[防災]消防団の担い手、どう確保する?
#地域防災 #消防団 #消防団員
#社会問題 #防災
近くの商店の社長、U氏。地元商店街の会長でもあり、かなり人望のある人物と見られていた。この方、消防団の団長でもあり、地域になくてはならない人物、そういう見方もされていたようだ。だが、裏の顔もあった。アルコール依存症だったのだ。出初式なのでみた制服姿の凛々しい格好とは別の一面ももっていた。
(これで大丈夫なのか?の疑問はあるのだが…。)
*減り続ける消防団員!
戦後すぐの昭和20年代、消防団員は全国に200万人ほどいた。それが減り続け、昨年(2023年)には76万人となっている。原因は社会の急激な変化。とくに農業従事者や自営業者が減ったことが痛かった。農家の補助金は、先進国では圧倒的に少ない日本。また1990年代から始まった規制緩和により、おおくの自営業者が職業をうしなう。
ある程度、時間の融通がつく農家や自営業者は、消防団の中心となってきた人たちだったが、その人たちがいなくなることで、地域防災がかなり難しくなってきたということだ。火災であれば、常勤の消防士に任せることができる。だが地震ともなると、やはり地域の消防団は必要不可欠となってくるはず。実際に阪神淡路地震では、消防団により多くの人命が救われている。もう一度、消防団の立て直しは必要だろう。
*消防団の現状とは?
1947年に交付された消防組織法に基づき、市町村に設置されたのが消防団である。消防という名称だが、水害や地震などすべての災害に対処するのがその役目。団員は、一般の市民(会社員、農家、自営業者、主婦)で構成されている非常勤の地方公務員である。
制服や備品の支給、さらに報酬も支給される。2020年のデータによると、平均で年額3万円ほどがでる。これは予備自衛隊員の年額4 万8千円よりも少ない。最近は主婦や女性も入ってきているようだ。だが、辞めていく団員が多く、結果として減少となっていった。
*消防団員を増やす切り札!
決まりでは、18歳以上となっているので、大学生に協力してもらうという手がある。事例としては京都府。この京都は人口10万人あたりの大学数は全国第一位だ。そこで京都府は、防災サークル事業支援の「京都学生ファスト(FAST)」を、2014年から始めている。この活動により、大学生に地域防災に目覚めてもらい、将来は地域の防災リーダーになってもらおうと考えているようだ。
現在、13大学でサークルが設置された。約140名ほどの大学生が活動しているという。消防団と連携しての防災パトロールや防災訓練の参加もおこなわれており、しっかりとした活動となっている。さらに、大学同士のネットワークも進められ、共同で講習会や防災イベントも開催しているという話しだ。
*もう一つの切り札!
これは、民間企業へ協力をあおぐということ。規制緩和で潤った大手企業が多くある。だとすれば、その企業の会社員にもある程度の負担をおってもらうしかない。いま企業の内部留保も相当な額ともなっている。会社員が地域防災活動に参加した場合、それも勤務時間にカウントすればいい。
これは社会貢献ともなる事業である。国(政府や総務省)としても、財界に働きかけるべきだろう。これはCSR (企業の社会的責任)にも通じる考え方だ。本格的に導入することで、初めて地域防災が復活できると言える。
*消防団員のメリット?
報酬のほかに、辞めた場合の退職金もでる。5年以上10年未満で、団長が23万9千円、団員20万円。20年以上働けば、団長59万4千円、団員は40万9千円となるようだ。会社員が会社の方針で参加した場合、これにインセンティブ(報奨金)を数倍つければ、やりたいと思う人は確実に増えるはずである。
どこの地域にも、ボランティア活動や社会貢献をしようとする人はいるものだが、会社員でもそれは必ずいるはず。これは社会全体の取り組むべきことだから、企業も社会に対して相当な社会貢献がアピールにはなると思える。
まとめ
損害保険の所でもふれたが、いま損保会社のほとんどが赤字となっている。それほどに近年は災害が多いということだ。いつ自分の住む街に地震が起こるとも限らない。そう考えると、消防団の整備は喫緊の課題ともいえる。
いま自治会・町内会にはいっている人も減っているようだ。しかし、いざ災害になったとき助けてくれる人は隣近所ということを覚えておかなくてはいけない。あの阪神淡路大震災では、近所の人に助けられた人が多くいたのだ。
さらに、独居老人や高齢者世帯が増え続けていることも忘れてはいけない。その意味で、消防団の価値は大きいということをもっと声高にいうべきであると考える。昔のように近所付き合いこそ、防災の第一歩だということも頭に入れておくべきだろう。
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