
[仕事]『特殊清掃人』、腐乱したご遺体と向きあう仕事!
#変わった仕事 #特殊清掃人
#3Kな仕事
今でも頭から離れないのが、映画「おくりびと」での一シーン。何にも知らずに入社してしまった主人公の大吾、最初の仕事で向かった先は、死後1週間を経っているという家だった。社長は「今日は見ているだけでいい!」そういったものの、現場に足を入れると、悪臭が立ち込め、虫が飛びまくっている。ご遺体を運び出すには、新人の大吾にも手伝ってもらうしかない。このときの大吾の顔が、アップで映し出される。とてつもなく嫌という顔だった。
*「特殊清掃人」の仕事とは
大吾の勤めた「NKエージェント」は、ご遺体の納棺をする会社だった。腐乱死体を扱うのは、どちらかといえば稀と言える。一方、この特殊清掃人の仕事は、これがメインとなるので、さまざまな苦労を伴う。ご遺体はすでに運び出されているが、悪臭や数え切れないほどの虫、そしてゴミが散乱している現場である。
映画「おくりびと」にある納棺師も嫌われる職業だが、この特殊清掃人の方がさらにハードルが高いと言えるだろう。すべてのご遺体の痕跡、つまり匂いやシミ・ゴミなどを消しさらねばならない。どう考えても普通の人にはできないと言える。
消毒するには、完全防御の服装で取り組む必要がある。機密性の高い使い捨ての上下服、感染を防ぐゴーグルと防毒マスクそして手袋。靴もビニールで完全に覆う。これらを身に付けたうえで、スキ間は養生テープでしっかりつなぐのだ。
*特殊清掃、その作業手順は
まず現場に着いたら身支度をしっかりととのえ、故人への「お清め」をする。亡くなった方の霊を慰めねぎらうためだ。そしていよいよ清掃に取り掛かる。まずは床に落ちたものを拾い集める。このような現場で多いのは虫。ウジが蛹化したサナギが大変なようだ。うっかり踏みつけないように注意すると言う。
汚れが染みついた布団、ゴミや虫などを片付け終わると、特殊消毒液を噴霧する。この薬剤は細菌を殺す働きがあり、悪臭を大幅に抑えられると言う。そして床こびりついた汚れをスクレーバーを使い取り除いていく。さらに残ったところはスポンジで擦りつづけ除去するのだ。かなり根気のいる仕事とも言える。
さらに浴室やトイレ・流しもチェック。すべて徹底的に汚れを取り除いていく。独居世帯では、水場はどこもカビだらけになっていることが多いと言う。これらの掃除も特殊清掃人の仕事の一部なのだ。
さらに壁や床など染み込んでしまった汚れ、これらは清掃では取り除けないため、新しいものに取り替えるしかない。柱は汚れを削り落とし、そのうえにコーティングをすると言う。
*「遺品整理」には気をつかう!
現場には、故人を偲ばせる遺品が数多く残っている。写真や手紙、タンスの中に入っている記念品の数々。これらを勝手に処分するわけにはいかない。それぞれ分類し、一定期間は保管するというのだ。親族の方が来られたら、それらを見せ、引き取れるものは持ち帰ってもらう。
こういった現場の故人、多くが借家であり、依頼主はその大家さんだと言う。だが、特殊清掃人にとっては、その背後に亡くなった方の思いが現場に詰まっていると考えるようだ。「現場に残したもの、全てを始末してほしい!」と…。亡くなった方の思いを考えて行うという。
*まとめ
この特殊清掃人、普通の人にはできないことだろう。もともと日本人には、ケガレという意識を誰もが持っている。単に壮絶な現場というより、「人の死」に直面した場所に入りこむ仕事、これに耐えられないということだ。
自分自身も、冒頭で述べたように、映画で見たものさえ、いまだ頭の隅から離れられないでいる。それだけ強烈なインパクトを与えられたということだだろう。なかなか誰もができる仕事ではない。このような仕事をする人にたいし、改めて敬意を表したい。