【無料】あと155日:高座納め
12月28日
22日は去年に続いて呼んで頂いた大名古屋らくご祭。二ツ目は自分だけ。二ツ目最終盤に、NHK新人落語大賞を受賞したことでこういう落語文脈の真ん中を貫くような落語会にも少しだけお声がけ頂けるようになった。それまでは元々立川流だし、さらには独自ルートの活動が軸だったから、全然業界内部に知り合いがおらずこの手の会とは一切ご縁がなかった。NHKを受賞した一番のご褒美はこういう会に呼んでもらえるきっかけとなったことだろう。で、もちろんこれは今二ツ目だから呼んで頂いているわけで真打になったらまたとんでもなく方々とその席を奪いあうことになる。席の取り方は3つあって、1つは芸を磨いて業界内部できちんと評価されること、もう1つは無視できないくらいの人気を纏うこと、もう1つはしっかりコミュニケーションをとって業界内部の方ととても仲良くなること、もちろんそれらは完全に分離しているわけじゃなくて、それぞれが絡み合ってその合計点で席を与えてもらえるかどうかが決まるのだろう。自分としたは3つ目は壊滅的に苦手だから、1と2をとにかく磨いていくしかない。あまり書くことじゃないけど、それにしてもこの日の高座はドカンと炸裂させることができた。笑いのデシベルだけだと十分これからも戦っていける手応えがあった。ほくほく。
24日は新しくご縁ができた出版社で初めての打ち合わせ。打ち合わせというかブレストというか、とりあえず自分の手元にあるカードをお見せするターンだった。本が売れなくなってきている時代とはいえ、だからこそ本を買う方はそもそも僕の落語と相性が良いのは間違いないから、となると出版関係の取り組みはこれからも強化すべきだと考えるのはごく当たり前なこと。打ち合わせの資料として過去に作って1度だけ表舞台でやった『蹴球部』のネタのことを思い出す。うん、ちゃんと面白いアウトプットになっていて「やるじゃん昔の自分」と思った。
夜の連雀亭勉強は年内最後。大勢様のご来場で嬉しかった。数日前までご予約は少なかったけど、久しぶりにDMで告知をお送りしたら一気にたくさんのご予約を頂いた。ここから浮かぶ仮説は「案外Xのポストは見られていないのかもしれない」ということ。いま、告知の軸はXになっていて、というかほぼXだけでしか告知をしていない。会のチラシも基本的には作っていない。この辺りの告知方法などまた改めて考えた方が良い時期にきている気がする。面白いネタを作ることと、それをきちんと届けるために工夫することは自分にとっては等価だ。
27日は談笑一門会。「tion」という偏ったネタをネタ出ししていたから不安もあったけど、この日はいつもにも増して温かい空気で、とても楽しく高座を勤めることができた。珍しく客席に子供たちが数人いて、ケラケラ笑うのが可愛かったし、子供の笑い声は周りを幸せにするのだった。
28日は年内最後の高座。二ツ目集大成ツアーの千秋楽、にぎわい座公演。正直に書くと、今の僕は自力でにぎわい座を満席にすることはできない。それでも130人ほどにお越し頂けるのは、にぎわい座だと1階席のちょうど半分くらいの入りだけど、いつもの自分の活動規模からすれば十分すぎる動員で、しかもにぎわい座は半分くらい空席がある状態でも客席の笑い声がドカンと高座に跳ね返ってくるめちゃくちゃやるやすい会場だからなんの問題もないのだった。『カレンダー』と『井戸の茶碗』という持ちネタの中でも屈指の長尺ネタを2席並べるのは初めてかも。楽しい高座納めだった。
にぎわい座をまずは1階を満席にできる落語家になりたい。そしてもっと言えば2階席も含めて8割くらい埋められるような、つまりはそれくらいの方に自分の落語を楽しみに待ってもらえるような、そんな環境を作りたい。40代の目標だ。