毎日マクラ「せ」☆全力坂☆
※以下は落語の冒頭でお話するマクラです。しゃべっているのを聴く感覚でどうぞ。
ミニ番組、いいですよね。番組と番組をつなく箸休めみたいなもので、あれがあるとなんだかホッとする部分がありますよね。ずっとCMだけ流れてたりするとついつい気が削がれたしますけど、間になんか挟まると、CMのほうもちゃんと見るようになるんですよ。大事ですから、コマーシャルは(笑)トイレ行っちゃいけませんからね。
こういうミニ番組は、見逃してもあんまり後悔しないというか。その割にはけっこうインパクトがあったりして。
最近のはわかりませんけど、長く続いてるものって安心しますよね。食いしん坊万歳とか。歴代の出演者にあまり安心感のある人はいませんでしたけど、なんか食ってる番組、いいですよね。
あと、世界の車窓から。石丸謙二郎さんのナレーションが良いですよね、穏やかで。外国の様子やなんかがさりげなく流れると、ついつい引き込まれたりなんかしまして。だいたい、車窓って言葉はこの番組で知って、普段使うことないですから。石丸謙二郎って、日本でいちばん“車窓”って言ってますよね、きっと。どうでもいいですけど(笑)たぶん石丸謙二郎さんの戒名って、ナントカ車窓居士とかになりそうです。
好きな人からすると、たまらないんでしょうね。
テレビ朝日の全力坂ってミニ番組があって。
深夜にひっそりやっていて、女性タレントが坂を全力で駆け上がるのを映すだけなんですけど。ナレーターが吹越満さんで。これがなかなかいいんですが、あの、どうでもいいことですけど、私なぜか吹越満さんと平田満さんを逆だと思ってまして。わかりますかね、吹越さんのほうが平田っぽくて、平田さんのほうが吹越に感じちゃうんですよ。不破万作と池内万作みたいな。
まあそれはいいんですけど、全力坂で、都内?限定なのかな、色んな坂を駈け上がってるんですけど、坂ってとてもいいんですよ。
有名なところだと、タモリさんが坂道に大変造詣が深くて、坂を愛してらっしゃるんですけど、坂道に関する著書もあって。
坂はね、魅力的で深いんですよ。
高いところと低いところをつないでるわけですけどね、徐々に、そしてなだらかに、気づいたら高いところに来ていたり、それをスムーズにやってくれるわけですよ。登ったり下りたりは大変ですけどね、何かが起きそうな予感があってね、ただ平らな道を歩んでいくのとは違う。
坂を登ることはね、ウイスキーの氷が徐々に溶けていくのを味わうようなものなんですよ。珠玉の例えが今出ましたけど(笑)
ともかく、傾斜って、凄いですよ。平らなところに何か置いたって始まらない。傾斜あればね、石は転がりますから。ローリングストーンですよ。
何かが始まりそうな気がしますよね。
その土地の歴史とともに名付けられた名前があって、ついつい坂道に差し掛かると思いを馳せてしまうんです。私は下り坂にならないように注意はしてますが…