season12 5話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
5.『クスノキ市長、水原哲』
クスノキシティは、ハッサクの言った通り午前3時。
「情報共有は朝になってからじゃ」
と言われ、市長の哲が自ら用意してくれた、市役所の向かいにあるセキュリティの固いホテルに案内される。
※パルデアからアルバイトの学生が来るが深夜に着くとかホテル側には適当なことを言ってる(人材不足により)。
当然女子部屋と男子部屋が別れてる。冠とキラフロル達と共に部屋に入るペパー。
ペパーは部屋に入る前に、哲に頼まれドラパルトのボールを渡す。
「チリさんから頼まれての。ちいと貸してくれんか。悪いようにはせんけ」
ヨーコとネモ、ボタンもシャワー浴びて就寝。
哲の名前に聞き覚えのあるヨーコだが、そのまま寝る。
一方の哲。オモダカのドラパルトと共にサンカク屋敷に来ている。ヨーコにすずの面影を見ていた。
*
午前8時。ルームサービスの朝食をすませ、向かいの市役所へ。ロビーではすでに哲が待っていた。
機密性の高い市長執務室へ。ここでお互いの情報を交換する。
姿を消す能力を持つドラパルトが先に潜入しオモダカのそばにいることを話す哲。
「ああいう古いお屋敷は侵入者センサーも古くての。代わりにポケモンが用心棒としてうろうろしとるもんじゃが、それもおらんかった。
何かしらの探知があると思うとったが、あんたらのトップのドラパルトはすごいですのう。そんなもんにもひっかからずに見事に入り込んどりんさった」
「オモダカさんは生きとりんさる。特殊なGPSを使うて、わしのロトムスマホに生存確認の信号を送ってもろうとります。本人も、オモダカさんに何かあれば一暴れして助ける言うとりました」
胸を撫で下ろすヨーコ達。王冠のことを話すと、サンカク屋敷のことを教えてくれた。
「関係あるかわからんが、あそこは昔事件がおこってましての」
身を乗り出すヨーコ達。
「かれこれ10数年前になりますか……。ちょうど休暇の時期に、パルデアから帰省しとりんさったそこの分家の若夫婦が強盗未遂におうて亡くなったんじゃ」
「そんな……」
呆然とするネモ。
「未遂ってことは、強盗がとろうとしたものは無事だったってことすか?」
冷静に聞くボタン。
「ああ。ほいでその品は、どうもパルデアに伝わる冠じゃったと」
背筋が冷たくなるヨーコ達。
「若旦那が亡くなったことで、屋敷を管理していた分家は没落、建物はどっかのお偉いさんが買い取ったんですが」
哲、ロトムスマホを操作しながら、
「チリさんから連絡受けてこっちでも調べてみたら、その屋敷の所有者の名前が……」
一旦言葉を切る哲。
「シクータ」
「は? シクータ?」
「それ、犯人の名前だよな!?」
ヨーコとペパー、唖然。
「そん通り。冠のことと言い、この誘拐事件、どうも裏がある気がしてなりませなんだ」
哲、ため息をついて、
「こっからサンカク屋敷までは少しかかりますけ、わしのウッウが案内しましょう。それまでに見取り図のデータを送ります」
「え、ウッウ、大丈夫なん……」
ボタン思わず苦言。
「心配ご無用。やるときはやるやつですけ」
そう言ってヨーコを見る哲。どこか懐かしげな光が宿っている。
「たしかそちらの学生さんが、すごいライドポケモンを持っとりんさるとか」
「あ、はい」
うなずくヨーコ。
「よし、それなら大丈夫じゃな。ほいじゃあ……」
ゆっくりと席を立つ哲。みんな首をかしげる。
笑いかける哲。市長としてというよりも、トレーナーとして語りかける感じ。
「じっとしとってもしょうがないけ、ひとまずウォーミングアップでもしようや。なまっとったら、いざって時に動けんじゃろ」
*
時刻は午前10時。市役所地下のバトルコートにてそれぞれ勝負。
「わしは元水兵での」
哲の相棒であるダイゲンキのミズまる、ウッウのうきち、シザリガーのヘイジ、カジリガメのカムコ、ラプラスのララ、そして切り札であるキングドラのタツコ。みんななかなかの強敵。
こういう時だというのに勝負を楽しんでしまうヨーコ達。
「これならトップ救出、犯人確保間違いなしじゃ!」
自分のポケモンに食いつき、時にはギリギリで倒すヨーコ達に太鼓判をおす哲。
そしてみんなを、陰からこっそり見ている者がいた……。
*
一方、囚われのオモダカ。
子供部屋らしき寝室にて、半透明のドラパルトと小声で会話。縄はほどかれているが、小さいベッドに座ってあまり動かない。
「チャンピオン・ヨーコ達のところにいけたでしょうか」
独り言と共に過去のことがフラッシュバック。うずくまるオモダカ。気遣うドラパルト。
「……本当に、ここは息がつまる」