マダミスシナリオ「正義が悪意の種を撒くとき」
オリジナルシナリオ「正義が悪意の種を撒くとき」GM用のシナリオです。
リプレイ動画リンク
GMを行っていただくにあたって、味もそっけもなく物語の真相を書いていきますので、まずは物語を楽しみたい、という方はこちらから動画を見ていただけますと幸いです。(本シナリオは1時間半の時間制限ですが、動画は編集のうえ計30分程度にまとめています。)
youtube:
前編
https://youtu.be/fVmxqZyzoWE
後編
https://youtu.be/Tc7wvRU9nv0
ニコニコ
前編
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38661656
後編
https://www.nicovideo.jp/watch/sm38688400
■概要
プレイ人数 :PL3名、GM1名
ジャンル :SF
シナリオ難度 :★★☆☆☆
GM難度 :★★★☆☆
制限時間 :1時間半
テストプレイ:済
■GM用シナリオ真相
※シナリオスタート時までに起こった事象です。
PLには開示しないようにしてください。(クリア後感想戦時に開示してください。)
某独裁国家が倒れた時に発見されたのは史上最悪の生物兵器だった。
そのウイルスは致死率90%とも言われ、どのような環境でも生き続ける。
このウイルスがばら撒かれれば人類全体が壊滅するだろう。
一時は地下施設での補完や海中へ沈めることも検討されたが自然災害とともにウイルスが何らかの形で拡散するリスクがある。
国連は、ウイルスを宇宙に飛ばすことを決めた。
しかし、無人での打ち上げには技術上のリスクも伴う。
少しでも確実なウイルスの処理を行うために、秘密裏に4名のクルーが選ばれた。
彼らは崇高な思想を持ち、燃料の限り地球から遠ざかることを任務とした。
あらゆる状況が発生しても、宇宙船を前に進めるための訓練は苛烈を極めた。
しかし、万が一船内でウイルスが拡散した場合、クルーは倒れ、宇宙船は制御を失う。
その時のためのバックアップメンバーの選出や訓練をどうするか、またバックアップクルーの感染対策はどうするか。いくらバックアップのメンバーをおいても、いざウイルスが拡散すれば一網打尽となることは目に見えていた。
その解決策に思えたのが、クローンとコールドスリープだった。
選ばれた4名のクローンを作り、コールドスリープ状態にする。もしもメンバーが死亡した時は、記憶が次のメンバーにインストールされ、目覚める。
まだ完成された技術ではないが、万が一の事態への備えとして、他に選択肢はないように思えた・・・。
エリック、アンナ、スズキ、マリア
この4名の旅は絶望的な始まりではあったが決して悲壮感が漂うものではなかった。
人類のための片道旅行、などとエリックはおどけることもありスズキの作る食事は
とても必要最低限に用意された食材とは思えないほどの味だった。
マリアは、このプロジェクトに参加する条件として、宇宙船に研究スペースを作ってもらえるように申し出た。
人類が作り出したウイルスなら、必ず人類の手で無力化できるー
そして、もし治療薬ができれば、私たちは帰れるー
静かに情熱を燃やす彼女は1人研究室に籠ることも多かった
メンバーの空気が変わったのは、折り返し地点、つまり彼らが地球に帰れなくなる地点の前のことだった。
治療薬ができたかもしれない、そう興奮気味に話すマリアの言葉に、メンバーは沸いたが、
同時に複雑な感情を抑えきれなかった。
自分は帰れるのかもしれない、
もう一度、残した家族と会えるのかもしれない
そんな思いが、一度固めた彼らの信念を激しく揺さぶってしまった。
動物実験に使うようなマウスも確保できない状態だったが、スズキとアンナは自らを実験体とするよう申し出た。
厳重に保管していたウイルスにあえて感染し、治療薬を試す。
エリックは反対をしていた。彼自身、心が揺れていたのは事実だが、その事実自体に彼は怒り、その怒りをぶつけていた。
スズキとアンナに厳重に保管されていたウィルスを注入し、同時に別々の試薬を打ち込んだ。
初めはウィルスを押さえ込んだように見えたが、スズキは症状を抑え込めず、アンナは副作用で死亡した。
エリックにはマリアが仲間を殺した敵にしか見えなくなり、斧でマリアを殺してでも中止させようとしたが、既に自らにもウイルスと薬を投与したマリアは自らのデータを取るために抵抗、エリックを返り討ちにしてしまう。
傷を負いながら懸命にデータを取るために実験室に篭ったマリアだが、出血が止まらず死亡する。
そうして、次のクローンが目覚めるのだった。
■キャラクター設定
〇PLが選択するキャラクター
●スズキ マルイチ(番号1)
・41歳。独身。
・フレンチシェフ出身の異色の寿司職人。
・双子の兄、バツイチと開いたNYのレストランが大盛況。
・目覚めたときに脳裏に浮かんだメッセージ
→「地球に帰ってはいけない」
●アンナ ペトロワ(番号2)
・30歳。独身。
・機械エンジニア
・6年つきあった恋人と別れたばかり。
・目覚めたときに脳裏に浮かんだメッセージ
→「地球に帰ってはいけない」
●マリア バルボア(番号4)
・26歳。独身。
・製薬会社の研究員。
・新薬の研究に打ち込み、仕事以外に興味はない。
・目覚めたときに脳裏に浮かんだメッセージ
→「必ず、地球に帰る。間に合わせてみせる」
※PL非開示情報
彼らは宇宙船のクルーに事故などが起こった場合に目覚めるクローンであるが、クローン・解凍技術はまだ不完全だったため、自分がなぜここにいるのか、という記憶が欠落してしまっている。
仮に思い出せたとしても、記憶があるのは、地球出発前の記憶までであり、宇宙船内で何が起こったかを思い出すことはない。
〇GMが操作するキャラクター
●エリック ジョーンズ(番号3)
・35歳。既婚。
・生物学者で、某大学准教授。
・大学院で出会った妻と、4歳になる娘がいる。
・コールドスリープは、クルーが事故死、病死などした場合は
自動で解凍されるが、殺害された場合は、
解凍ボタンを押さないと解凍開始しない設定。
→PL達が3番のCS室を開き、解凍ボタンを押した場合、
5分程度で目覚めることとなる。
・他プレイヤーと同様に、記憶は欠落しているが、
他の3人よりも記憶のダウンロードがうまくいき、
ある程度の記憶は残っている。
→GMはPLの推理状況などを見て、エリックの記憶の戻り具合を調整
※ 推奨される開示情報
・自分たちはウイルスを隔離するために、宇宙に飛び立ったこと
・4人は厳しい訓練を乗り越えた仲であること
・不測の事態に備え、バックアップメンバーを選出するはずだったこと
●フィクサー
・オリジナルのアンナに作られたサポートロボット
・宇宙船の修理や死体などの処理(ゴミ出し)・清掃、入室権限の調整などを行う。
・あまり情報はインプットされていない
・ありあわせの材料でつくられたため、デザインはそんなに良くない
・アンナの音声データをもとにしゃべっているため、
(女性の)くぐもったような声でしゃべる
・4人の基本的データはインプットされている
→顔を見ればだれかわかる
・シナリオの核心に迫るようなことや、殺害に関する情報などはわからない
・フィクサーができることは以下のとおり
→動力室の故障の修理(20分)
→住居スペースの権限書き換え(10分)
→コールドスリープ室のロック解除(5分)
→研究室のパスワード解析(30分)
※研究室の解析は推理そのものの否定であるため、所要時間や解析可能 であることは積極的にはアピールせず、お願いされた場合に、どれほどかかるかわからないが…といった形で行うことを推奨。
■導入
各キャラクターに以下のメッセージを開示します。
PLが読み終わったら、1時間半のタイマーをセットし、導入文を全員に開示します。
※メッセージ以外はほとんど同じです笑
〇マルイチ
あなたが目を開けると、そこは奇妙な卵の殻のような機械の中だっただった。ゆっくりと自分の脈拍が上がっていくのを感じる。体に繋がれたチューブから注入される栄養液が自分の体に吸収されていく。5分ほど経って、体を起こせるようになったあなたはチューブを外し、機械のハッチを開けた。どうやら自分がいた部屋は、この卵のような機械が1台だけ置かれた個室のようだ。
あなたは異変を感じる。
自分のことは思い出せる。自分はスズキ・マルイチ、41歳、寿司職人だ。フレンチ出身の異色の寿司職人として、双子の兄、バツイチと開いたニューヨークのレストランは大盛況・・・。
しかし自分の状況は全く飲み込めない。孵化器のような機械から体を出し、ごちゃごちゃしたコードを踏まぬよう出口のドアへと向かう。
ドアは自動で開き、自分が広い部屋に出ると同時に閉まり、カチリというロックの音がした。
「お待ちしていました、スズキ・マルイチ」
ふざけたデザインのロボットが自分に話しかけてきた。ふと右側にある窓の外を見ると、そこは、宇宙だった。
一つだけ、あなたの脳裏に強烈なメッセージが浮かんだ。
「地球に帰ってはいけない」
〇アンナ
あなたが目を開けると、そこは奇妙な卵の殻のような機械の中だっただった。ゆっくりと自分の脈拍が上がっていくのを感じる。体に繋がれたチューブから注入される栄養液が自分の体に吸収されていく。5分ほど経って、体を起こせるようになったあなたはチューブを外し、機械のハッチを開けた。どうやら自分がいた部屋は、この卵のような機械が1台だけ置かれた個室のようだ。
あなたは異変を感じる。
自分のことは思い出せる。自分はアンナ・ペトロワ、30歳、機械エンジニアだ。6年つきあった恋人と別れたばかりで・・・。
しかし自分の状況は全く飲み込めない。孵化器のような機械から体を出し、ごちゃごちゃしたコードを踏まぬよう出口のドアへと向かう。
ドアは自動で開き、自分が広い部屋に出ると同時に閉まり、カチリというロックの音がした。
「お待ちしていました、アンナ・ペトロワ」
ふざけたデザインのロボットが自分に話しかけてきた。ふと右側にある窓の外を見ると、そこは、宇宙だった。
一つだけ、あなたの脳裏に強烈なメッセージが浮かんだ。
「地球に帰ってはいけない」
〇マリア
あなたが目を開けると、そこは奇妙な卵の殻のような機械の中だっただった。ゆっくりと自分の脈拍が上がっていくのを感じる。体に繋がれたチューブから注入される栄養液が自分の体に吸収されていく。5分ほど経って、体を起こせるようになったあなたはチューブを外し、機械のハッチを開けた。どうやら自分がいた部屋は、この卵のような機械が1台だけ置かれた個室のようだ。
あなたは異変を感じる。
自分のことは思い出せる。自分はマリア・バルボア、26歳、製薬会社の研究員だ。新薬の研究に打ち込み、仕事以外に興味はない・・・
しかし自分の状況は全く飲み込めない。孵化器のような機械から体を出し、ごちゃごちゃしたコードを踏まぬよう出口のドアへと向かう。
ドアは自動で開き、自分が広い部屋に出ると同時に閉まり、カチリというロックの音がした。
「お待ちしていました、マリア・バルボア」
ふざけたデザインのロボットが自分に話しかけてきた。ふと右側にある窓の外を見ると、そこは、宇宙だった。
ふと、あなたの脳裏に強烈なメッセージが浮かぶ。
「必ず、地球に帰る。間に合わせてみせる」
〇導入文
あなたたち4人はほとんど同時に部屋から出てきた。
キョロキョロと互いを見やり、また自分の名を読んだロボットを眺めた。
ロボットはくぐもった音声で喋り始めた。
「私はフィクサー。宇宙船でお困りのことがあれば、なんでもお申し付けください」
4人のうち誰かがこういった。
「お困りのことも何も、これは一体どういうことなんだ?」
「・・・すみません、よくわかりません。」
どうやらこいつにあまり期待しない方が良さそうだ。
4人は再びお互いを見合わせた。この状況を解決するためにも、まずは自己紹介が必要なようだ。
■船内マップおよび各部屋でのイベント
船内マップは、PLがフィクサーに表示をお願いした場合や、あるいは頃合いを見てフィクサーから表示させるようにします。以下、下線を付した情報は、GMのみが知っている情報です。
〇コールドスリープ室(CS室)
・各PLが個室で目覚め、部屋を出て出会う部屋。
・個室はロックがかかっており、フィクサーに頼むことで開錠が可能(5分)
・個室はPL番号に紐づいている。
〇コールドスリープ室(各個室)
・3番の個室にはエリックのクローンが眠っている。
(前のエリックが死亡したため、スタンバイしている状態)
・解凍ボタンを押すことで、5分程度で目覚める。
・それ以外の個室の解凍機は空だが、何らかの理由でPLが死亡した場合、新たなクローンがセットされる。死因が病死・事故死の場合は自動解凍。殺害された場合、解凍ボタンが押されるまでスタンバイ。
〇廊下
【初回はGMがこちらの文章を読み上げ】
廊下に出ると目に飛び込んできたのは血溜まりと、斧、そしてあおむけに倒れた死体だった。
斧はその熱で焼き切るような機構になっているのか、傷口は焼け焦げたようになっていた。
換気システムが作動しているのか、血の匂いはさほどひどくないが、非日常に非日常をぶつけるようなその光景に思わず吐き気を催す者もいた。
調査で得られる情報は以下の通り。
・争った形跡が見られる。
・顔、体格と肌の色はわかるだろう(痩身中背・30〜40代程度?白人男性)
・どこかで見たことあるかも?と思い出しかけることも許容。
・フィクサーに尋ねることでエリックであることはわかる。
・血痕は死体の周りだけではなく、扉の1つの周りにも付着している。
・死体は一代前のエリックのもの。・詳細はシナリオ真相を参照。マリアはエリックを殺害した後、自らに投与した薬のデータを取るため、研究室に入室し、中からロックをかけた。(エリックが生きていた場合に邪魔されないようロックをかける。「殺したのは…」というのは、マルイチ・アンナも含んだ表現)
各扉のロック状況は次の通り
レクルーム 空いている
動力室 空いている
操縦室 空いている
住居スペース ロックされている
→網膜と、手首に埋め込まれたナノチップで認証される。
→フィクサーに依頼可能(10分)
→クローンが目覚めた場合、ナノチップの権限を書き換え、クローンが使用できるようにシステムが組まれているが、自動書き換えには3時間程度を要するため、プレイ中に開けようとする場合は、フィクサーに依頼する必要がある。 研究室 ロックされている(暗号解除の質問:殺したのは誰だ?)
→フィクサーに依頼可能(30分)
→マリア バルボアと入力することで開錠
→適当に入力しようとした場合、フィクサーから「おそらく間違えるとロックがかかる。入力は1度きり」といった旨の警告を出すこと。
〇動力室
【初回はGMがこちらの文章を読み上げ】
動力室を開けた〇人が見たものは、複雑そうな機械と、それが何者かに破壊され、黒煙を上げているところだった。
調査で得られる情報は以下の通り。
・フィクサーに依頼することで修理可能(20分)
・修理しないと宇宙船はコントロール不可の状態
〇レクリエーションルーム
【初回はGMがこちらの文章を読み上げ】
そこは、おそらく身体機能の維持や、ストレス発散のために作られた部屋のようだ。バスケットボールや卓球台、トレーニング用のマシンなどが用意されている。
しかし、3人の目に留まったのは、壁に荒々しく刻まれた
「よくも仲間を殺したな 許さない」
という文字だった。
調査で得られる情報は以下の通り。
・壁は焼け焦げたような跡がある
→一代前のエリックが、斧で刻んだ文字
・卓球台などは4人が使える程度にしか用意されていない。
〇操縦室
【初回はGMがこちらの文章を読み上げ】
長く続く廊下の先には、操縦桿やモニター、ちょっとした休憩スペースがある部屋だった。フロントガラスには広大な宇宙の景色が広がっている。
調査で得られる情報は以下の通り。
・休憩スペースは4人用
・モニターを調べると以下の情報がわかる
地球帰還不可までの時間(タイムリミット)
目的地をセットすることで自動操縦する機能があること
現在目的地はセットされていないこと
出発地点は地球であること
地球は出発地点として履歴があるため、目的地にセットできること
→動力室を修理していない場合、方向転換が不可
〇住居スペース
【初回はGMがこちらの文章を読み上げ】
廊下から住居スペースに入ると、4つの個室に続く扉と、調理スペースなどの共用部がある部屋がそこにあった。
調査で得られる情報は以下の通り。
・調理スペースなどは最近まで使われている様子
・各個室は、個室の持ち主しか入れない(網膜と手首ナノチップ認証)
・入室するためにフィクサーがクローンに権限を書き換えたため、PLは各個室に入れるが、3番の個室はエリックの死体では開かず、CS室内に眠るエリックを連れてくる必要がある
〇個室1(マルイチ)
調査で得られる情報は以下の通り。
・マルイチそっくりの死体がベッドに横たわっている
→一代前のマルイチの死体。アンナに投与された薬は効かず、ウイルスに感染し病死。
・特に外傷はない
〇個室2(アンナ)
調査で得られる情報は以下の通り。
・簡素な生活スペース。
・「何とか間に合ってほしい。私たちの希望。頼んだわよ、マリア」と書かれたメモが見つかる。
→アンナは自分の文字であることがわかる。
〇個室3(エリック)
調査で得られる情報は以下の通り。
・簡素な生活スペース。
・以下の内容のメモが見つかる。
ー俺たちは、崇高な使命を負って地球を発ったのに、
今になって帰れるだなんて、あいつは何を言っているんだ。
そんな話に、乗るほうも乗るほうだ。
マルイチも、アンナも。どうしてあんな話を信じるんだ。
俺たちは、地球に帰ってはいけないんだ。
いや、地球に帰してはいけないんだ。
ああ、あいつが研究室から厳重に保管されたアレを取り出してきた。
もうおしまいだ。俺たちは地球に帰ってはいけない。
あいつを、マリアを・・・、仲間を殺してでも。
→エリックが入れば、自分の文字であることがわかる。
〇個室4(マリア)
・外れ部屋。特に何も見つからない。
一代前のマリアは研究に没頭しており、住居スペースはほとんど使っていなかったと思われる。
〇研究室
【初回はGMがこちらの文章を読み上げ】
マリアの名前を入力すると、扉の施錠は解除され、自動ドアが開いた。
そこには、宇宙船の内部だとは思えない、広い実験のためのスペースや機器があり、そして、アンナとマリアが床に倒れていた。
調査で得られる情報は以下の通り。
・マリアは出血がひどいが、アンナに外傷は見られない。
・マリアが書いたと思われるメモが見つかる。
マルイチ、アンナごめんなさい。
私の力が及ばず、あなたたちを死なせてしまった。
でも、私に打った薬はどうやら、ウイルスの不活性化に成功しているみたい。
一番可能性の高い薬を私に打て、と言ってくれて、ありがとう。
私が死ぬまでのデータも、取り続けている。
どうか、次の私たち。
この薬を完成させて、地球に帰って。
・机の上に並んだ試験管と、びっしりと書き込まれたレポートがある。
→マリアはそれを読めば、薬の特徴や精製方法が理解できるだろう
■シナリオクリアの条件
〇分岐1 宇宙船を引き返さないという選択をする
宇宙船は、漂い続ける。彼らは、いつか眠りから目覚めるだろう。船 に潜んだ悪意を地球に帰さないこと。それだけの祈りを乗せていることに気づいたときに、彼らは使命を果たしたと喜び合うだろうか?なぜ起こしたと、嘆くだろうか。その選択は自分ではない誰かがしたものだと、恨むだろうか?
もう戻れない船の中を知る由はない。
〇分岐2 宇宙船を引き返すという選択をする
ゴウゴウと音を立て、宇宙船はここまで船員が紡いできた思いを笑うかのように方向転換をはじめた。地球に戻る、地球に戻れる。希望を乗せて船は進む。しかし、おそらく彼らは地球にはたどり着けないだろう。すでに船の中で眠っていた悪意は放たれているのだから。あるいは、次の彼らはたどり着くだろうか?彼らを待つのは、歓待か、それともー。
〇分岐2-2 すべての謎を解いたうえで、宇宙船を引き返すという選択をする
地球帰還不可までのカウントダウンは消え、
代わりに地球への帰還までのカウントダウンが開始された。
表示された時間は、約12年。
あなた方は、地球に向けてゆっくりと方向転換する船の中で、これからの旅路を思うでしょう。
地球に帰りたい、治療薬を作りたいという正義が、悪意によって作られたウイルスという種を撒くとき芽吹いたのは、悲劇と、新たな旅の始まり。
4人の旅が無事終わりますように・・・。
■残された謎について
ここから先は、すっきり終わりたい人は、見ないほうがいいかもしれません。本シナリオでは語り切れなかったテーマ・解決されなかった問題について、少しだけ触れたいと思います。
・マリアの死因
マリアはマルイチ・アンナと一緒に目覚めた。
このことが意味するのは、マリアは殺害されたとシステムは認識しなかったということ。
つまり治療薬はED時点ではまだ完成しておらず、ウイルスにより病死した、とも考えられる。
分岐2-2の場合は、マリアは先代の遺志・研究を継いで、おそらくは治療薬を完成させるだろう。
このウイルスが死体からも感染するようであれば、残された時間は多くはないが…。
・PLたちについて
見つかった死体は自分たちと瓜二つであった。
また、地球に帰るまでの帰還は12年。
このことが意味するのは、先代もオリジナルではないのでは?ということ。
そして、まだ自分たちのクローン、ストックは船で眠っているのでは?ということ。
無事帰還したときに、彼らは自分をどう定義するだろうか?そして、自分たちのクローンをどう扱うだろうか?
最後に
私はこれがマダミスシナリオ1作目で、もしGMをやるにあたっての不明点・シナリオの矛盾などがありましたら、ぜひコメントやご質問を頂けますと幸いです。
少人数で犯人役を身内にしてしまうと、発言のあら捜しになったり、すぐにばれてしまったりと、なかなか初心者が楽しめないため、ストーリーを重視するような設えとしてみましたが楽しんでいただけますと幸いです。
また、素材となるキャラ絵などは別記事で投稿しておりますので、こちらも自由にお使いいただいて結構です。
また、本記事へのいいね!や、ニコニコ・Youtube動画へのコメントなど、少しでもフィードバック(と、もしよろしければ宣伝を…)をいただけますと、次作への励みになりますので、よろしくお願い申し上げます。