season5 7話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
7.『再戦、ソウルフルビート』
次の行き先はフリッジタウン。一旦寮に戻り冬服に着替えて、そこからそらとぶタクシーで向かう。昼下がりのフリッジタウンはまた違った趣。眺めながらジムへと入る。
「こんにちはー」
ライムがいた。すぐにこちらに気付いてくれる。
「ひさしぶりだねアンタ! たしか……、ヨーコだっけか!」
「はい。北條陽子です」
「今日はどうしたんだい? ラップバトルやりにきたのかい?」
「いえ、ジムの視察です! チャンピオンになったもんで、トップに頼まれてその名代で……」
ライム、白目を向いて怒る。
「あン? トップから頼まれてうちの視察に来たって!?」
「え、あ、はい……」
驚くヨーコに少し冷静になり、鼻を鳴らすライム。
「フン……、アンタがオモダカの代わりねぇ」
しかしすぐに怒りがこみ上げたらしく、また白目を向いて、
「だいたい話はわかったけど、ルーキーチャンピオンをよこすなんて、アタイもナメられたもんだ」
(ぶ、ぶち怒っとりんさる……)
戸惑うヨーコ。それを察してか、ライム少し黙り、
「──悪いね……、アンタにイラついてるわけじゃないさ。ま、ヨーコにも会いたかったし、来ちまったものはしょうがないか」
「へ? うちに?」
「数ヶ月でチャンピオンになった、ネモ以来の逸材って専らの話題だからね。あとタイム姉さんからもよく聞いてるよ。色々世話んなったってね」
「いえいえ、それほどでも……」
照れるヨーコ。
「せっかくだ。そんなアンタの実力、見せてもらうとするかね?」
「あ、はい! お願いします!」
「よしきた決まりだ、ついてきな! 不定期ステージ始まりだ!」
韻を踏むライム。ヨーコもウキウキしてくる。
*
ということでステージ。
今日はライトもついてないしお客さんもいない。少し寂しい。
「アンタがジムテスト来たのほんのちょっと前だったのに、今じゃチャンピオンでトップの代わりときたもんだ。本当、この歳になると時間があっという間に過ぎていくよ」
しんみりな感じのライム。
「ライムさん……」
ヨーコもつられてしんみり。
しかしライム、マイク片手にライミング!
「……なんてセンチな感じはノーマッチ! ナイスなライムがインダハウス!」
白目向いてラップを刻む!
「マジ気なバトルでCHECK IT OUT(チェケラ)なソウル! 若葉なパワーがたわわに熟れりゃあ、アタイの魂SHAKEしな!」
「おお……!」
やっぱり感動するヨーコ。
ライム構える! ミミッキュとジュベッタ繰り出す!
「新生ルーキーとってもQT! アタイに身震いちょうだいよ!」
「もちろん全力勝負します! あと同じ轍は踏みません!」
ヨーコもラップっぽく返してゴンさん&ポンさん出す!
ゴンさんジュベッタから不意打ちくらう。ポンさんミミッキュにじごくづき! 特性:ばけのかわをはぐ。ゴンさんミミッキュにじゃれつく攻撃くらうが、かみくだくを返す。しかしフェアリータイプなのでそこまでじゃない。
気を取り直して、ポンさんじごくづきでジュベッタをワンパン! ゴンさんまたまたじゃれつかれるが、勢いにのってヘビーボンバー。効果抜群でとどめ。
*
ライム、ミカルゲ&ハカドックだす。こちらはゴンさんをまんじゅうに交代。ポンさんじごくづきをハカドックにくらわすが持ちこたえるハカドック。ハカドックゴーストダイブ! ミカルゲ、体力削ってポンさんに呪いをかける。
体力削れていくポンさん。ならばとツタこんぼうで急所に当てとどめをさすが、呪いは消えず。
ハカドックのゴーストダイブをくらう。しかしそこを狙い、まんじゅうがんせきふうじで急所あて。倒れるハカドック。
「首皮一枚ワンインチ、アンタにお供え大ピンチ!」
最後のストリンダー出す!
「それならこちらは盆踊り!」
ポンさんの代わりにわっぷるさん!
「光があれば影もある。とっとと化けなうらめしや!」
ライム、ストリンダーをテラスタル!
ストリンダー、さっそくヘドロばくだんをわっぷるさんにお見舞い! どく状態になってしまうわっぷるさん。
「パンチラインは段違い! 覚ますよアンタの勘違い!」
ストリンダーのたたりめをくらい少しピンチ。
しかし、まんじゅうががんせきふうじを急所に当てる! それを見て自力でどくをなおすわっぷるさん!
「テラスタルでレッツダンス! えっとそばえて、わっぷるさん!」
わっぷるさんアクアステップ! 勢いにのって打ち倒す!
「COOLなYOUTHにSOULがMOVE!」
悔しげに、でもサムズアップするライム。
「お疲れ様、ふたりとも」
まんじゅうとわっぷるさんを戻すヨーコ。ライム笑いながら、
「HAHAHA! なんてこったい! アンタのパンチ、サイッコーだね! アタイの魂、震えすぎてスムージーになっちまったよ」
軽く頭を下げ、
「さっきはルーキーなんて言って悪かったね。オモダカにゴーストの力を認めさせたくて焦ってたのさ」
「いえ、お構い無く」
「アンタのバイブスは本物だ。アタイが保証する」
ニヤリと笑うライム。
「これからはこのライムがアンタのバックについてるから、ムカつくトレーナーや霊がいたらすぐ呼びな。アタイが力になるよ」
「ありがとうございます!」
頭を下げるヨーコ。いつの間に来てたのか、町の人からぱらぱら拍手。
「GOODな現世を謳歌しな! バイバイベイビー!」
見送ってくれるライム。空はすっかり黄昏時だった。