
第15回インタビュー「パート主婦/二世帯住宅」2020/6/4
<まえがき>2020年2月27日、政府から突然発表された「公立小・中学校の休校」。連日増加を続けていた新型コロナウィルス患者数に不安を感じていた保護者のみなさんにとっては、ホッとするとともに「週明けからの勤務はどうすれば…」という戸惑いや混乱も感じる出来事だったのではないでしょうか。未就学児や低学年など、1人で留守番させるにはまだ心もとない年齢のお子さんを抱える家庭では、この問題をどう乗り切ったのか。パート勤務と育児を両立させている主婦の方にお話を伺いました。
突然の学校休校…最初に思ったのは「子供のお昼ご飯をどうするか」
―どんなお仕事をされていますか。
フルタイムのアルバイトです。二世帯住宅で祖父母、主人と子供と暮らしています。
結婚前まではアパレル会社の正社員として、企画・広報を担当していました。結婚後、妊娠・出産を経て専業主婦に。はじめは慣れない育児に追われ、毎日があっという間に過ぎていきました。子供が少し大きくなって手がかからなくなってくると、「外で働きたい」という思いがウズウズしてしまって…。実家を二世帯住宅に建て替え、両親と同居することになったのを機に、最寄りのターミナル駅にある全国チェーンのパン屋さんで、接客販売のパートを始めました。子供が幼稚園の頃は「午前中・数時間」を週2日だけ、小学校に入学してからは「9:00~16:30」を週4日、勤務しています。今年で7年目になるのですが、早番シフトのパートリーダーとして、新人さんの教育やレジの中間締めなど、責任のある仕事も少しずつ任せてもらっています。
―コロナ以前と比べて、どんな変化がありましたか。
「え、子供のお昼ごはんどうしよう」
私の住む地域は都心ほど感染率が高くありませんでしたが、それでも、結構早くから感染対策をしていました。ニュースは毎日欠かさずチェック。職場であるお店でも、2月半ば頃にはレジやトレイ・トングの消毒を徹底していました。それだけに、突然、発表された小学校の休校には、「え、マジで?」と。準備期間が短かったこともあり、かなり戸惑いました。パートとは言え、ほぼフルタイムでの勤務です。1ヶ月前に決まっているシフトは、急に変更できるものではありません。これまで長期休暇の際には学童保育を利用していましたが、この状況下では不安もありました。幸運だったのは、我が家が二世帯住宅だったこと。何かあっても、祖父母が近くにいるので安心です。子供と話し合い、自宅で留守番させることを決めました。「長時間1人で過ごすのは寂しがるのでは…」と心配しましたが、意外とケロッとしていて。小学4年生になると、こんなに成長するのか…と驚きました。問題は、毎日のお昼ごはんです。出勤前に用意していくことにしたのですが、これが慣れるまではかなり苦痛で。母親としては情けない限りなのですが(笑)。職場の上司には「実の親との同居なんだから頼めば?」と言われましたが、実の親だからこそ頼みづらいもの。「たまに」ならまだしも、いつまで続くか分からない「毎日のこと」です。遠慮がない分、険悪になることが目に見えていたので、ここは自分で頑張ろうと思いました。5月から主人の仕事がリモートワークになり、お昼ごはん作りを任せられるようになった時には、心の中でひそかにガッツポーズをキメました。最近では私たちの頑張りを見て、時々母が夕食を用意してくれるように。最初から頼らず正解だったなと思っています。
3月に入ると、職場にも少しずつ変化が
最初の大きな変化は、商品が個包装化されたこと。調理担当のスタッフだけではなく、接客をする私たちも協力して1つずつ個包装し店頭に並べています。また、イートインスペースが閉鎖され、テイクアウトのみの営業になりました。食品を扱う仕事ですから、今までも衛生面の管理は徹底していましたが、より一層強化されました。こまめな手洗い・手指の消毒に加え、1時間ごとの体温チェックも義務付けられています。営業時間は11:00~19:00に短縮。首都圏では休業する店舗も多いと聞き、改めて現状の厳しさを実感しました。ただ来店するお客様の数に、それほど変化は感じません。スーパーマーケットのような混雑はありませんが、むしろ今までよりも来店される方は増えていますね。食パンやバゲットなどの食事パンよりも、サンドウィッチのような惣菜パンが売れているのは、リモートワークをされる方が増えたからかもしれません。
―これから業界(世界)は、どう変わっていくと思いますか。
学校生活の再開には、喜びも不安もありますね
長かった春休みがいよいよ終わり、学校では6月から分散登校が始まりました。「ようやくか」という安堵と同時に「大丈夫なの?」という不安もあります。ただ、子供は久しぶりに友達や先生と過ごせることが楽しみでしかたない様子です。夏・冬休みの短縮をはじめ、これからの1年間は、イレギュラーなことばかりで落ち着かないかもしれませんが、少しでも学校生活を楽しめるよう、親としても全力でサポートしていきたいと思います。
店員もお客様も、お互いを気遣いあえる関係に
どこの職場もそうかもしれませんが、今はコロナの影響で、神経質にならざるを得ません。それだけに、嫌な思いをすることが時々あります。手に取った商品を棚に戻すという行為を繰り返されていたお客様へ、「申し訳ありませんが」とご注意させていただいた際、「何が悪い!」と上司を巻き込むトラブルになったこともありました。店員がつけているマスクを譲ってくれとおっしゃる方、ソーシャルディスタンスをお願いしても聞いてくださらない方etc.ほとんどのお客様は、お互いを気遣いながら行動してくださるのですが、中にはそういう方もいらっしゃいます。今後も今までと同じ生活に戻ることは難しいと私は感じています。買い物の際の価値観や距離感も今までとは変わっていくのでしょう。だからこそ、それぞれの立場を気遣うことが必要になるのではないでしょうか。「客だから偉い」「店員だから何でもする」のではなく、自分にも他人にも優しい関係を築いていけるよう、まずは自分自身から日々の生活を見直していきたいと思っています。(Yさん/食品店パート勤務主婦)
マスクの向こう側では取材対象者を募集しています。
「コロナの影響でダメージを受けた」
「コロナをきっかけに、こんな変化が起こっている」
「業界としてこういう課題を抱えている」
職種にとらわれず、家事・育児等でも何でも構いません。
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可能な限り取材いたします(オンライン・1時間程度)。
※対象者の氏名等、個人情報は基本匿名にします。
【連絡先】
masukunomukougawa-2020@yahoo.co.jp
コロナ前後で大きく世界は変わると思います。1年後、5年後、10年後、あの時、何があったのか」をしっかり振り返ることができるように書き残していきたいと考えています。フォローしてもらえるとすごく嬉しいです。twitterもやっています。
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