竹工芸の至宝を見に行ってきた。
珍しく国東半島を出て、片道一時間半かけてOPAM(大分県立美術館)まで行ってきた。
そもそも、この美術館の内装に籠目のデザインが採用されているくらい別府の竹細工は大分県が誇るものだが、伝統工芸品の産業としてはいまいち盛り上がらない。
別府には日本で唯一の竹工芸の職業訓練校もあるが、卒業後に竹工芸を本業にして生活している人は本当に少ないという。
別府の竹細工は、湯治客が滞在中に使う道具としての需要が高かった。時代とともに長期滞在の湯治客も減り、一般家庭での竹製のザルやカゴの需要も少なくなり荒物問屋がどんどん消えていったという。
私が竹工芸を習っている先生が訓練校を卒業した約20年前は、荒物問屋さんがまだギリギリ頑張っていてカゴ類や青竹箸をまとまった数作る機会があったそうだ。(収入にもなるし腕も上げられる。)
今回、展示会に来ていたコレクションは代々籠師として名跡を継いでいる方たちのものが多い。
アートとしての見た目の美しさはもちろん、技巧の凄さ質量は目が肥えてない素人の私でも伝わってきた。
中には藤や竹を1ミリ単位で細かく編んで荷車を再現している作品があったりして、
「技術は素晴らしいけど、それ竹や藤で作る意味あんの?」
と、正直思ったりもした。
特に良いな、と思ったのは驟雨という名前がついたこの花かご↓
※ 竹工芸作品は写真撮影とWEB掲載がOKだった。
名前の通り、斜めに降る通り雨の涼やかさが伝わってくる。
びっちり隙間なく編まれているものより、涼やかさやおおらかさを感じる作品のほうが個人的には好みらしい。(展示を見て気付いた。)
竹林を抜ける風の涼やかさを欲するような。
竹工芸を習って作りたいものも、一分のスキもなくびっちり編みこまれた伝統工芸品ではなく、生活に根ざしたおおらかな風通しの良い道具なのかも知れない。