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映画「魔女の宅急便」の感想

オススメ度🌟🌟🌟🌟🌟
総合採点 4.1
出来ていた事が出来なくなる日が来たとしても。
13歳になった事で魔女の掟に従い黒猫のジジを相棒に修行に出る少女キキの姿を描いたジブリ映画。

姉と母親がこの映画が好きでよくみていた影響で子供の頃はそれを遠くからチラ見してたのでうっすらやけどこういう話やったかなあ?って感覚しかないので殆ど初見に近い状態での鑑賞。あの時はジジが喋れないまま終わるのがなんか悲しかったなあっていう印象しかなかったけど蓋を開けたら超良かったですよこの作品!

まず冒頭の5分間でこれは凄いと思ったのはあんまり他作品と比べるっていうのを私はやりたくないんですが分かりやすく説明するためにあえてそれをさせてもらうと以前フィルマでレビューした「借りぐらしのアリエッティ」で私があの映画にやってほしいなあって思った描写が全て入ってたからなんです。キキの両親のキキに対する愛情が凄く伝わってくる演出もそうなんですがなにより台詞により登場人物達のそういった心理描写が作品に深みを与える要素としてちゃんと効いてくるのが素晴らしいですね。最近の作品はやや説明台詞が多くてまどろっこしいなあっていうのも多い中で本作はそんな部分は全くなくて言葉とか美しい世界観とかそれらにリンクした様な登場人物の暖かさにしっかり心を捕まれるのがシンプルに心が暖まって良い映画やなあって思える作品のお手本中のお手本みたいです。

素直で勇敢だが裏を返せば無鉄砲と言えるキキの姿は1人の少女の自立を描いた物語であると共に私達大人が社会の中で必ずぶつかる困難や葛藤とそこから段々と強くなっていく姿を表している。子供から大人になると言うのはけして楽しい事ばかりではなくてそこから見えてくる辛くて厳しい現実に慣れたり受け入れたりしないといけないと言う事。それは同時に純粋だったあの頃の自分が持っていた輝きを知らず知らずの内に手放してしまう結果になるわけで…

ジジの声を聞こえなくする事でそれを表すあの場面はまさにそれを表した悲しい場面ではあるんだけどだからこそ終盤のキキの成長を感じさせるあの場面が素晴らしくなると言うこと。

個人的にジジはキキの相棒と言う以上に保護者的な立ち位置でキキを見守るキャラクターに見えたのでキキの魔力の成長を感じさせながらも結局ジジが喋れないまま終わるラストも子供が自分の世界を広げていくにつれて果たしていく親からの自立を表している様に自己解釈できて切ないながらもそれ以上に希望が感じられる暖かい余韻だった。人生の中で悩んだり壁にぶつかったりしてる全ての大人に夢や希望を与えてくれる映画ではあるけど個人的には社会人成り立てで大人の世界で生きる事に不安を感じてる新社会人の方達にもみてほしい映画かな。 

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