トラペジウムのお話
⚠️警告⚠️
この記事には映画トラペジウムのネタバレ要素が含まれております
お久しぶりです🦐です
皆さん、アイドルはお好きですか?
私が学生の頃は絶賛アイドルブームであり、嵐やAKB、それに準ずる話題を毎日1つ以上はどこかで耳にするほどの流行ぶりでした
私は昔から現実創作問わず漠然とアイドルは好きで、Johnnysや坂道グループ、THE iDOLM@STERやうたの☆プリンスさまっ♪などそれなりに浅く幅広く色々なものに触れてきました
最近だとホロライブグループなんかもそうですね
そんな中公開されたトラペジウムという映画
観に行ってきましたので感想でも置いとこうかなと思った次第です
どんな映画なのか
原作は乃木坂46卒業生による長編小説
乃木坂46の1期生として活躍をした、高山一実によるアイドルを目指す少女たちの物語
自身が活動する中で感じた経験や葛藤をリアリティと熱量に溢れる文章にて書き上げています
評判はそれなりによく、30万部という売上を記録しました
これはタレント本としては破格の数字で、アイドルの写真集ですら10万部以上売れることは稀であることを考えるとかなりのヒット作と言えます
あらすじ
高校1年生の東ゆうは“絶対にアイドルになる”ために、自らに「4箇条」を課して高校生活を送っている。
1)SNSはやらない
2)彼氏は作らない
3)学校では目立たない
4)東西南北の美少女を仲間にする
半島地域「城州」の東に位置する城州東高校に通うゆうは、他の3つの方角の高校へと足を運び、
かわいい女の子と友達になる計画を進める。
その裏には、
「東西南北の美少女を集めてアイドルグループを結成する」
という野望があった。
西テクノ工業高等専門学校2年生で、高専ロボコン優勝を目指す
“西の星”大河くるみ。
聖南テネリタス女学院2年生で、お蝶夫人に憧れる
“南の星“華鳥蘭子。
城州北高校1年生で、ボランティア活動に勤しむ
“北の星”亀井美嘉。
ゆうの計画を知り協力する男子高校生・工藤真司のサポートもあり、ゆうは3人の美少女と友達になる。
ロボコン大会や文化祭といった青春のイベントをこなしながら、ゆうは着々と「東西南北」4人の結束を固めていく。
そんな中、観光客のガイドボランティア・伊丹秀一を手伝う女子高校生たちの活動が注目され、ゆうたちにテレビ出演のチャンスが舞い込む。
さらに、番組制作会社のAD・古賀萌香との出会いをきっかけに、ゆうたち4人は徐々に仕事を得て、世の中に知られていく。
そしてついには、「東西南北」のアイドルデビュープロジェクトが始動することになる。
「私が選び抜いたメンバー。
私の目に狂いはなかった。
私たちが、東西南北が、本当のアイドルになるために。
私がみんなを、もっともっと輝かせてみせる。」
しかし、夢への階段を登り続けていく中で、
ゆうは〈大きな問題〉に直面することになる―
映画トラペジウム公式サイトより
THE iDOLM@STERやラブライブ!に代表されるアイドルを目指す女の子達のストーリーです
主人公自らが仲間を集め、夢に向かって一直線!というストーリーはラブライブ!に近いでしょうか
分かりやすく大きな目標があるため部活モノと並んで、青春ストーリーのテンプレのひとつと言ってもいいですね
キャラデザはVTuberなどのMVなども手掛けるmatlity所属アニメーターの、りお氏
主題歌にはVTuberグループ「ホロライブ」所属、
今話題の実力派バーチャルアイドル、星街すいせい
アニメ制作は「SPY×FAMILY」や「ぼっち・ざ・ろっく!」といったヒット作を手掛けたスタジオ
CloverWorksが担当しました
可愛らしいビジュアルのキャラクター、新たなアイドルの形であるVTuberによる主題歌、実績のあるスタジオによるアニメ制作……
これは期待出来そうですね
結論から言うとこの映画、全く面白くありません
どうして面白くないのか
先程面白くないと言い放ったばかりなのですが、正確には少し違うかな、と思います
「面白くはないが、つまらない訳では無い」といった一見矛盾したものが私の中でのこの映画の評価です
興味深い、という表現が適切かは分かりませんが、私個人としてはこれの執筆者がどのような心境であったか非常に興味深いなと感じました
個性的なキャラクター
自分で見つけた少女達とアイドルを目指す「東ゆう」
引っ込み思案だけどロボットが大好きな「大河くるみ」
お嬢様学校テニス部所属の「華鳥蘭子」
ボランティア活動に務める「亀井美嘉」
この4人が中心となり物語が進んでいくのですが、私は映画を鑑賞し終わった現在でも、彼女らがどのような人物であるか全く理解出来ていません
尺の関係か、はたまた原作小説もそうなのかは分かりませんが、この4人に対する掘り下げは十分と言えるものではなく全体的に薄味と言った感想です
キャラクター紹介にある各々の特徴や趣味なども理由付けがほぼされてないので感情移入が難しいんですよね
なんでロボット好きなん?
テニスはどうしたん?
ボランティア活動をしようと思ったきっかけは?
この物語には、それぞれ夢を叶えるという終着点が用意されていますがイマイチ実感が湧きません
結果、終わり方としては無難にハピエンの割に「ああよかった」という達成感がないんですよね
ここはもう少し掘り下げて欲しかったです
東ゆう、少女の姿をしたアイドル業界の闇
さて、主人公である東ゆうの話をしましょう
あらすじでも触れられている通り、劇中での東ゆうの目的は「自分で見つけた少女とアイドルになること」です
これ自体はありがちな話で、冒頭のラブライブ!はもちろんBanG Dream!などの類似作品から、作風は違えどONEPIECEなどの冒険譚まで、ある種テンプレとして広く浸透していますね
しかしこれが成り立つには「1つの目標に一緒に向かってくれる仲間」を集める必要があります
では東ゆうが集めた少女たちはどうでしょうか
彼女たちはそもそも何の目的で集められたか伝えられておらず「たまたま集まった学校の違う友達」という認識が強く、この時点で前提条件が違いますね
東ゆうという人物自体かなり自己中心的かつ傲慢な性格であると言わざるを得ないほどの性格の悪さであり、否定的に言えば「利己的な理由で人に近づき、目的を隠した上で自分の都合のいいように誘導する詐欺師の様な人物」と言っても過言ではありません
物語中盤にはメンバーのスキャンダルが発覚するのですが、その際には「彼氏いるなら仲良くなんてならなかったのに(要約)」というおよそ少女から出たとは思えない音を発しており、少女の形をした何かともいうべきモンスターに仕上がっています
(しかも、自身にそのつもりが無いとはいえ頻繁に会う関係の男性がおり、すっぱ抜かれたら危ないのはこちらも一緒でした
さて、ではこの東ゆうのモデルは誰でしょうか
答えは簡単、アイドルという業界そのものの擬人化です
3人の少女を見つける(オーディションやスカウト)
親睦を深めてアイドルデビュー(プロデュース)
はもちろんの事、スキャンダル時の見放したような態度や仲間よりも収録や仕事を優先する様など、アイドル業界の表も裏もまとめて押し付けられています
また、本人もSNSでの人気格差に悩んでいる様子があったり、クラスメイトに対して「陰口言ってんの知ってるから」と嫌味を言ったり(クラスメイトが陰口をしている描写はなく、視点も東ゆうの一人称視点であったため被害妄想の可能性もあります)、恐らく執筆者本人が経験してきたであろう黒い感情などを一身に浴びており、少し可哀想なキャラクターではありますね
最後に
アニメーションやキャラデザは良かっただけに少し残念だったなと思うとこが多かった気がしますね
しかしながらドキュメンタリーとして観る分にはそこまで悪くないかな?と感じる点も多く、期待しているものではなかったですが、いちアイドル好きとしてはなかなか興味深いものでした
アイドル業界は消費の激しい業界であり、薄々気づいていながらそれでも憧れる人が絶えないのは罪な業界だなと、そんなことも思ったり思わなかったり
オススメはしませんが1度くらいは観てもいいのかな
……出来れば家で見てくださいね
それではまた