【文学史】昭和時代
昭和時代の思潮をまとめました。
著者とその人の作品一覧です。
小説・評論
<モダニズム>
・新感覚派
外部の現実を主観的に把握し、知的に再構成した新現実を感覚的に創造しようとした。
横光利一 『機械』『旅愁』
川端康成 『伊豆の踊子』『雪国』『山の音』
・新興芸術派
反プロレタリア文学作家の大同団結を図り、芸術の擁護を訴えた。
井伏鱒二 『山椒魚』
梶井基次郎 『檸檬』
・新心理主義
精神分析学をもとに、「意識の流れ」や「内的独白」の手法によって人間の深層心理を表現しようとした。
伊藤整 『鳴海仙吉』
堀辰雄 『聖家族』『風立ちぬ』
<転向文学>
共産主義を中心とする左翼的思想を信奉する作家が、権力の強制によってその思想を放棄し、転向した。
中野重治 『新日本文学』
<文芸復興>
プロレタリア文学の隆盛期に沈黙していた作家たちが活動を再開した。
小林秀雄 『無常といふ事』
<日本浪曼派>
自然主義文学を批判し、ロマン主義を標榜した。
保田與重郎 『戴冠詩人の御一人者』
亀井勝一郎 『聖徳太子』
<戦後文学>
・無頼派(新戯作派)
戦後の昏迷の状況のなかで、既成の文学観や方法が無効であると認識し、それに反逆した。
石川淳 『焼跡のイエス』『普賢』
太宰治 『晩年』『斜陽』『人間失格』
坂口安吾 『白痴』『堕落論』
・戦後派
第二次世界大戦後、新しい文学の創造をめざした。
野間宏 『暗い絵』
武田泰淳 『風媒花』『ひかりごけ』
大岡昇平 『俘虜記』『野火』
安部公房 『壁』『砂の女』
三島由紀夫 『仮面の告白』『潮騒』『豊饒の海』
・「新日本文学」派
戦時中言論の弾圧を受けていた旧プロレタリア文学運動に関わっていた作家を中心にして、新しい日本の文学のありかたを模索した。
宮本百合子 『伸子』
佐多稲子 『私の東京地図』
<第三の新人>
戦前の日本において主流であった私小説・短編小説への回帰をはかった。
安岡章太郎 『海辺の光景』
吉行淳之介 『驟雨』
遠藤周作 『海と毒薬』『沈黙』
<内向の世代>
自我と個人的な状況のなかにだけ自己の作品の手ごたえを求めようとした。
阿部昭 『司令の休暇』
古井由吉 『杳子』
詩
<プロレタリア詩>
労働者階級の立場に立ち,社会主義思想に基づいて,現実を描こうとした。
中野重治 『中野重治詩集』
壺井繁治 『頭の中の兵士』
<モダニズム詩>
現代的な新しさを常に求め、洗練された主観主義的表現を尊重した。
安西冬衛 『軍艦茉莉』
北川冬彦 『戦争』
<四季派>
失われつつあった伝統的な新しい叙情詩を目指した。
三好達治 『測量船』
中原中也 『山羊の歌』『在りし日の歌』
立原道造 『萱草に寄す』
伊藤静雄 『わがひとに与ふる哀歌』『夏花』
<歴程派>
一党一派によらない日本人の詩を各自に発表することがうたわれ,詩人発掘にも努力した。
草野心平 『冬眠』
宮沢賢治 『春と修羅』
短歌
<昭和期>
写生説に加えて即物主義的な傾向をみせ、清新な抒情で注目された。
土屋文明 『山谷集』
俳句
<新興俳句>
反ホトトギスを推進し、連作・無季俳句・反戦的ニヒリズムなど新しい発想・感覚による俳句を主張した。
水原秋桜子 『霜林』『残鐘』
山口誓子 『激浪』『遠星』
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