなかでの”あんなこと”や”こんなこと”を書き溜めていきます。主にお店に関わることが多いです。
『店主のひとりごと』はこちらからご覧いただけます。
灼熱の8月中旬。「たてよこ書店公開工事」を開催しました。
今年はほとんど雨が降らず、カラッカラの夏でしたね。「でした」って過去形にしましたが、多分まだ現在進行形。9月に入っても暑い日が続いています。
8月の公開工事では、たてよこ書店の母家と渡り廊下で繋がった離れの建物をアスレチックとモノづくり工房に作りかえるという作業を行いました。
きっかけはというと、建築を学ぶ友人の「アスレチックをつくりたい」という一言から。
規模の大小はあれど、自分で事業を進めている人ってたくさんアイデアは持っているし、常に考えていると思うんです。「こうしたらいいかな」とか「これおもしろそうかも」ということはたくさん考えていても、何らかの理由があって実現していないだけなんですよねきっと。わかりやすいところだと、そのアイデアに出せるまとまったお金がなかったり、マンパワーが足りなかったり、よく考えてみたらちょっと違うなって答えに行き着いたり、いつかやりたいけど今じゃないなって思ったり。
僕もたてよこ書店をどうアップグレードさせていこうかなとか、建物全体の活用をどう進めていこうかなとか、こういう使い方したらおもしろそうだなということを色々考えてはいました。ただ、「アスレチック」というのは全く頭に無かったんです。
近くに小学校があって子供たちは毎日お店の前を通るし、アスレチックに最適な離れの建物があるし、何より自分の頭では出てこなかったアイデアだったので即決でした。それが今年の春のことです。
それから彼に現地に来てもらって、建物を見てもらい、設計スタート。定期的に打ち合わせをしながら、計画を進めてきました。そして8月中旬にいよいよ工事がスタート。
公開工事ということで、地域の方も参加してくださいました。書店のお客さんや近所にお住まいの方、ずっと気になっていたけどお店に来るタイミングを逃していた方などなど。さらに地元新潟県内の大学で建築を学ぶ大学生もほぼ毎日作業を手伝ってくれました。
新潟では7日間連続猛暑日を記録する灼熱の中、9日間毎日10時間作業を続けてなんとか完成。最後の3日間ほどは、近所の子供達を中心に自由にペイントしてもらう期間を設けました。刷毛やローラー、筆にスポンジ、手足なども駆使して自由にアスレチックを塗りたくってくれました。あとは、僕が細かい調整を行なって正式にオープンさせれば良いという状態です。
何より嬉しかったのは、今回のプロジェクトのプロセスです。
自分以外の誰かの「〜したい」が起点となって、いろんな人を巻き込みながら進めていく形。今回は設計や建築の専門的な部分は彼に任せつつ、お金の面は助成金なども使いながらなんとか僕が工面するという進め方でした。実際の工事には本当にたくさんの方々にお世話になりました。工事を手伝ってくれた方や端材を提供してくれた知り合いや建材屋さん、飲み物やアイスなど差し入れを持ってきてくれた方、興味を持ってのぞきに来てくれた方などなど。
現時点での事業規模では、誰かに正式な仕事として発注することができません。それに、何となくお願い「した側」「された側」という関係で物事を進めていくのが嫌な自分がいることも事実です。
できることならば、コンセプトややっていることへの共感、そして関わる人それぞれの主体的な姿勢をもとに「一緒に作っていく」ということをやっていきたいなと思っています。
次は、ずっと古着屋さんを開くという夢を持っていた方と一緒に、お店を作ります。2階のフロア全てを使い、古着屋さんのみならず、小規模でいろんなお店が出店できたり、イベントスペースやギャラリーとしても使えるようなクリエイティブな空間にする予定です。
自分で物件を持つほどではないけど、小さいお店をやりたいという方、自分の作品を展示したいという方、短期間でポップアップをやりたいという方、トークイベントなどを開催したいという方などなど、何か「〜〜したい」という気持ちがある方、ぜひお気軽にご連絡ください。