刀を亡くした侍に、鉛弾の祝福を。 #1 (トレンチコートとモッズコート Act.2)
シトリとトゥは荒事専門のよろず屋で、トレンチコートのサムライと、モッズコートの格闘家のコンビだ。サムライのほうがシトリ、武道家のほうがトゥ。彼らはいつも同じバーにいて、依頼がくるまで酒を飲んでいる。
入り口のベルが鳴ったとき、店にはシトリしかいなかった。
いつものようにカリラを飲みながら居眠りしていた彼は、来客に気付いて顔をあげ……そしてその側頭部に、強烈な蹴りが炸裂した。
首が変な角度に曲がったシトリは、テーブルや椅子を薙ぎ倒しながら吹き飛んだ。蹴りを放った女──然り、女である──は足を降ろし、呟く。
「二人組と聞いていたのだが、ひとりきりか」
男の死体が床に転がるのを横目に、女はバーの中を見回す。片割れどころか、人の気配がない。買い出しにでも行っているのだろうか。
「……不用心だな」
女が呟いたその時だった。
「人手不足でな」
答えたのは、床に横たわる死体──否、まだ生きている!
居合、一閃。
女が反応するより早く、シトリの居合はその首を撥ね飛ばした。
「誰何はしない。死ね」
「なるほど、噂通りの凄腕だ」
その声は、撥ねた首から発せられた。
シトリは瞠目する。
女の首が超常的な力で引き寄せられ、元の場所へと収まった。
[次]
[総合目次/キャラ紹介]
(本文401文字)
息抜きパルプのお時間です。不定期に続きます。
▼Act1.はこちら▼
▼桃之字の他作品はこちら▼
いいなと思ったら応援しよう!
🍑いただいたドネートはたぶん日本酒に化けます
🍑感想等はお気軽に質問箱にどうぞ!
https://peing.net/ja/tate_ala_arc
🍑なお現物支給も受け付けています。
http://amzn.asia/f1QZoXz