ながい文
ふるさとは限りなく無音の場所でした、雪が降り積もると街中の雑音はすべて吸収され、真新しい雪ですっかり白くなった雪の層の上を歩くときに靴がいう「ぎゅっぎゅっ」という音を、かみしめながら歩いていた感触をよく覚えています。
年末の帰省で夜遅く地元に帰ると人はほんとうに無口で、どこかほかの場所から戻ってきたのだろう無言の人たちは時折「さび」「さびな」と、こぼしており、そのあまりにも小さな声は暗闇のなかでちらちらひかる雪かこだまかのように思え、そのときああ、ふるさとに帰ってきたのだなと強く感じました。
もう4月も終わりますが、冬について、2つの文を書きました。
詩の言葉は、滞空時間が長い。贅沢で純度の高い時間の与えられ方のように思います。