日本全国ディメトロマップ2023
唐突ですが、ディメトロドンが好きです。ディメトロドンは、ペルム紀前期(約2億9,500万 ~ 2億7,200万年前)に生息していた生物で、一見帆の生えたコモドオオトカゲみたいなビジュアルをしていますが、爬虫類ではなく哺乳類の古い親戚(単弓類)です。
そんなディメトロドン、単弓類・ひいてはペルム紀の生物全体の中では圧倒的な知名度を誇るものの、どうしても小物界の大物感が払拭できず、古生物界の山本一太的ポジションに甘んじています。それでも、日本国内では化石が出土しないにもかかわらず、結構な数の自然史博物館で骨格標本が展示されています。
この記事では、ディメトロドンの標本を観ることが出来る自然史博物館の情報を、私が訪問した場所、ネットの情報より展示があると思われる場所にわけてまとめたいと思います。
また、皆様のディメトロ情報もおまちしておりますので、是非「この博物館でディメトロドンを見た!」と言う情報があればコメントいただけると大変にありがたいです。皆で作ろうディメトロマップ!
筆者が訪れた、ディメトロドンの展示がある施設
群馬県立自然史博物館
土屋健先生の本にも頻繁に登場する日本屈指の有名ディメトロ。東日本大震災で帆の一部が欠けてしまっているので素人でも簡単に見分けることができます。左上にちょっと見切れているのは、ディメトロドンの足跡化石です。
公式:ディメトロドン属の未定種
http://www.gmnh.pref.gunma.jp/musetheque/detail/111421;jsessionid=1A2204660028A7A2A051CE0E2C7EF103?searchType=3&Item1_3=876
国立科学博物館
複製標本。いろいろよく見かける有名ディメトロさんです。1972年にハーバード大学から科博に寄贈されたもので、他の単弓類化石と一緒に地球館地下2階に展示されています。よく見ると右半身しかありません。左半身は今でもテキサスの荒野を彷徨っています。いません。この写真の上にエダフォサウルスの標本がありますが、こっちは日本ではめったに見ないし黒くてかっこいいので大変にフォトジェニックです。
国立科学博物館はこいつのほかにもディメトロドンの複製標本を所有しており、これがよく巡回展で各地を周っています。
2021.4.5 追記
現在開催中の特別展『大地のハンター展』(2021.3.9~2021.6.13)において、科博所蔵のD. limbatusの頭骨の複製標本が展示されています。気になるのが図録に収録されているディメトロドンが上述の常設展の標本の写真になってたことです。コロナの影響によって想定されていた展示内容の変更があったりしたのでしょうか。
ミュージアムパーク 茨城県自然博物館
複製標本。浅原正和著「カモノハシの博物誌~不思議な哺乳類の進化と発見の物語」057ページに登場するディメトロドンは彼です。
2021.3.14 追記
現在実施中の企画展『化石研究所へようこそ』(2021.2.27~2021.6/13)にて、常設展示とは異なるD. limbatusの頭骨の複製標本が展示されています。上述している常設展示のディメトロドンはD. grandisなので、一回で二種のディメトロドンを観察できて大変お得な状況になっています!
豊橋市自然史博物館
複製標本。骨格標本だけでなく、復元標本やディメトロドンの足跡の化石(ディメトロプス、と言うそうです。)の展示もあります。写真中央部の骨格標本と復元標本の間の白い部分には、足跡がどのようにつけられたかのシミュレーション映像が流れています。ディメトロ愛がすごいです。写真の奥に見えるのはリカエノプスの頭骨やリストロサウルスの全身骨格標本などが展示されている単弓類の展示コーナーです。
東海大学自然史博物館(2023.6.30 追記)
複製標本。こちらのディメトロドンの右隣にいるのは無弓類のスクトサウルスの全身骨格標本。公式サイトやブログの写真で感じるサイズ感よりもデカいです。左には、エステメノスクス、イノストランケビア、ディキノドンの頭骨が単弓類数え歌、という感じに並んで展示されています。
公式:標本解説 ディメトロドン
http://www.scc.u-tokai.ac.jp/sectu/sizensi/collect/fossil/bhdimetr.htm
2023/6/30 追記) 東海大学自然史博物館は、2023/3/31をもって閉館しました。
奇石博物館(2020.11.3 追記)
複製標本。奇石博物館はどちらかというと鉱石や宝石、変わった石の展示がメインなのですが、化石も石、と言うことで珪化木や糞化石、恐竜の骨の化石などと一緒にこちらのディメトロドンも展示されています。
福井県立恐竜博物館(2021.8.1 追記)
2016年に複製標本から入れ替わりで展示が始まった、国内では数少ない実物標本のディメトロドンさんです。他の博物館のディメトロドン・リンバタスの複製標本を見慣れていると、そのデカさにビビると思います。なるほど、これが全長3mのサイズ感かッ!
大阪市立自然史博物館(2022.10.31 追記)
複製標本。原標本はアメリカ自然史博物館所蔵。
棘突起の曲がり具合を観察すると、後述の栃木県立博物館所蔵のディメトロドンと大変似ているように見えますが、原標本が同じなのでしょうかね。
公式ウェブサイト
著者が訪れ、展示はないがディメトロドンの標本を所有している施設
栃木県立博物館(栃木県宇都宮市)
後述する葛生化石館で、過去に単弓類の企画展をやっていた時に展示されていたディメトロドンを所有しているのが栃木県立博物館。この博物館でディメトロドンの骨格標本を見た!という写真付きの記事が見つかりません。公式サイトにはディメトロドンのディの字もありませんでした。求む情報!
(2020/08/08 追記) 2020年7月現在、栃木県立博物館さんでのディメトロドンの展示はありません。しかしながら、河野重範編集、『栃木県立博物館自然部門収蔵資料目録(18) 化石(1)』によれば、標本番号TPM1422として"Dimetrodon limbatus"のレプリカが収蔵されているとの記載がありました。いつか何かの機会で展示されるのを心待ちにしております!
(2021/03/20 追記) 那須野が原博物館で7月~9月に開催される予定だった企画展に、栃木県立博物館のディメトロドンが出張展示される…予定でしたが、新型コロナの影響で中止になってしまいました。残念ッ!
(2021/08/02 追記)上述の企画展が令和3(2021)年7月10日(土)~9月20日(月・祝)の期間で開催されています。ディメトロドンの展示もある!?
(2021/08/14 追記) 那須野が原博物館で開催されている企画展『あつめて くらべる 化石図鑑』に行って参りました。しっかり栃木県立博物館収蔵のディメトロドンが展示されていましたよ!
筆者未訪問だが、どうやらディメトロドンの展示があるらしい場所
ネットの情報によるとディメトロドンがいるらしいです。
・玄武洞ミュージアム(兵庫県豊岡市)
→ https://genbudo-museum.jp/exhibition/
・兵庫県立人と自然の博物館(兵庫県三田市)
→ 公式ウェブサイト
→ 頭骨のみの展示です。
・北九州市立いのちのたび博物館(福岡県北九州市)
→ 公式ウェブサイトより
・御船町恐竜博物館(熊本県御船町)
→ 公式ツイッターのコメントより
・佐賀県立宇宙科学館(佐賀県武雄市) (20201216 追記)
→ 公式youtubeチャンネルより
→ 頭骨のみの展示のようです。
特記事項
葛生化石館(2023.8.6 追記)
過去、2014年の企画展で栃木県立博物館所蔵のディメトロドンの複製骨格標本を展示していた実績があります。
現在ディメトロドンの展示はないものの、ペルム紀後期の大型単弓類イノストランケビアの骨格標本(写真)や、石川県白山市で発見された白亜紀のトリティロドンの歯の化石など、なかなか他にはない単弓類の展示があるかなり熱い博物館です。ここの常設展示にディメトロドンやエダフォサウルスあたりの骨格標本があれば最強なんですけど。ぜひともまた単弓類の企画展を実施して欲しい!
(2023.8.6 追記)2023/7/15~11/23に、企画展『ペルム紀という時代』が開催されています。この企画展では、群馬県立自然史博物館収蔵のディメトロドン・リムバトゥスの頭骨化石のレプリカが展示されています。このほかにも、ディメトロドンと同時代に生きた様々な古生物の化石が展示されており、オススメです!
第31回 東京ミネラルショー(2022.12.11 追記)
東京は池袋サンシャインシティー文化会館ビルにて2022/12/9~2022/12/12 に開催された『第31回東京ミネラルショー(Internet Arcive)』内の特別展示「パンゲア大陸に生息した生きものたち」にて展示されたディメトロドンの復元モデルです。ディメトロドンの産出地と言えばカナダ、アメリカ、ドイツが思い浮かびますが、こちらはフランス産とのこと。フランス産ディメトロドンって初めて聞きました。また、これまで観てきたどの標本よりも体に対して頭骨のサイズが小さいのが気になります。別種なのか、若い個体なのか・・・?気になります!
公式サイト(会場の様子)
おまけ
こちらに、Googleマップ上に上記で紹介した博物館をマッピングした地図を作成しました。よろしければご覧くださいませ。
(未完。随時更新。)
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