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「ひとりひとりのことを分かってつくれるのが家庭の味。だから家庭の味って大切ですよね。」
ひとりひとりのことを分かってつくれるのが
家庭の味。
いくら素晴らしいシェフでも
ひとりひとりのお客さんの
健康、精神状態はわからない。
それが作れるのがお母さん。
だから家庭の味って大切ですよね。
土井勝
我が家は父がまったく料理をしないので、もっぱら母がごはんを作っていたけど、まさにひとりひとりのことを分かって料理をしてくれていた。
誕生日などの特別な時には、家族が好きなメニューを選んでくれたり、好きなものを多めに作ってくれたりした。
家族に体調の悪い人がいると、誰かがカレーや麻婆豆腐が食べたいと言っても、「刺激の強いものを避けよう」といって、そういうメニュー以外のものを作ってくれていた。
帰省の時には必ず「何が食べたい?」と訊いてくれる。
親元を離れて帰省した時に知ったのが、目玉焼きの焼き加減を子どもたちの好みに合わせて作っていたこと。
それぞれの好みを把握していることにまず驚いた。
私は出されていたものをおいしいと食べていただけだったので、他のみんなも同じものを出されていると思っていた。
でも、帰省して母が料理するのを手伝っていると、「あの子は固めが好きだから・・・」と作っているのを知って驚いた。
「母親ってすごいな」と感心した。
母は仕事もバリバリこなしながら、趣味も多い。
父が外食があまり好きじゃなかったこともあり、忙しいのにほとんど手料理を作ってくれていた。
料理好きな人に言わせると、母は手の込んだものは作っていないのかもしれないし、手抜き料理が多いのかもしれない。
でも、私たち家族は手抜きをされてるとも思わなかったし、おいしいと思っていたし、何の不満もなかった。
自分も仕事をする立場になってからは、毎日仕事を早く切り上げて料理していた母は尊敬する。
そんな母を持ちながら、私は料理が苦手だ。
レパートリーがなかなか増えないし、そもそも人に振舞う自信がない。
逃げてばかりだから腕も上がらない。
ひとりひとりのことを分かって作れるようになるためにも、まずは自分で作ったものを人に食べてもらうことに慣れなければ。