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season6 18話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

18.『大穴再調査依頼』


「トップ!」

 思わず立ち上がるヨーコ。

「おや? チャンピオン・ヨーコ?」

 目を丸くするオモダカ。チリも同様。

「このような場所でお会いできるとは……」
「半年くらいここにお世話になることになりまして……」
「……なるほど、ご留学中なのですね」

 察しの早いオモダカ。

「ヨーコは今やブルベリーグチャンピオンなんですぜ」

 カキツバタにこにこ。オモダカうなずき、

「やはり類い稀な才能。……素晴らしいことです。チャンピオン・ヨーコがいてくださるのならなおさら……」

 オモダカ、ブライアを向いて、

「……ブライアさん、説明させていただいても?」
「ぜひ、お願いします」

 ブライア快諾。オモダカ、ヨーコ達に向き直り、

「申し遅れました。私はオモダカ。パルデアのポケモンリーグ委員長です」

 自己紹介し話し始める。

「十数年前、ポケモンリーグは、パルデアの中心に位置する大穴、エリアゼロの研究を支援していました。
 研究が終わった今では、大穴の管理をしております。エリアゼロは、不思議と危険に満ちあふれた場所……。基本的には、立ち入りや調査を許可しておりません」

 オモダカ、イケ指ポーズ。

「……ですが。最近エリアゼロから凶暴なポケモンがあわや外界に出てきそうになりまして……、迅速な再調査の必要性をつくづくと感じておりました」

 オモダカ、改めてみんなを見回す。

「しかし、ポケモンリーグではエリアゼロで活動できる人材や、そのための時間を捻出できず……、そこで……」

 オモダカ、ブライアに目を向ける。

「かねてより調査申請をしていた私に、白羽の矢が立ったのですね」

 にこにこブライアに、オモダカ、ふっ、と、

「お恥ずかしい話です」

 視線を戻すオモダカ。

「ブルーベリー学園は、ポケモン育成に長けた実力者が多い」

 ヨーコに目を向け、

「そこにチャンピオン・ヨーコ……、貴方が加わるのであれば、安心して再調査をお願いできます」
「もちろんこれは任意だが、来てくれると本当に心強いよ!」

 誘いをかけるブライア。

「皆で一緒に、エリアゼロへと調査に行こうじゃないか!」
「行きます! もちろん!」

 即答するヨーコ。オモダカ嬉しそうに、

「さすがはチャンピオン・ヨーコ」
「ええっと、あたしは……」

 ゼイユ、そろっと申し出る。

「行くこと決定だと思うんで」
「いつも通り、私をフォローしてくれると助かるよ」
「悪いけど、オイラはパスで」

 カキツバタ即答。

「リーグ部ごたついてるし、残ってやんねえとな」
「……とか言って、めんどいだけでしょ、あんた」

 ジト目でツッコむゼイユ。悪びれず笑うカキツバタ。

「へっへっへ、バレたか」

 スグリに目を向け、

「元チャンピオンさまはどうすっか知らねえけどよ」

 スグリ、無表情に顔を上げ、

「……俺も、行く」

 無機質な声だが、何かを孕んでいる。

「伝説のポケモン……、いるなら会いたい……、捕まえたい。……今度こそ」
「……へぇ?」

 カキツバタ、首をかしげる。

「それでは決まりだね! カキツバタくんは残念だが、私、ヨーコくん、ゼイユくん、スグリくん、以上4名で調査します」
「ありがたい申し出、感謝いたします」

 オモダカにっこり。

「ぜひとも素晴らしい成果を持ち帰ってくださいね」
「おまかせください、オモダカさん」

 はりきるブライア。

「待ちに待ったエリアゼロ調査が実現しようとしている……! 諸君、明日午前5時30分、エントランスロビー、ブリッジ前に集合だ! 準備して休んでおくように!」



 教室に残ったヨーコ。オモダカとチリと話す。

「トップ! おひさしぶりです!」
「おひさしぶりです、チャンピオン・ヨーコ」
「まいど! チリちゃんもおるで!」

 チリも手を振る。

「チリさんもおひさしぶりです!」
「ひさしぶり! まさか自分と会えるとは思ってもみんかったわ!」
「パルデアを離れても、チャンピオンとしてその才を発揮されているようですね」
「はい! もっと強うなれるように、がんばってます!」
「ふふ……。それでこそ、私が見込んだ逸材です」

 ぴっかりさんも出てくる。

「ピカピカ!」
「ピカチュウもおひさしぶりですね」
「ピカチュウ」

 オモダカに言われ、ぴっかりさんどや顔。

「せやなあ、逸材、逸材……」

 チリ、うなずきノリツッコミ!

「いや逸材言うて! 自分ら大穴ん中、許可もとらんと入ったやろ! お父さん達から怒られたて聞いて我慢しとったけど、それに関しては、チリちゃんからもちゃんと怒らしてもらうで!」
「すみません……」
「ピカピカ……」

 素直に頭を下げるヨーコとぴっかりさん。

「謝ったかて! チリちゃんなぁ、話聞いたとき椅子からころげ落ちたわ! お父さんなんか卒倒寸前やったんやで!?」
「まあまあ、チリ、ご無事だったのですから」

 なだめてくれるオモダカ。

「それにチャンピオン・ヨーコ達がエリアゼロに向かわなければ、今ごろパルデアは一大事だったやも?」
「それは、まあ……、そうやけど?」

 ツンとするチリ。ヨーコとぴっかりさんに視線を戻す。

「総大将にめんじて、目つぶっといたる」

 オモダカにっこり。

「チリも心配していたのですよ」
「ありがとうございます」
「ピカピカ」

 ふたりともぺこり。

「さて、チャンピオン・ヨーコ、ピカチュウ」

 オモダカの真剣な声に居住いを正すヨーコとぴっかりさん。

「この度は、ポケモンリーグ公認でエリアゼロに向かっていただきます。以前最深部で起きたとされるタイムマシンの件については一部の者しか知りませんが、エリアゼロの危険性をふまえて、ブライアさんには多少ぼやかしてお伝えしていますよ」
「はい」「ピカ」

 うなずくふたり。

「そういや、ブライアって人に渡すもんがあるんやなかったんです?」

 思い出すチリ。オモダカ、目をぱちくりさせ、

「……失念していました」

 イケ指ポーズ。

「ありゃあ……」(汗)
「ピカピ……」(汗)
「チャンピオン・ヨーコ、こちらお持ちいただけますか?」

 藍色に輝くディスクを渡されるヨーコ。

「キレイ……」
「ピカ……」

 思わずため息が出るふたり。チリが問う。

「それ、何です? わざマシン?」
「昔、エリアゼロ研究者から出資者に送られたディスクです。藍のディスクと呼ばれていました」

 オモダカ、チリを見てから、ヨーコに再び、

「調査部に調べてもらいましたが、もちろんわざマシンではありません。単なる記録媒体でもないようです」
「まさに謎の円盤……」

 つぶやくヨーコ。

「使用方法は見当もつきませんが、エリアゼロに関するものでしょう。エリアゼロに向かわれるなら、せっかくですので、ついでにこちらも調べていただこうかと」
「んなついでにポテトサラダ買うてきてー、みたいな……」

 頭を抱えるチリ。ヨーコ&ぴっかりさん(汗)。

「使う機会がないようでしたら、返却をお願いしますね」

 オモダカにっこり笑い、真剣な顔に変わる。

「……エリアゼロは、いまだ解明されていないことも多い。一度最深部まで行かれたとはいえ、地形やポケモンにはじゅうぶんご注意ください」

 オモダカ、優しく、

「チャンピオンとその相棒ポケモンとして、貴方がたが皆さんを導いてくださいね」
「はい!」
「ピカチュ!」
「……ホンマはチリちゃんもついてったりたいけど、仕事やねん」

 ぼやきながらも、チリ、にこやかに、

「ヨーコ、無理せんときばりやぁ」
「ありがとうございます」
「ピカチュ」

 ふたりともぺこり。

「それでは、失礼いたします」

 優雅に華麗に去っていくふたり。

「道中お気をつけてー」

 ヨーコ、見送る。

「がんばろっか、ぴっかりさん」
「ピーカーチュ!」

 笑い合うふたり。それから部屋に戻り旅支度。
 家族や親友ズに連絡したりもする。



 翌日、アカデミーの制服に身を包み、ぴっかりさんも部屋を出るヨーコ。
 ブリッジにつくと、すでにゼイユがいた。

「ゼイユさーん」
「あら、お馴染みのすがたね!」

 ゼイユの言葉にヨーコにっこり。

「パルデアでの冒険は、やっぱしこの格好じゃないと!」
「ピッカチュウ!」
「スグリさんは?」
「あっち」

 ゼイユの指す方向を見ると、少し離れて海を見ている。

「スグやけに静かなの。……大丈夫かな」

 昨日の言葉を思い出すヨーコ。

「負けたあとは、あんなにとり乱してたのに……」
「ピッカ」

 ふんっ、という感じに鳴くぴっかりさん。撫でてなだめるヨーコ。
 そっと近寄り、

「スグリさん」

 スグリ、黙って振り向き、

「──エリアゼロ……だっけ?」
「え?」
「はやく行こう。行きたい」

 そのまま黙る。
 なにあれ、と顔をしかめるぴっかりさん。ヨーコ、うつむく。
 そこでタイミングよくブライア。
「やあ皆、おはよう!」

「「ブライア先生!」」「ピカピカ」
「ヨーコくん、ピカチュウ、エリアゼロへ旅立つ準備はできたかな?」
「はい! いつでも行けます!」
「ピカチュ!」
「よし! いよいよ出発できるね!」

 ブライア、姉弟を向き、

「ゼイユくん、スグリくん、体調は大丈夫かな?」
「あたしは……」

 ゼイユ、ためらいがちにスグリを見る。

「……平気ですけど」
「俺も大丈夫だよ」

 スグリ来る。

「だいぶ……、落ち着いた」
「そっか、よかった」

 少し胸を撫で下ろすゼイユ。

「やるべきこと、わかった。だから……、大丈夫」

 スグリ、歯を食いしばり、

「エリアゼロで……、伝説のポケモン見つける。
 ──絶対、見つけないと……!」

 異様な雰囲気を感じるヨーコ。

「ああ、その意気だよ、スグリくん!」

 全く察していないブライア。

「それでは、行こうか!」
「「はい!」」「はい」

 エリアゼロへ──

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