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インド、中国に対する敵対心の強い理由とは?

#インド #インドの歴史
#ヒンドゥー教

自分のなかで「インド」と言ったら、高校2年生の夏休みに社会科の教師がインド旅行を計画、20名ほどの生徒が一緒に行ったこと。9月になると授業でやたらと遺跡のスライドを見せられた。書籍においては、岩波新書で作家の掘田善衛が著した『インドで考えたこと』だ。芥川賞作家の堀田氏は、1956年アジア作家会議出席のためインド訪問、その時のことを綴っている。もう1冊お勧めなのが『河童が覗いたインド』、妹尾河童が独特なイラストと自身の文字で書いたもの。インドで体験したことが軽妙に綴られた名著である。

*20世紀以降の歴史
インドは英国の植民地として長いこと国民は苦しめられてきた。それが第二次世界大戦後、1947年になって、やっと独立を果たす。しかし、ここで内乱が起きてしまう。ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立である。イスラム教徒は、インド西部と東部に住むことになったが、それぞれインドから袂を分かつこととなった。そこで生まれた国家が、パキスタンと東パキスタン(後のバングラディッシュ)である。

イスラム教の国パキスタンと、ヒンドゥー教の国インドは、その後北部カシミールの領有をめぐり、武力衝突となった。これが第一次印パ戦争で、1965年と1971年にも第二次と第三次の印パ戦争が起きた。その後、1998年両国は相次いで核実験を行い、相互に牽制しあっているというのが現状である。

一方、中国とインドの関係が悪化したというのは、チベット問題からだった。このときチベットは中国から独立することを主張していたのだ。これをインドは支援する。中国としては放っておけないとして軍隊を送り込んだ。チベットを治めていたダライ・ラマ14世はインドへ亡命、インド国内で亡命政府をつくった。

*経済が急成長、その訳とは?
中国にとって、インドは完全な敵国となった。中国としては自国の経済成長をもとに、近隣諸国に投資をおこなうカタチで友好関係を築いていく。とくにインドの周りの国々に投資をおこなったのだ。パキスタン、モルディブ、スリランカ、バグラディッシュ、ミャンマーなどである。完全な包囲網をしいたカタチだった。

インド自身、1990年まではソ連や東欧や中東との貿易を中心にやってきていたが、1991年でソ連が崩壊する。そこで市場主義経済に方向を改めた。規制緩和である「関税引き下げ」、「外資の比率緩和」、「大企業の投資、その事前承認撤廃」などをおこなう。これよりASEANとの関係強化につなげていった。2023年度の経済成長率は8.2%。数年でGDP世界第3位となる見込みだ。

*ヒンドゥー教とは何か?
多神教とも言われるヒンドゥー教、そこには経典なるものがない。宗教というより、生活や文化に根ざした人の生き方そのものとも言える。特徴は、職業(ジャーティー)や微分(ヴァルナ)をあらわすカースト、これが生き方そのものに結びついている。差別的とも見られるが、いまだになくならない理由は、ヒンドゥー教の教えそのものだからだ。

インドにおいては、仏教もヒンドゥー教の一宗派と見られている。釈迦はヒンドゥー教では、ビシュヌ神9番目の化身とされているようだ。仏教における輪廻(りんね)や解脱(げだつ)の概念も、ヒンドゥー教のなかにあったもの。仏教との違いは差別の有無といえる。釈迦が目指したのはそこにあったと言っていい。

世界73億人の人口で、ヒンドゥー教徒は11億人(15%)で世界第3位の宗教である。仏教徒は5億人(7%)、キリスト教徒23億人(32%)、イスラム教徒18億人(25%)。今後の人口増加のなかで、キリスト教徒の比率は下がっていくと見られる。これは第三世界の人口が増えるためだとも言う。

*ロシア(ソ連)との関係
世界中から避難の声があがるロシアのウクライナ侵攻。それでもインドは、ロシアとの関係を切ってはいない。そもそもこれは1971年に締結した「印ソ平和友好協力条約」があるからだと言われている。この時期、中国はアメリカに接近したため、それを危惧してロシアのとの関係を深くしたものだという。

この条約は軍事同盟の側面があるということだ。もともとインドは西側にも東側にも属さない「非同盟主義」を志向していた。しかし国際情勢の変化に対応すべく、ソ連(現:ロシア)との関係を深めたという経緯がある。

*まとめ
この数年で人口も中国を抜くと見られるインド。いま中国は不動産バブルが弾け、経済危機になろうとしている。一方で、インドはこれからさらに成長するという見通しといえるようだ。それを見越してか、日本企業を中国から引き上げ、インドにシフトを移す企業があらわれている。

インドの教育にも驚く点がある。独自の教育方法により、科学ITに精通した労働者が増え続けているのだ。今後こういったエンジニアは、世界で引っ張りだこともなるようである。しかしこれにも日本は国としてほとんど何もしていたいというのが現状。これだけ日本経済が停滞しているのであれば、彼らを迎え入れる環境をいち早く用意すべきと考えるがいかがなものだろうか?

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