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#15|霊的最前線と政治的最前線|2024.11.07

武田崇元・横山茂雄『霊的最前線に立て!ーーオカルト・アンダーグラウンド全史』

よんだ。

学研『ムー』創刊時に顧問を務め、オカルトブームの火付け役となった武田崇元と、オカルト研究者であり作家としても知られる横山茂雄が対談形式で、オカルト史・アンダーグラウンド史を縦横無尽に語る、という内容の分厚い本。でも、対談形式なので意外とすいすい読める。

魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』とか、小川哲『スメラミシング』とかと読みたい。

正直まったく知らない固有名詞がバンバン飛び交うのだが、それが面白い。いわゆるQアノンの「Q-Web」的なペラさ(平面性)を歴史的ディープさ(深さ)で貫く試み、という感じ。とはいえ話題が話題なので、話半分に聞く、くらいのスタンスでちょうどいい気もする。

本書中盤、二人は「オカルトの魅力」をこう語る。

武田 〔……〕オカルトの魅力とは何かというと〝物語性"だということがわかってきたわけですね。そこにはイデオロギーが崩壊して、人々が新たな物語を欲しているという時代状況があったと思います。
横山 人間は物語を欲する生き物だからね。
武田 物語を作るときに、どういうテーマが相応しいかというと、やはり超古代史であり、地底王国であり、古代核戦争だったわけです。

いわゆる「大きな物語の終焉」が言われてもう長いけど、「人間、いまだにめちゃくちゃ「物語」好き過ぎ」的な話は、またいつかいつかまとめたい。

で、本書の語り口のひとつの特徴に、「オカルト」的なものの、政治性への注目がある。アメリカでも日本でも「霊的最前線」の話が、まんま今の政治的最前線の話につながる、というのは驚くけど、それが現実なので地道に勉強して備えるしかない。

とか書いてたら、トランプ当確のニュースが入ってくる、というタイムリー感。カオティックな世界で、どう正気を保つか、というのは2020年代の最重要課題かも。ほんとに。

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