RIKISHI CHAIR
RIKISHI CHAIR(力士チェア)と銘打って、作っているシリーズがあります。
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それは、見た目が「和」ということだけでなく、使い方による特徴が大きいです。
畳職人という職業をご存知ない方も多いと思います。畳職人は、昔は畳を手で縫い、方々の家に運び入れ、部屋を綺麗にする仕事のことです。
畳職人の職業病として、肩の痛み・首の痛み・腰の痛み、といったことが多く、大抵の方々は60を過ぎると何処かしらに身体の不調が表れてきます。
力士との出会い
そういう職業病の危険性を日々感じながら、仕事をしている肉体労働者は多いでしょう。私の父親もそうで、仕事を辞める時には身体のいろんな所が不調になっていました。
そんなある時に、熊本出身の元力士の方と話す機会に恵まれました。
力士はもちろん身体が資本。200キロ弱の巨体が日々ぶつかりあい、怪我も多く、大変な仕事と思いながらお話を聞いていました。
怪我は勿論するのですけど、怪我を出来るだけしないため毎日「四股」を踏むと言われました。
四股は股関節周りを柔軟にする運動
四股を踏むという行動は、皆さんお分かりと思います。私も聞いて理解したのですが、四股を踏む=腰割(こしわり)という動作は、股関節周りの筋肉や筋を柔軟にし、急な動作や事故に対応できる様になり、つまりは怪我をしないことに繋がるそうです。
また、いろんな動画などを見ても分かるように、腰割を行うときは、姿勢を地面と90度に保ったまま、地面と太ももが水平になるまで(膝の内側が90度)行います。足幅を、肩幅の2倍以上にすると行いやすいです(ワイドスクワット)。その時に大腿四頭筋、内側の内転筋や裏側のハムストリングス、お尻の大殿筋や中殿筋など、股関節周りの筋肉の柔軟性が高められるそうです。※ぎっくり腰にもなりにくい
椅子の意外な落とし穴
私も椅子やソファは好きな方なのですが、数年前から言われていることで椅子に座ると腰痛になりやすいだけじゃなく、1時間以上座り続けると死亡リスクが上がると言われています。
これは、WHOやスポーツ庁でも言っていますが、デスクワーク時やテレビを見る時、ゲームをする時、運転をする時など日本人は特に椅子に座ることが多いです。腰痛において椅子に座ることが悪いことでは無い様に感じますが、なぜ腰に悪いのでしょうか。それは背骨の形状によるものです。
※海外ではスタンドデスクの導入をしているところもあります
つまりは座骨
人間は二足歩行の動物です。健康な背骨の形状はS字カーブになっています。姿勢と椎間板の内圧(腰の負担)の関係によれば、直立で立った時の腰への負担を100とすると、一番安全なのは仰向け寝の状態で25、横向き寝で75、座位では140、座位前傾では185ということで、直立でいる時の方が腰に負担はかからないという結果が出ています。その原因は、頭部の重さを支えることの大変さです。
頭部から座骨までにかけて、一直線になることが正しい姿勢であり、正座という姿勢も同じように頭部から座骨が一直線になっています。
つまり、よく言われる「骨盤を立てる」という座り方が頭部から座骨まで一直線になる座り方であり、それが腰に負担をかけない座り方でもあります。
椅子に座るときは骨盤を立てるように
骨盤を立てる座り方をいろいろ調べてみますと、驚いたことに力士の腰割と同じ姿勢ということが分かりました。いろんな方も言われていますが、骨盤を立てることと、膝の内側が90度になることが腰に良い座り方です。
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また、いろんな情報から分かることですが、背もたれを使用しない方が腰の負担も少ないことが分かっています。そうなると、座り続けることが可能なのは30分くらいが限界です。そして、座り続けないことで死亡リスクが少なくなり、健康でいるための「RIKISHI CHAIR」を考えた動機にも繋がります。
RIKISHI CHAIRは、畳という適度な硬さのクッション性と、膝の内側が90度になるように高さを設定しました。※個人差があります
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これからの長期高齢化社会のために、また畳職人が職人を辞めた時に健康でいるために、日々の暮らしを健やかにするために。
腰痛を予防するためのスツールとして製作しています。