巳年とくれば蛇娘でしょ
「ぶら近所」シリーズで宇賀神についての記事を書きながら、ふと昨年お亡くなりになった楳図かずおさんの原作の映画「蛇娘と白髪魔」を思い出した。1968年公開の大映映画のモノクロ作品だ。冬休みに合わせて公開されたらしいけど、子供向けにしては怖すぎる。
予告編と本編はいろいろ違う。昔の映画では予告編用に別に撮影していたようだ。
産院で取り違えられ、孤児院で育った小百合は実の両親が見つかり、南条家に引き取られることになった。
父親は毒のある生物を研究する生物学者。母親は事故で記憶障害があり、少々挙動がおかしい。その他にお手伝いさんがいる。
父は小百合が家に来てすぐに研究旅行に出かけてしまう。母は仏間で位牌に話しかけ、食べ物を供えるがいつのまにか供え物が消えている。
そして小百合は何度も怖い目にあうのだ。天井から蛇が落ちてくるわ、夜窓の外に白髪の妖しい女を目撃するわ。
小百合と取り違えられてこの家でくらしていたたまみという娘は、死んでいるはずなのだが、実は……。
ホラー調だが、実はサスペンスミステリー。幼いときに蛇にかまれて以来、自分には蛇の呪いがかかっている思い込んでいる娘だけでなく、謎の白髪魔まで出現して、事態は複雑化。殺人事件まで起きてしまうし、小百合の命も狙われるのだった。
蛇娘の皮膚が蛇の鱗のようにみえることなど、井の頭弁財天の宇賀神像にまつわる伝説を思わせて、井の頭公園のすぐそばにお住まいだった楳図さんはこの伝説が頭にあって蛇娘を描いたのだろうか。
ところで小百合ちゃんが孤児院から実家の南条家に向かう場面で乗るタクシーの運転手として、楳図さんが出演している。顔もはっきり写っているしセリフまである!
もし興味がおありなら、ぜひご覧になって確かめてみては。(蛇とか蛙とか嫌でなければ…)