なぜ地球惑星科学者が教育事業を始めたのですか?というFAQへの回答
タテノイトをはじめた私たちは大学や国立の研究機関で教員/研究員として従事していました。何が専門かと言うと、地球惑星科学です。(私たちのプロフィールはコチラ。
『どうして、地球惑星科学者が教育事業に転身したのですか?』
というのは、この5年の堂々一位に輝くFAQネタです。その回答を書きます。
科学者って何やってるの?
科学者が日々、何をしていて過ごしているかを知っていますか?
僕の専門から近いみなさんの分野のみなさんの例を書きます。
まずは日夜、論文や教科書を読みまくっています。
分野や興味によって研究手法は多岐にわたりますが、
世界の果てに石を採りにいく。
深海に潜る。
太陽系の外の惑星たちを観測する。
誰もつくったことのない装置を開発して分析する。
計算機の中で地球の歴史を再現してみる。
実験で地球内部の温度圧力条件をつくり出してみる(←コレが僕)。
などなど。
何かしら結果が得られると学会で発表して、他の研究者と議論し、最終的には国際誌に論文を書いて発表します。時には専門分野外の研究に触れて、分野を越えた共同研究にも発展したり。さらに研究費を取るために申請書を書く作業も年がら年中やっていて、けっこう執筆業だったりもします。
なんでこんなことをしてるんでしょうね(笑)。それは…
この謎に満ちた世界、
その自然の奥に潜む真理を
明らかにしたいんです。
例えば僕の専門分野だったら
「地球の中はどうなってるのかなぁ?」
「地球はどうやってできたのかなぁ?」
なんてことをいい大人が真面目に議論してるんですよ笑。
科学者を突き動かしているもの
なんでこんなことしてるの?と不思議に思うかもしれません。では、何が科学者を研究に駆り立てているんでしょう?
それは...
「知りたい」
という情熱です。これだけです。本当に。これさえあれば、途中の過程はめちゃくちゃ楽しいんです。
研究生活は本当に楽しかったです。何年もかけた苦労の先に、この世界で自分にしかできないことをなし得たり、世界初や世界一とか、なかなか経験できるもんでもないことを経験できて、僕の人生は間違いなく輝きました。そして、周りの研究者仲間もなんだか輝いてるんですよね。退官して一線を退いてもなおキラキラしている大先輩もたくさんいます。
この人を輝かせるこの素晴らしい営みって、科学者だけのものなのでしょうか?
いえいえ、子どもだって、いや、誰だって探究心はあります。
赤ちゃんだって、この世を理解しようと一生懸命這い回って、実験の連続。これも知りたいという探究心。
人は誰だって探究心を持って生まれてきているんです。
学びのあるべきのカタチ
「知りたい」
これを越える学びのモチベーションはあるでしょうか?自分で課題を見つけて「知りたい」をモチベーションに突き進む。これこそ、学びのあるべき姿なんじゃないか。学びは与えられるもんじゃない。そんな風に思いました。
では、「知りたい」のきっかけは、一体どこにあるのか?それは普段の生活の中に、そして自然の中にいくらでも転がっているんです。
この世界は、算数、国語、理科、社会といった人間が作った分類で、分けられるものではありません。
日常の中から「知りたい」につながる「なんだろう?」に出会う環境を整える、そして「知りたい」が見つかったら自走する学びに伴走する、これが大人の役割なんじゃないか。
これこそが、子どもが自発的に学び、そして輝く人生を送るための教育なのではないか。
そんな風に思うのです。ただ、これもまだ仮説。この検証と実践の場として立ち上げたのがタテノイトです。
こんな風に、これも研究している感覚なので、
なぜ、地球惑星科学から教育へのジョブチェンジを?
と思われがちですが、ちょっと研究対象を少し越境したくらいな感覚です。
「研究者は職業ではなくて生き方」
そんな風に尊敬する友人言っていましたが、まさにそんな感じです。
だからまだ研究者をやっています。
タテノイト代表
舘野繁彦