【無料】あと206日:落語ディーパー!
11月7日
今の自分にとってテレビでの一番大きな仕事は『落語ディーパー』になるだろう。調べたら2018年10月に初回が放送されたと書いてある。入門して丸8年のタイミングだ。
一之輔師匠と落語好きな東出さんのダブル司会。そこに若手として二ツ目の小痴楽兄さん・わさび兄さんがキャスティングされるとして、最後の1枠が自分になったこの幸運たるや。普通に考えたら新作もやられるわさび兄さんと僕とは少し属性が被っている気がしなくもない。バランスのために立川流からキャスティングするとして、もちろん他の先輩が候補挙がってもおかしくない。そこで自分を選んでもらえたことは僕の落語家人生において本当に大きかった。落語ディーパーで存在を知ってもらった方は他の番組に比べて群を抜いて多い実感がある。ここもたぶん現在落語論を刊行していたことや、それに付随して色々な露出が若手の中では多かったことが大きい。
表向けの発信を増やすと、もちろん逆風も強まる。特に保守的な業界に属しているから一定数の同業者や愛好家から色々と揶揄される。今でもそうだけど、当時は今以上にそこまで自分の境遇が恵まれていたわけじゃないから、そりゃ嫌なことを言われたり、陰口を耳にすると辛い。「有名税みたいなものだ」と言われたことがあるけど、そりゃ売れてしっかりリターンがある状態だったらそこそこの揶揄は受け流せるだろうけど、こんな現状なのに色々揶揄されるのは流石に税率エグくないですか?と思っていた。
でも、今から振り返るとあの時に現在落語論を刊行して、とにかく自分の道を躍起になって駆け抜けたおかげでよかった。こうしてこれまでご縁をもらった仕事を振り返っていくと、揶揄されることを怖がって前のめりな発信をせず、安全圏で気持ちよく活動していたら、決して自分には声が掛からなかっただろうと思うから。そして今では、師匠がCDのブックレットに寄せて下さった「吉笑は出る杭だ。」から始まる文章の「誤解や摩擦、軋轢を怖れるなら、目立たず静かにしていればいい。しかし出る杭は、そうはいかない。打たれれば痛いけど、仕方ない。」という言葉がいつでも背中を支えてくれる。
話は逸れたが落語ディーパーに僕を呼んで下さったのは談志師匠の「落語のピン!」もやられていた今野プロデューサーだ。その少し前に、イクイプメン時代のご縁でEテレの特番に出演した。それも今野さんの番組だったのか、現場にいらして、そこで久しぶりに挨拶をさせてもらった。その時に僕の印象が上書きされて、キャスティング会議の時に顔が浮かんだのかもしれないことを考えると、あらゆるご縁が繋がっているなぁと実感する。落語ディーパー、またやりたいなぁと強く願っている。