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第18回 北アルプス国際芸術祭 番外編
こんにちは、Vibrence建物とまち担当のタツです。
引き続き北アルプス国際芸術祭に出かけた際のレポートを続けます。今回は、作品というより周辺情報について書ければいいなと思っています。
昨年は中之条の芸術祭に出かけたりと地方主催の芸術祭も時々出かけていますが、一番大変なのが足まわりに関することです。日本の地方は車で移動が基本になっていますので、こういった地方の芸術祭は運転できない私はかなり不便です。タクシー貸切したいとか考えても、運転手不足は深刻なようで街にタクシーの数が数台ということもあり貸切はできないと言われたりします。乗り継ぎ乗り継ぎなんとか回ったりしていますが、北アルプス国際芸術祭はアートバスを運営してくれていてかなり便利にほとんどの作品を回ることができてありがたかったです。
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A〜Cコース、午前午後と回ってくれていたので、全部乗っても二日で回りきれます。他には時間のない人用に主催者がセレクトしたコースバスも用意されており、解説付きで作品巡りをしているようでした。いろんな周り方ができて、しかも運転できない人に優しい運営がとてもありがたいので是非続けて欲しいですし、他の地方芸術祭の運営も参考にしてもらえるとありがたいです。
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今回、宿泊施設探しには苦労しました。オンシーズンなのか大町周辺の宿泊施設はどこも満杯で(ここ最近わかったのですが日本唯一のトロリーバスが運行中止が決まっていたのでそこら辺も影響したのかのかもしれません)やっと見つけたのは「薬師の湯」という温泉施設に併設された「ネルダケ」という簡易宿泊施設です。
安かったのと温泉がいつでも入り放題だったので、私には向いていたかもしれません、快適に旅を過ごせました。大町は温泉旅館も多く、この宿泊施設周辺はホテルや旅館が集まった温泉郷という集落になって整備されています、次回は是非そっちのホテルにも泊まって見たいものです。
問題は駅前からのアクセスです、最終バスが17時20分くらいなので夕食を駅前で取ると帰る足がなくなってしまいますが、温泉郷は夜に食事をとらせてくれるお店があんまりありません。みんなホテルや旅館で食事をするのでしょう、仕方ないのですがもう少し遅い時間にバスがあると便利なのになと思っていました。私は一度夕食を商店街で取って1時半以上歩いて帰ってみたのですが、流石に真っ暗で怖かったです。
ちなみにアートバスの運転手さんの話ではくまはしょっちゅう町場にも顔を出すそうで、泊まっていた薬師の湯の中に入り込んでしまったことも過去にはあったようです。自動ドアがタッチ式に変わったとか・・。
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大町市には国宝と重文の建造物がありました。ということでもちろん食指を動かしました。
まずは国宝の仁科神明神宮の紹介です、実はそばで作品の展示があったのですがさっさとみてしまってこちらを拝観させていただきました。
三間平入の神明造、拝殿と廊で接続しています。棟を直接支える棟持柱がはっきりと確認できます。お伊勢さんとかだとここまではっきりと間近で確認できないと思うのでありがたいことです。
創建は17世紀、日本では最も古い神明造のお社ということで国宝となっているようです。神社は式年遷宮等で建て替えが前提になっているので古社はそうそう多くないのでかなり珍しい遺構と思います。
諏訪は出雲系の神様が強い印象なので、神明神宮は多少違和感がありますが、逆に対抗してるってことなんでしょうか?政治性があったのか興味深いですよね。
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重文の若一王子神社本殿も拝観してきました。
一間春日造の小ぶりな社です。室町時代創建の遺構で由緒は古代まで遡るようです。当初、伊弉諾が祀られていたようですが室町に若一王子を勧請してそう呼ばれるようになったようです。場所は山の中ではなく街中にあるのに周囲は閑として、とても大事に古風ぶりを守ってきているのがわかります。
蟇股の彫物、金物など中世っぽい装飾性が特徴的でした。
社の境内には観音堂(県宝)や三重塔(県宝)が建てられ、往時の神仏習合の思想が垣間見られます。信濃の地は色んな意味で古代から複雑な精神性があり、その表徴として建築の遺構にも複雑性が顕れている気がします。
奥深く古い地層の地で、またゆっくり回ってみたい街です。