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【無料】あと142日:尊厳
1月10日
太福兄さんが末廣亭で主任を取られる。いつかその日がくるだろうと思っていたし、兄さんにとっても念願だったと思う。めでたい!が、仲入り後、鯉八兄さん、昇々兄さんも顔付けされているのは当然だと思うけど、そこに自分がいないことにちゃんと少しダメージを受けている。自分だけ別の協会だからそもそもそこにいていい落語家じゃないんだけど、それでもそうかそこに1日だけでも自分はいられないのかと思ってしまった。
仲間のハレの場に対しても、自然とそんな風なネガティブなことを思ってしまう自分の嫉妬深さというか心の狭さに愕然としつつも、そういう些細なことにもしっかり心を動かされる自分でいたいとも思う。自分が思う芸人像としてはそうやって一喜一憂できるのは大事な武器だと思う。
去年の暮れからじんわり心に引っかかっていたところ、さすがの兄さんは僕がどう思っているのかなんて手に取るようにわかるのだろう、わざわざ先回りして経緯の説明をメールしてくださった。忙しい中思いやりのあるこの振る舞い。こういう方が組織の上に立っていかれるのだろう。
と、ここで話を終えたら良いのだけどその上で、自分でも自分が怖いのだけど「これで次回以降声をかけて頂いたとしても、記念すべき最初の機会に不要だと誰かが判断した事実は消えないのだから、そんな状況で呼ばれたからと言ってノコノコ出ていっていいのか。芸人として恥ずかしくないのか」などと思っている自分もいる。体調や流れが良くないと、そうやってとんでもなく黒いことが浮かんでしまうけど、「もっと素直になりなさい!」と自分で自分を叱って、黒さを己の奥底に擦り付けて見えなくする。でもそれは決して消えてはいないから、また何かの拍子に顔を出すだろう。
信じられないくらい醜くて、じめっとした性格でしょう?でも芸人って案外こんなくらいの人が多い気がする。プライドの塊だからね。