私のホンネ ~芸能斬りと武術斬り
●私が真剣試斬の稽古を始めたのは、28の頃です。 👀
・・・それまでは、人生で真剣を所持するどころか、触ってみたいとも思った事がなかった私です。 😅
切っ掛けはと言えば、たまたま、私の殺陣の師匠である故・林邦史朗先生という方がおりまして。
先生が、全日本刀道連盟をいうのを生前に運営をしていて、もちろん、その組織の最高師範でもあって。
その当時は、林先生のお仕事の都合で、毎週ではなかったんですが★
「木刀での殺陣(芝居)」だけでなく、模造刀で居合の型を練習してから試斬にチャレンジする、くらいな稽古をされていたんですね。 👀
●さて、「殺陣師という仕事」について・・・なんですが。
この職名を、最近では「アクション監督」やら「ファイティングコーディネーター」とか。
名称が創作をされていますが、ようするに「芝居の中での揉め事やアクション、刀などの得物を扱う争いごと」まで。
イメージで言うなら例えば、ドラマで起こる夫婦喧嘩から、はたまた強姦シーンやら、そしてもちろん「(時代は変われど)戦場での戦い」まで。
撮影が迅速でかつ、安全に行われるようにと、その役柄も考慮をして振り付け、見守る「安全を含めた現場監督」の職名です。
●・・・なんですが、これらの職業を名乗る人の中で、例えば真剣を持っていたり、ましてや試斬にトライする人なんて、ほとんどいません。
原因の一つはまず「真剣が高価だから」。 😅💦
拵え付きの真剣は、どんなに安くても30万以上はしますし、何より「刀の目利きが、とても難しい」のです。 (-_-;)
私自身も、目利きに関しては全く(!)胸が張って言えるくらいに自信がないので、困っている方には、そちらに詳しい人間を紹介した事が少なくありません。
●真剣は、「ただ刀が好きだから所持したい」という人もおられますが。
私のように、試斬をしている人はやっぱり「よく斬れるか、気になる」んです。 👀
・・・ところが、売っている真剣って高価なので、お試しで斬ってから購入する事って、出来ないんですよね。 😅💦
なぜって、真剣は一度斬ってしまうと、その価値が目減りするからなんですね。 (^▽^;)
そして刀って皆さん、勝手に「よく斬れる」って思ってるかと思うんですが。
どんなにキレイでも、斬れない刀って、やっぱりあります。 😅💦
研いでも、斬れ味が良くない刀もたくさんありますから、だまされないで下さいね。
●あと、真剣を手に入れたとして、試斬の稽古が出来る場というのが少ない、という現実が多くあります。 👀
例えばカルチャースクールや、体育館などで「居合の稽古をしている」という処は数多くありますが、そちらで試斬までは手掛けていません。
原因は、真剣で斬り損なった場合、床を叩く可能性があるからです。
・・・これって、「絶対あってはならない事」なんだけれども。
「床を叩くなんて、腕が良くないから」
って、よく皆さん口にされているようなんですが、これって、どんな名人でも、全くないとは言えないと私は思うんです。 👀
その日の体調やアクシデント、原因は色々あるかと思うんですが。
●また「居合の道場の場」って、それだけで運営をしている場というのは少なくって、昨今ではレンタル道場も多いです。
板の間を真剣で叩く(という言い方をします)と「ささくれになり」、別の団体がそこで稽古をする時に、ケガの原因になるからと言って嫌がられるんですね。 👀
レンタル道場は、子供が剣道を習っていたり、昨今ではヨガやピラティスなんてのも行われています。
床を護るためにもと場所が限られ、試斬の稽古を望む人は場所を求めて、さすらうようになります。 (^_^;)
●さて私の場合の稽古場は、師匠のご自宅だったんですね。
畳の上に絨毯張りだったので、たとえ床を叩いても、床も刀を痛めるような事はありませんでした。
林先生曰く、「人の場では気を遣うから、どうしても自分の場が欲しかった」との事。
林邦史朗先生は、昭和14年の生まれで、子だくさんの家に育ちました。
ド・貧乏だった林先生が、高度成長期という、現代日本では考えられないほどの豊かな時流に乗れた時代だったとはいえ、もちろん借金をして。
とても苦労をされて手にされたという場所でした。
●さて、私の師匠は殺陣師です。
生来の負けず嫌いで努力家でしたから、他の殺陣師に負けたくないという思いと。
そんな思いが通じたのか、NHK大河ドラマの殺陣・武術指導という仕事を50年以上を手掛ける中で、たくさんの「武士の所作や、武術の指導の先生」と関わりました。
大河ドラマって、日本の歴史をベースにして1年間(半年の作品も、4作品ほどあるにしても)に及ぶ長丁場のドラマですから、その武術の流派の数もけして少なくなかったわけですよね。
●なかには、誰もが一度くらいは耳にした事のある剣術流派の宗家の方とも、林先生は多く関わりました。
時の流れの中で、現代にも伝わっている「その流派の居合が、理にかなっているかをテスト」する意味もあって、先生は真剣を手にし、その結果をドラマの中にも盛り込んでいきました。
殺陣師なので、「武術としての斬り方」とは違って、刀の振りが大きく、ある時は斬新に、ある時は美しく見えるように行っていますが、武術家からは先生の斬り方は好かれていません。
何故って、カンタンに言うと「大振り」をしていますから、「隙のある刀の振り」なんです。
武術の振りは、「生き残るためのモノ」なので「最低限の振り」と言ったら判りやすいでしょうか。
私自身、先生が亡くなってからさんざん、私の「振り」を改めさせたいという「自称・山野の師匠になりたい御方」に、影なり、正面なりから色々と言われておりますが★
ですが正直「皆さまと私では、お役目が全く違う(!)ので、私の事はお見捨ておき下さい」と申し上げたいです。 (^▽^;)
逆に武術の方々は、「私と同じ事は、絶対になさらない」ですし、「藁二本(多いときは四本とか★)立てて、前後の敵や左右の敵を想定した殺陣(芝居)に斬りを入れた演武は、絶対にされない事でしょう。
生きてる世界が、違うんです。
いえ、私は皆さまに「私のような斬り方をチャレンジして欲しい」なんて、けして口にしませんけどね★ (^_^;)
・・・ま、そんなお話。 (^▽^;)
ちょっと、言ってみたかっただけです。 (^_^;)
はい、そんなお話を、無料で聴けるネットラジオ「Samurai Woman」でもしているんですが。
こうして、noteでも少しずつお話していけたらと思っております。
もし質問やご要望などあれば、お寄せ下さるとうれしいです。