
「アドバイスしたければ『悩んでるところある?』と聞く」
誰かから企画のアイデアを恐る恐る打ち明けられたら、「うん、面白いねー。このあたりが面白いよ。で、ここはどうなってるの?」というように返してあげると、きっとその会話は、新しいものを育てる会話になるでしょう。
聞いていて、より良くなるのではないかと思い、どうしてもアドバイスをしたくなったらどうすればいいでしょうか。おすすめは、「悩んでいるところある?」と聞いてみて、そのポイントについて、「自分は、○○というふうに受け取ったよ」と、自分がどう感じたかを最初の読者として伝えることです。「あなたは○○すべきだと思うんだよね」、ではありません。
どんなにつまらないように見えるアイデアでも、ひとつだけでも面白いところを見つける訓練をしてみてください。
佐宗 邦威
(戦略デザインファームBIOTOPE代表)
アイディアを初めて誰かに打ち明けるのは、とても勇気がいる。
「くだらないと思われるかもしれない」
「無駄だと思われるかもしれない」
「頭が悪いと思われるかもしれない」
「こんなことに時間を使ってたのかと思われるかもしれない」
いろんな不安や恐怖を感じる。
だから、打ち明けた時の相手の反応が良いと、とても嬉しくなる。
少し前に、ミーティングで「こんなことを考えている」とアイディアを出したけど、さほど反応はなかった。
否定されたわけではないけど、肯定されたわけでもないので、「そんなことに時間割かないで、他の仕事してよって思われてたらどうしよう」と不安になった。
でも先日、それを形にしてみて、後輩に見てもらうと、「すごいですね!」と褒めてもらえた。
相手が後輩だろうが、やっぱりドキドキした。
相手の反応って、声のトーンとか表情で、本気かお世辞か何となく伝わってくるけど、その時の後輩の反応は、本当に「すごい」と言ってくれていたと受け取れたので、本当に嬉しかった。
「作ってよかった」と思った。
同時に私も、他人からアイディアを打ち明けられたら、丁寧に対応しないといけないなと反省した。
特に「つまらないな」「使えないな」と感じた時には。
つい、「ちょっとこれは…どうかな」と言ったり、その理由を説明したりと、アイディアそのものに対するコメントをしてしまう。
その人を否定したいわけではなく、きっと上司も反対するだろうから、「その前に止めておかないと」とか、「改善してから上司に見せるようにしてあげないと」と思って改善策を提案してしまう。
でも、「自分がそう言われたら?」という視点が欠けているな。
自分なりに考えたんだから、100%使えないものでもないはず。
「これでいい」と出してきたんだから、こだわりもあるはず。
その良さを見つけることや、こだわりを見抜くことは、私が身につけないといけないスキルだと思う。
だから、「おもしろいね」と言ったり、質問して興味を持つ姿勢を見せたりすることで、その人の考えや思い入れを聴くことが必要になってくる。
改善した方がいいと相手に伝えたい時には、「悩んでいるところある?」と訊くことと、自分がどう感じたかを伝えることは、使えるテクニックだなと思った。
実際に、相手から「実はここが引っかかってるんです」と話し始めてくれる時は、このテクニックが使えていたんだろうな。
お互いにとって建設的な会話にするために、「おもしろいね」と反応し、「悩んでるところある?」と訊くテクニックを身につけたい。
反射的にそういう反応をするためには、まずは丁寧に意識することを積み重ねていかないといけないな。