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「遊び」がもたらしたモノ、それは何か?科学の目でみていくと…。

#サイエンス #科学
#遊び #ホイジンガ #ネオトニー  

人にとって、遊びは仕事同様に大事なことらしい。私たちの文化は、いわば遊びによって反映したといっても良いだろう。今回は、この遊びについて掘り下げてみる。

「おいしい生活」で、一時代を築いた糸井重里。彼の名コピーに「喰う、寝る、遊ぶ(クーネルアソブ)」がある。日産自動車のテレビCMで流れていたもので、今でもYouTubeで見ることができるようだ。人が生きていくうえで、「喰う」と「寝る」は必要なことだが、さらに「遊ぶ」も同等にあつかった。

日本では、「物見遊山(モノミユサウ)」という言葉が、昔からある。気の向くまま、山野にでかけ見物して遊ぶということだ。「漫遊(マンユウ)」という言葉もあり、旅を楽しみ遊んでいたことがよくわかる。

礼儀正しく、真面目な日本人。遊びとは、程遠い生活をしていたように思われるが、実態はこれとは真逆だった。日本が世界に誇るべき文化、漫画。これも、遊び心がなかったら、けっして生まれなかったのではないかと思う。

*動物も、遊んでいる!
犬や猫を飼っている人は、よくわかっていると思うが、けっこう遊ぶのが好きな生き物だ。野生動物も、遊ぶモノが多いという。ただ、野生の場合、おもに遊ぶのは子供のころと言われている。

野生動物を飼い馴らした種が、犬や猫。やさしい性格を持った個体を何世代か掛けあわせて作ったという。このことにより、人に甘えるようになったと同時に、遊ぶようになったようだ。これを「ネオトニー」と呼ぶ。日本語にすると「幼形成熟」。実験で、野生のキツネを使い、同じようなことをしてみると、おとなしく子供の性質を残した大人ができることがわかっている。


*遊びを研究したホイジンガ博士
オランダの歴史学者で文化人類学者だった「ヨハン・ホイジンガ」(1872〜1932)。彼が、1938年に発表したのが『ホモ・ルーデンス』(遊ぶ人)だ。

それまでの学説では、人の世界には「文化」が先にあり、それにより「遊び」が生まれたと考えてきた。そのため、遊びが人にどれだけ役立つか!その意義を研究することが中心だったと言う。

これにたいしホイジンガは、遊びは文化が生まれるまえに発生し、遊びが文化を発展させたと考えたのだ。

*人の遊び、7つの特徴
⑴あくまで、自由な行為である。
⑵日常とはちがった時間と空間でおこなう。
⑶直接的な利益がもたらさない。
⑷一定のルールに従って行うものである。
⑸仲間同士の調和を求める。
⑹不確実性がある。
⑺現実とは異なる虚構の世界である。

それぞれ見ていくと…。
⑴自由な行為とは、強要されてやっていないということ。自らが勝手におこなっていて、義務ではやっていない。
⑵現実世界とは、気に切り離された世界でおこなっているということだ。利害関係などない世界でやっている。
⑶遊ぶことで、自分が得するということは無い。損得に縛られていないということ。
⑷秩序に基づいているから、大勢でやる遊びが成立するという事。ルールを破るプレイヤーがいると、遊びそのものが崩壊してしまう。
⑸遊びの中で、コミュニティーができるということだ。
⑹やってみなければ、どうなるかはわからない。不確実性があるから面白いといえる。
⑺作りモノの世界でおこなうのが遊び。映画や小説に、没頭するのも一種の遊びだ。

*キャンプを例に…
まず、自分が好きで、キャンプに行くわけだ。誰からも、いつどこへ行けなどということは無い。また、キャンプをしたことで、何らかの利益を受けるということもないはず。友人を誘っておこなうキャンプ。これも、一定のルールに従わなければ、すぐに中止になってしまう。設営はどうするか!料理は誰が何を作るか!そんな決め事は最低限必要といえる。

まとめ
直接的利益をもたらさない遊び。しかし、間接的とはいえ、人類に文化という宝物を与えてくれた。この遊びがあったからこそ、人は大いなる想像力を獲得できたといえる。

私たちが、大人になっても頻繁に遊ぶ理由は、ここにあると言っていいだろう。食事や睡眠と同様に、大いに遊ぶべきだと思う。最近は、脳トレにボードゲームが良いという。高齢になっても、遊びは大事な生活の一部というべきだ。

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