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二酸化炭素で「温暖化」しているわけではない

 8月に書いた「産業革命前より気温が3.5℃上がってはアカンのか?」において、「人為的に放出されたCO2が温暖化の原因でもないので『対策』もしようがない」と最後に書いた。今回はこのへんのお話…
 「人為的なCO2放出による地球温暖化」を言いだしたデービット・キーリングは、「長期的な偏向を取り除いた」短期的なCO2濃度変動と世界平均気温偏差を比較したグラフを作成した。そのグラフについて、熱物理学者の槌田敦氏は環境経済・政策学会和文年報集第4集(1999年)で次のように報告している。
 「多くの研究者は、大気中のCO2濃度の増大が気温を上昇させるという、しかし、事実は逆である。ハワイのマウナロア観測所でのCO2の長期観測者として知られるC.D.Keelingグループの研究によれば。図1に示すように、気温の上がった半年~1年後にCO2が増えている。
 また、C.D.Keelingらは、エルニーニョ発生の1年後にCO2が増えたことも発表した。赤道付近の海面温度の上昇がCO2濃度の上昇の原因となっているのである。
 したがって、大気中のCO2濃度の増加で温暖化するのではなく、気温(海面温度)の上昇でCO2濃度が増えるというべきである。根本順吉(注:キーリングのグラフを著書「超異常気象(中公新書、1994年)で紹介した)はこのC.D.Keelingらの仕事に注目し、『現在の温暖化のすべてを温室効果ガスによって説明することはたいへん無理である』と述べた。しかし、このC.D.Keelingらの研究も、根本氏の見解も無視されたまま、現在に至っている。」
 そして槌田敦氏と近藤邦明氏が、世界月平均気温差と大気中CO2濃度の双方の変化率を比較してみると、大気中のCO2濃度は年率1.5ppm程度上昇しており、気温が高くなる1年ほど後にCO2濃度の上昇率が大きくなり、気温が低くなるとCO2濃度の上昇率が小さくなることが明らかになったのである。(図-1)要するに参加炭素の濃度上昇よりも、気温(海水温)の上昇が、先行しているのだ。(図ー1は表紙)
 考えてみれば当たり前で、CO2は水(海水)に溶け込んでいるが、その溶解度は水温が高くなれば小さくなる。気温(水温)が上がれば海から二酸化炭素が出てくるわけだ。このへんは化学平衡に関して、平衡状態に加えられた変化を緩和する方向に遷移するという「ルシャトリエの法則」や、気体の液体への溶解度は気体の圧力に比例する「ヘンリーの法則」によっても説明される。
 一方、CO2や水蒸気のような三原子以上の分子は、回転や振動によってその周期に応じた赤外線領域の電磁波を放射・吸収する。このような性質を「赤外活性」と呼び、吸収されたエネルギーが他の気体分子に伝わって大気を温めたり、放射した赤外線によって地表を温め、大気上層では宇宙空間に放熱する…この赤外活性気体による熱現象の総体を「温室効果」と呼んでいる。(二原子の窒素や酸素、単原子のヘリウムやアルゴンには、赤外活性しないので「温室効果」はない)
 この「赤外活性」であるが、水蒸気は多くの波長の範囲で赤外線を吸収・放射するのに対し、CO2は波長15.01μmと4.26μm付近の限られた波長帯域の赤外線だけ吸収・放射する。また大気からの熱放射は、ステファン・ボルツマンの式から表され、大気からの射出率は赤外活性気体の濃度に比例するものの、それはステファン・ボルツマンの法則から見積もられる黒体の熱放射(黒体放射)を越えることはない。(黒体とは、あらゆる波長に渡る電磁波を完全に吸収し、熱放射できる仮想の物体のこと)
ところで地球表面で大気から下向きに放射される赤外線放射を観測したスペクトル(電磁波を波長ごとの成分に分解してその強度を見やすく配列したもの)示すと(図―2)、8月に書いた「産業革命前より気温が3.5℃上がってはアカンのか?」において、「人為的に放出されたCO2が温暖化の原因でもないので『対策』もしようがない」と最後に書いた。今回はこのへんのお話…
 「人為的なCO2放出による地球温暖化」を言いだしたデービット・キーリングは、「長期的な偏向を取り除いた」短期的なCO2濃度変動と世界平均気温偏差を比較したグラフを作成した。そのグラフについて、熱物理学者の槌田敦氏は環境経済・政策学会和文年報集第4集(1999年)で次のように報告している。
 「多くの研究者は、大気中のCO2濃度の増大が気温を上昇させるという、しかし、事実は逆である。ハワイのマウナロア観測所でのCO2の長期観測者として知られるC.D.Keelingグループの研究によれば。図1に示すように、気温の上がった半年~1年後にCO2が増えている。
 また、C.D.Keelingらは、エルニーニョ発生の1年後にCO2が増えたことも発表した。赤道付近の海面温度の上昇がCO2濃度の上昇の原因となっているのである。
 したがって、大気中のCO2濃度の増加で温暖化するのではなく、気温(海面温度)の上昇でCO2濃度が増えるというべきである。根本順吉(注:キーリングのグラフを著書「超異常気象(中公新書、1994年)で紹介した)はこのC.D.Keelingらの仕事に注目し、『現在の温暖化のすべてを温室効果ガスによって説明することはたいへん無理である』と述べた。しかし、このC.D.Keelingらの研究も、根本氏の見解も無視されたまま、現在に至っている。」
 そして槌田敦氏と近藤邦明氏が、世界月平均気温差と大気中CO2濃度の双方の変化率を比較してみると、大気中のCO2濃度は年率1.5ppm程度上昇しており、気温が高くなる1年ほど後にCO2濃度の上昇率が大きくなり、気温が低くなるとCO2濃度の上昇率が小さくなることが明らかになったのである。(図-1)要するに参加炭素の濃度上昇よりも、気温(海水温)の上昇が、先行しているのだ。
 考えてみれば当たり前で、CO2は水(海水)に溶け込んでいるが、その溶解度は水温が高くなれば小さくなる。気温(水温)が上がれば海から二酸化炭素が出てくるわけだ。このへんは化学平衡に関して、平衡状態に加えられた変化を緩和する方向に遷移するという「ルシャトリエの法則」や、気体の液体への溶解度は気体の圧力に比例する「ヘンリーの法則」によっても説明される。
 一方、CO2や水蒸気のような三原子以上の分子は、回転や振動によってその周期に応じた赤外線領域の電磁波を放射・吸収する。このような性質を「赤外活性」と呼び、吸収されたエネルギーが他の気体分子に伝わって大気を温めたり、放射した赤外線によって地表を温め、大気上層では宇宙空間に放熱する…この赤外活性気体による熱現象の総体を「温室効果」と呼んでいる。(二原子の窒素や酸素、単原子のヘリウムやアルゴンには、赤外活性しないので「温室効果」はない)
 この「赤外活性」であるが、水蒸気は多くの波長の範囲で赤外線を吸収・放射するのに対し、CO2は波長15.01μmと4.26μm付近の限られた波長帯域の赤外線だけ吸収・放射する。また大気からの熱放射は、ステファン・ボルツマンの式から表され、大気からの射出率は赤外活性気体の濃度に比例するものの、それはステファン・ボルツマンの法則から見積もられる黒体の熱放射(黒体放射)を越えることはない。(黒体とは、あらゆる波長に渡る電磁波を完全に吸収し、熱放射できる仮想の物体のこと)
ところで地球表面で大気から下向きに放射される赤外線放射を観測したスペクトル(電磁波を波長ごとの成分に分解してその強度を見やすく配列したもの)示すと(図―2…下にある)、その包絡線は270K(-3.2℃)の黒体からの放射スペクトルよりも少し低い程度の温度から放出されるスペクトルを示している。そして波長帯域8~13μmの放射は小さいのに対し、CO2が吸収・放出する波長帯域15μm付近では安定していることが分かる。これはCO2の濃度が現在でも充分高く、その吸収量(放出量)は飽和していることを示している。電磁波の放出・吸収現象では、吸収率と放出率は等しくなるから(キルヒホッフの法則)地表面放射の吸収量が飽和すれば、大気中のCO2濃度がそれ以上上昇したとしても、地表面に到達する大気からの熱放射が増大することはない。従って、大気中のCO2濃度が増大しても温室効果が大きくなるということはない、これは科学の真理である。
 金星は大気中のCO2濃度が96.5%あって、その「温室効果」により金星の表面温度は460℃にもなっていると説明されている。しかし金星の大気は地球よりも50㎞くらい厚く、大気圧は92気圧もある。仮に地球の大気が金星並みにあと50㎞厚くなれば、地表の気温は778K(500℃超え)、逆に金星付近の大気を断熱的に1気圧まで減圧すると、-12.6℃となる。金星の大気温度が高い理由は、金星大気が分厚く、大気圧がべらぼうに高いからであって、CO2の温室効果のせいではない。昔の子ども向けの本に、地球からロケットで金星に藻類をぶち込んで光合成をさせ、CO2を減らして環境を改善した後、人類が金星に移住するという構想が紹介されていたのだが、金星の分厚い大気をどうにかしなければ人類は移住できないのだ。
 現在の大気中のCO2濃度は410ppmもあるそうだ。南極のボストーク基地周辺で採取された氷床コア分析によると、コアに含まれている気泡から過去40万年に遡るCO2濃度の変動は180~300ppm、もちろんこれは過去の気候ともリンクしている。そこに比べて100ppmも濃度が上昇しているにもかかわらず、過去の温暖期(例えば6千年前の「完新世高温期(ヒプシサーマル期)」あるいは「気温最適期」…縄文文化が栄えた時代)ほど気温が上昇していない!これはCO2の温室効果がすでに飽和していることの証明ではないだろうか?
 温暖化、気候変動は過去にもあった自然現象であり、CO2の排出量を減らしても「いかんともしがたい!」のである。人間が気象・気候をどうにかできると考えること自体が、おこがましいのだ。

温暖化、大気からの下向き放射_0001


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