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【無料】あと164日:シバハマラジオ
12月19日
まもなく入門して丸8年を迎える2018年の夏の初め。文化放送の方からナイターオフ期間中のラジオ番組のオファーが届いた。聞けば火曜から金曜の四日間を落語家に任せる企画とのこと。「そのうちの1日をやりませんか?」という話だった。ありがたかった。どう考えてもメディア関係の仕事の場合、自分はテレビよりラジオの方がまだやれることがある気がしていた。
こしら兄さんが先に決まっているとのことで、立川流に2枠任せることはちょっとバランスが歪だから悩まれたそうで、もちろんこしら×吉笑の立川流ペアに1日任せる、というのは普通に考えたら浮かぶ案だけど、既にこしら兄さんだけ真打だったことで、唯一1人の枠でゴーすることになり、その上で、立川流濃度が若干高まるけど僕にもお声がけいただけた。どの活動がオファーに繋がったかはわからないけど、現在落語論を出版したり、デザインあにで出たり、とあれこれ動いてきたことをきっかけに見つけてもらったのだろう。だから仕事のオファーが届いたとき、それは過去に自分からの贈り物だと思うようになった。そして、未来の自分に良い機会を贈れるように今を頑張らなくちゃなぁ、とも。
最初の打ち合わせで「どなたと一緒にやりたいですか?」と聞かれた。自分を軸に考えてもらえていることが嬉しかった。瞬時に鯉八兄さんと笑二の顔が浮かんだ。笑二となら笑いのリテラシーの足並みが揃っているから、毎週しっかり面白いエピソードトークをぶつけあうストロングスタイルの番組が出来そう。鯉八兄さんは僕には皆無の愛されキャラクターを持ってらっしゃるからバランスは良さそうだし、それ以上に近くで見ていて出役としての地肩の強さにずっと惚れ惚れしていたから、一緒にやらせてもらったら点取屋として絶対的に信頼できるなぁと思った。
どちらとやることになっても自分としては楽しみだったけど、立川流の濃度をこれ以上増やさないことを判断されたのか、結果は鯉八兄さんと番組を始めることになった。決まった時は嬉しかった。
たくさん思い出があるのは全身全霊をかけて挑もうとこれまで以上の熱量で番組と向き合うことにしたから。いくつか忘れられない思い出の中で、一番すぐに浮かぶのは年明け直後だったか、とある出来事で苛立った僕が制作チームに向けて大立ち回りをしたこと。青臭いけど、全身全霊かけようと思った僕は本当に生きるか死ぬかくらいな熱量で向き合うから、芸人として自分が死ぬかも知れないと思ったとある出来事に関して「そうなるくらいなら譲らずに自分のやりたいようにやるから、クビにしてもらって結構です!」と啖呵まで切った。「売れてない若手が何を言ってるんだ」と一蹴されて当然だけど、それでも譲れないものはあると本気で思っていた。自分でも過剰だし不器用な生き方だなぁと思ったけど、そういう思いはいまだに内に秘めている。
よく僕のことを戦略的で器用にたち振る舞うやつと評価する人がいるけど、こんな奴のどこが器用だというのか。極端なチョイスをせずに程々な位置で落着した方が得だと分かっていても、これをすると芸人の自分が死んでしまうと思う一線を超える時は、徹底的に抗う。そんなに数は多く無いけど、これまで3つはそういう大立ち回りをした。3つのうち2つは自分とは格が違いすぎるメディア関係の大企業相手だ。いらない美学やプライドなのかもしれないけど、多分それも含めての僕だから死ぬまでついてまわると思う。
結果的にシバハマラジオはそんな僕の青臭い熱量もしっかり受け止めてくださって、最高のチームだった。白石P、青山D、作家の八木さん、スタッフの小谷さん、みなさん戦友だと思っている。