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第16回 北アルプス国際芸術祭2024 その1

こんにちは、vibrance建築と街担当のタツです。
前回に引き続き長野県大町市にフラッといった旅の記録です。
今回はちゃんと目的だった北アルプス芸術祭について触れていきたいですね。
ただ、全部の作品を一つ一つ話すのは無理なので気になる範囲で話せればと思います。

Tangble Landscape   目 [me]

へっこらへっこら長い階段を登るとこの作品への細い道が現れます。
この竹の塀で囲まれた小道に誘導されて山頂にポツンと立つ一軒家まで誘導されます。

アクセス

この時点では家全体はわからないまま、ただ白く丸く空いた穴が入り口として現れます。

入口


急に開ける山並み
白い空間の隙間からかつての暮らしがもれ抱いています。
異化された北アルプスの風景
またもや転ぶのか?
埋もれていく記憶
何かへの通路

つい最近まで誰かが住んでいた廃屋を白い樹脂で覆い尽くしていくつかの穴と通路として作り替えられていました。転びそうにながら家の中をツアーしていくとぽっかりと空いた穴がいくつかあり、そこから北アルプスや家周辺が発見されていきます。何気なくみたアルプスとまた違った風景として浮かび上がってきます。しかも、その背景にはここで生活していた誰かの亡霊も感じながら。
目[me]さんの作品は千葉美術館の展示でも以前見ていましたが、目の目にあるものに違和感を感じ凝視して余計にまた違和感を感じるといった不思議な体験をさせてくれます。多分、これからの日本の美術界を担っていくグループなのでチェックしておいてください。

帰り際にやっと確認できた全貌

竹の波 ヨウ・ウェンフー


アクセス
表側の全貌
近影
内側からのディテール

公民館を覆う竹の波。前回の芸術祭から設置されている竹のインスタレーションは、次から次と押し寄せる波のように増殖しているようです。最初は表側だけかと思った竹の波は裏にも伸びていて、建築物を侵していっています。


裏側

もちろん内側には隙間ができてそこをカラカラと歩くと公民館としての機能が異化されて新たな空間になっています。すごく狭い石垣との隙間は神聖な何かを感じました。

細道への誘い
石垣の壁とのすごく狭い隙間

北北西に進路を取れ 磯辺行久


ダムの上から
グランドレベル

石積みダムの広い空地にダムが出来る前の川の流れなどを方位と風の向きを使って表現された作品です。北北西は軸線として提示され、現況の風向との差異を感じてくださいとのキャプションがあったのですが。実は当日は無風。はためくはずの緑と白の風向機がだらりと眠っています。
ここの場所で過去の作品も作られていたらしく、ダム上からの眺めでその作品の時間の折り重なりが確認できます。地域としての時間と作家の思考と作品の時間まで折り重なっています。
あとこここは、石積みダムが壮観です。バスの運転手さんによると50年ほど前築造とのことでした。石で川の水を堰き止める姿は、ビーバーのダムが単純にデカくなったような、お城の石垣が急に山の中に現れたような美しい傾斜と曲線を描いていました。

石積みのダム


石積みダム全景と作品

山の心音 スクリプカリウ落合安奈


作品に向かって
右側が入り口
映像作品を見た後のクリマックス
出口を振り返って

この作品は映像作品です。地元の猟師と山を歩く映像が映し出され、彼から聞いている話とともに淡々と美しい山の風景が映しだれていきます。そして深い緑を含んだブルーがある象徴的な意味を持った色であることを暗喩されながら続いていきます。そして映像が終わる時その色の謎が明確になり屋外に出るとその色に囲まれた空間にスッと放りだれます。その空間を通って現世に戻るわけですが、その時にこの作品はこの瞬間のための前振りがずっと続いてたんだと気づきます。ぱっと見なんてことはない空間ですが、死ぬほど美しく、かつゾワゾワした感触を背筋に感じるそんな素晴らしい空間として認識されていきます。

全部は紹介しきれないにしてもまだまだ興味深い作品はたくさんあったので続くということで、今日はこれくらいで!

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