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【無料】あと223日:連雀亭、卒業!

10月21日
 長らくお世話になった連雀亭の定席は今日で卒業となる。真打昇進までもう少し時間はあるけど、今はメンバーが増えてしまい加入待ちの後輩たちが一定数いるということで、自分としては残って少しでも集客などに貢献しても良かったし、枠を譲っても良かったしどちらでも良かったのだけど、結果枠を後輩に譲ることに決まった。それでも弟弟子の笑えもんはまだメンバーに加われないくらい人が増えているようだ。
 確かに自分よりも特に二ツ目なりたての後輩の方が連雀亭があることで助かることは多い。特に立川流は寄席が無いし先輩の数も協会に比べるとぐっと少ないから呼んでもらえる仕事量も少ない。とにかく自分の軸の会を毎月ペースで動かして、そこを大きくしていけるように頑張るくらいしか、あとは神頼みに近い形でたまに届く落語会からのオファーを待つくらいしかできなかったりする。
 そういう意味では自分はついていたと思う早いタイミングで二ツ目に昇進したおかげでのちに成金ブームを巻き起こす先輩方と横並びで活動することができた。独自性の強いスタイルだったことで食い合わないから、それによって呼んでもらえる仕事も色々あった。そのタイミングで連雀亭やシブラクなど若手を押し出す会が同時期にいくつか立ち上がって、「立川流からは誰を顔付する?」という会議では大体のシーンで名前を挙げてもらえる位置をキープできていた気がする。あの頃は毎月のかわら版の後ろの方の索引のところで、自分の稼動日が3段あることもままあって、それが誇らしかった。最初は2段になって喜んでいたのが2014年頃からは2段は当たり前、気づけば3段になっていることも少なくなくて、この調子だと思っていた。そういえばそんなパロメーターを気にしなくなってもう数年になる。
 当初は凄腕の先輩方と一緒になることが多かった。そこで爪痕を残そうと一番下の立場から虎視眈々とその日の一番ウケを狙っていた。返り討ちにされたこともたくさんあった。ちょっとはチヤホヤされ始めても、特に平日日中の集客力なんて本当に心もとなかったから、「あぁちょっと大きな仕事が舞い込んで浮かれていたけど、自分の価値なんてまだそんなもんだよなぁ」と痛感させられる機会でもあった。あまり一緒にならない方の高座を聴いて、正直「あぁ、自分はまだちゃんと戦えているなぁ」と自信になることもあった。
 とにかく連雀亭があったことで随分と救われたことがある。それに夜の勉強会はこれからも続けさせてもらえることになっている。この設備で、この金額で会をやれることが若手にとってとてつもなく後押しになっていることはこの1年ほど大阪で定例の勉強会を始めてみてより強く実感することになった。江戸落語の若手は恵まれているぞ!

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