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ISOTをきっかけに感じた文具という製品ジャンルに関する雑感

 2020年のISOTが終了した。今年は新型コロナウイルスの影響もありどうしても規模が縮小したが、私個人としてはいろいろな発見があった。
 また、ここ数年はISOT文具PR委員として参加している。
 ここに雑感をまとめておこうとおもう。

 そもそもの文具というもののカテゴリーや各種製品の成立するバックグラウンドについて。
 ちなみに、私は手帳評論家・ふせん大王という肩書きに現時点ではなっており、上述のISOT文具PR委員のプロフィール画像の部分にもそうある。

 実際には現時点では実際には文具全般を見ているし、シャープペンや、ハサミの動画も作ってアップしている。
https://creators.yahoo.co.jp/tategamitatsuhiko
 で、今回、文具は現時点では、いろいろなジャンルのメーカーによって作られている各種プロダクトであることが確認できた。
 それは長年文具業界を見ている方にしてみれば、当然と言えば当然のことだろうが、今回そのことをあらためて思った。
 たとえば、国内文具最大手メーカーたるコクヨにしても、ノートやペンケースなどだけでなく、おそらく売り上げ的にはもっと大きな数字のファニチャー部門を持っている。過去にはMacやWindowsを事務機器として扱っていた事もあったと記憶する。
 そして例えば、今回の出展社のひとつ、高波クリエイトは文具としてペンケースやノートカバーを作っている。そしてその同じ技術で文具ではないものを作っている。
 要するに、同社にとっては、いや文具を作っており、それ以外の製品を作っているどの会社でも、“文具”というのは、自社の製品がたまたまカテゴライズされるジャンルに過ぎず、どちらかと言えば、その社内でのビジネスモデルのポートフォリオの一角を構成する一つのアイテムにすぎないのではないだろうか。
 それがある会社においては、文具のジャンルで突出しており、別の会社においては、さほどでもない。ただその会社の利益のポートフォリオのなかでは少なくない売り上げをあげていると言うことではないかと推察する。
 そして新規参入の例も当然のことながらある。
 今回のISOT関連で言えば、日本文具大賞デザイン部門グランプリのハリオサイエンスがそれだ。
 同社はもともとガラス製品を多数製造販売しているメーカー/ブランドだ。同社のWebページによれば、「1921年から理化学用耐熱ガラスを一貫して作ってきている」らしい。
 それが今回“実用品としてのガラスペン”というコンセプトで新しく製品を作り、文具大賞にエントリー、授賞となった。
 そこにはガラスという素材を知り尽くし、加工技術やノウハウも持ちながらも、それまで作ってこなかったガラスペンとはなにかに関する同社の新しい視点があったのではないかと推察される。そしてそれが受賞の大きな一因になったのではないかとも。

 そしてこういう、他ジャンルからの新規参入は、しばしばいろいろなジャンルで起こっていることでもある。
 トヨタはもともと豊田自動織機であり織機を作っていたが自動車産業に進出していまや世界的な大企業になっている。
 やはり自動車製造業であるホンダは、今やジェット機を製造しており、その独自性が評価されている。

 文具の世界で言えば、キングジムはファイルなどで有名だったが、テプラやポメラ、最近ではフリーノと言った、きわめてデジタルガジェットに近い、またはデジタルガジェットと区別が付かない各種製品を製造・販売している。

 製品ジャンルとしての文具は、ハサミやノート、万年筆や、システム手帳、クリップ、メモ帳など、その内側に各種ジャンルの製品を含んでいる。
 そして、ここの会社やその持つ技術、それを生かし応用した会社単位の売り上げのポートフォリオという観点から言えば、文具というのは、それを作ることができるいろいろな企業の技術が、いろいろな製品として結実している交差点のような場所なのだと思える。

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