楽器大戦争
という事で、高校生活は吹奏楽部員として過ごすことにした。
その吹奏楽部の実力は、普通よりまあまあ上手いくらいだったと思う。
なかなかの人気部活動で、僕の他に数十名は入部した。
そのほとんどを覚えてないんだけどね。
入部時に最初に決める事。
どの楽器を3年間のパートナーとするか。だ。
フルート、サックス、トランペット辺りはやはり大人気で、各楽器で定員も決まっているため誰かは希望の楽器をパートナーにできないわけだ。
つまり。
高校デビューは戦争からなのだ。
血で血を洗うような話し合い。
それでも決まらなければ己の運命を信じ、鉄のくじ引き。
ああ、恐ろしい。
人間とはなんとくだらなく、汚い生き物なのか。そんなにキラキラ金ピカな楽器が良いものかね。
僕はオーボエっていう人気のない楽器だから平和だぜ。
「オーボエやりたい人ー?」
すっと手を挙げた。
今まで一番キレイなフォームで。
僕ともう一人、女の子も。
そうですか。
はいはい。
ならば
戦争だ。
こちとら先生に直談判行ってんねんぞ?
やる気は俺のが上ぞ??
お?
と言わんばかりの形相で、女の子と話し合い。
向こうもこっちの必死さにドン引きし、案外、決着は早かった。
オーボエの座は、我が勝ち取ったのだ。
ちなみにその女の子はバスクラリネットという低音楽器を吹くこととなり、一年もしない内に部活を辞めていった。
それだけ、自分がやりたい楽器をやれなかった事の影響は大きいのだ。
申し訳ない気持ちと、その分、練習しようと心に誓ったかどうかは覚えていないけど、壮絶たる練習の日々を送る事となった。
そう。
練習しすぎて、先生に学校辞めろって言われるくらいね。
続く。
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