season4 1話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
※season3と連チャン。最終回除いてOPEDなし
『すべての道が、大穴につながる』
1.『ザ・ホームウェイ』
翌日、朝イチでマップに登録されたチャンプルタウンの裏側に行くと、大穴への入り口が開いている。そのまま進むと、ゼロゲートの建物前にペパーが。
「おーうい! コッチだコッチ!」
「ペパーさーん!」
駆け寄るヨーコ。
「アレがゼロゲートだ」
目の前には立派な建物。
「ふわー、すごい……!」
「パルデアの大穴ん中……、エリアゼロを観測する施設。この中から大穴に降りんだ」
ペパー、ヨーコを見て、
「そーいやオマエがつれてるアイツ……、ミライドンって、エリアゼロが生まれた場所? なんだとさ」
「じゃあ、この下がミライドンさんのふるさとなん?」
「ああ。もしかすっと、故郷に帰れるのうれしかったりしてな」
「ほうね。ほうじゃとええね」
「……ま、どうでもいいけどよ。オレが呼んだふたりは、ゼロゲートで待ってるはずだぜ」
ペパー、前を見る。
「行くとするか」
「うん」
ふたりで歩いて中に入る。薄暗い。
「おわっ! なんか暗っ……」
「よう見えんね……。ん?」
誰か来た。
「やほ! ヨーコ!」
「ネモさん!」
「ペパーから強いポケモンがわんさかいるって聞いてさ!」
ネモ、にっ、と笑う。
「噂の勝負の後、すげーポケモンと戦えるって教えたら秒で来た」
「はあ」(汗)
「学校では小うるさいだけだけど、頼りになりそうだな」
「おー? 戦るか!?」
「まぁまぁ落ち着いて」
いきり立つネモをなだめるヨーコ。
「っていうか暗いよ! すげーポケモンどこにいるの!?」
「……たしかに変だな……。前来たときは電気ついてたんだけど……」
と、電気つく。
「わ、まぶし!」
目をしばたくヨーコ。
「ついた!」
驚くネモ。
「なんで?」
首をかしげるペパー。すると、
「う……、うちがやった」
奥から声が。現れたのはボタン。
「ボタンさん!」
「なんかオートで省電力モードになってたっぽい。ハッキングして強制的に解除……」
「はー、さすがなねえ」
「……あー! イーブイバッグがもっふもふの!!」
ボタンを思い出すネモ。
「もふ……? えと、名前、ボタン……」
「話すのは初めまして! わたしネモ! クラスは1-A! 機械得意なんだね! ポケモン勝負は好き!?」
「ネモさん」
苦笑いなヨーコ。
「うぐ、グイグイ来るし……」
ボタンたじたじ。
「ハイテクに強いヤツ、校長から紹介してもらった。ヨーコの助けになるって声かけたら秒で来た」
「冒険とかガラじゃないけど……、ヨーコに借り、返さなきゃ。約束は果たす」
「ありがとうボタンさん」
じーん、なヨーコ。
「意外と硬派なヤツ」
うなずき、話し出すペパー。
「改めて、オレはペパーだ! 好きなものはマフィティフと料理で……」
と、音声が。
『生体認証確認中……、生体認証確認中……』
「お?」
「わ」
『ハロー、ヨーコ。待っていたぞ』
フトゥーだった。
「博士!」
『優秀な仲間を集めて来てくれたようだな』
「いや、どちら様なん」
ツッコミ入れるボタン。
「……オレの、父ちゃん。……多分」
答えにくそうなペパー。
「え! フトゥー博士!?」
驚くネモ。
『学籍番号805C001、ネモ。学籍番号803B121、ボタン。来てくれて感謝する』
「博士! お会いできて光栄です! まだ会えてないですけど!」
にっこりのネモ。ボタン、少し黙って、
「えと……、うちらのこと、話したん?」
「んなわけあるかよ……」
首を振るペパー。
『キミたちには、まずパルデアの大穴に入ってきてほしい。右手に見えるエレベーターから下の部屋へ降りられる』
ドアが開く。
「──あのさ、父ちゃん!」
ややあって呼びかけるペパー。
『……先へと進んでくれ』
答えないフトゥー。悲しげなペパー。
「? え? 仲、悪いん?」
戸惑うボタン。
「うーん……?」
腕を組むネモ。何とも言えないヨーコ。
「……先へ進めってさ」
仏頂面になりながらもエレベーターへ進むペパー。歩き出すヨーコ達。
「博士って、ポケモン勝負強いのかな?」
エレベーターの中、のんきなネモ。
「どうなんじゃろね?」
相づちを打つヨーコ。
ボタン、スマホ見ながら、
「フトゥーって人、昔有名だったしそこそこやるんじゃない? 最近メディア出てないけど」
そうこうしている内にエレベーター、下の部屋に到着。
『生体認証確認済み。オールクリア。降下ゲート、解放』
扉が開く。
「わー! 自動ドアだ!」
はしゃぐネモ。ボタン冷静に、
「いや、遠隔で操作されてるっぽい」
『ここから外はエリアゼロの上空だ。──ヨーコ……、ミライドンはつれてきているな』
「はい」
『ここまで一緒に冒険してくれてありがとう。
ミライドンのライド技、滑空を使えば、エリアゼロへ降りられるだろう』
「え、エレベーターとかないん? ってか、ミライドン飛べんの!?」
驚愕するボタン。
「まぁ、空飛べるポケモンみたあにはいかんけど、それなりにはいけるよ」
解説するヨーコ。
『下に着いたら連絡する。無事を祈っているよ』
「……強引なヤツ」
しかめっ面のペパー。
「エリアゼロのポケモン楽しみ! はやく降りよっ!」
真っ先に駆け出すネモ。
「あの子、怖いとかないんか?」
「うーん、まぁ……」
再度苦笑いなヨーコ。
「……オレたちも行くか」
「うん」
ヨーコうなずき、降下ゲートへ。下は雲っぽいのに覆われている。
「うわぁ……!」
思わず感服するヨーコ。
「わあー! ヨーコ! 灯台より全然高そうだね!」
「雲しか見えん。何M(メートル)くらいあるんだろ」
ネモとボタンも感服。ペパー、深呼吸し、
「ヨーコ! 腹はくくったか?」
「──うん!」
「よっしゃわかった! 行くぞ! アイツ、出してくれ……!」
うなずき、ミライドンのボールを出すヨーコ。
「アギャア!」
様子を伺うもしり込みしてしまうミライドン。
「アギャ……」
怖がってるっぽい。
「ミライドンさん」
「どうしたんだろ?」
首をかしげるネモ。
「フンッ」
優しく鼻を鳴らすペパー。仕方ないな、という顔。
「高くてびびってん……」
言いながらミライドンに乗る。
「だろ!」
「そっかそっか!」
ネモもノリノリで続く。
「みんなで飛べば、怖くないよー」
ペパーの後ろに乗る。
「……意味わからん」
ボタン、スマホいじりながらも続いて乗る。
前へ、前へ押し出されるミライドン。あと少しで落下、という時にペパー、ヨーコへ手を伸ばす。
「──乗れ!」
「──うん!」
ヨーコも駆け出しながら手を伸ばす。ペパー、ヨーコの手首を掴まえる。
刹那、落下!
「ひゃっほー!!」
「わああー!」
ミライドン、滑空モードへ!
笑いながら、ペパーがヨーコを乗せてくれる。
そのまま、エリアゼロの雲の中へ。光が見え、降り立ったそこは……。
*
「わあ……」
光が溢れる場所。ただし異質な感じがビリビリ伝わる。
「ここは極楽かね、それとも地獄かね……」
「……また、来ちまったな」
「ハァ、ハァ……、途中2回は死んだ……」
ボタン真っ青。
「ボタンさん大丈夫?」
ぴっかりさんも出てきて気遣う。
「ピカチュー?」
「アギャ、ギャ……」
縮こまるミライドン。
「ミライドンさん、どしたん?」
「ピカピ?」
「ギャス!」
首を振り、ボールに戻る。
「ありゃ……」
「自分からボールに戻ってった?」
首をかしげるボタン。
「どうせ腹でも減ってんだろ」
ペパーは素っ気ないながらも考え込み、
「──そういや、生徒会長は!?」
「ありゃ、ネモさん!?」
「ピカ!?」
「え、いないし。まさか……」
青ざめるボタン。しかし次の瞬間元気な声が。
「ねーねー! みんな!」
ネモ、戻ってきた。
「エリアゼロ、すっごいの! はやく行こーっ!」
「よかった」
「ピーカ」
ほっと一安心のヨーコとぴっかりさん。
「特性、マイペースなん?」
呆れ顔のボタン。と、ヨーコのスマホロトムが出てきて、
『生体認証、確認中……。4名共、コンディションオールクリア。バイタルは正常な数値です』
フトゥーの声が。
『──無事に、降下できたようだな』
「ハッ! ずいぶんと快適な着地だったぜ!」
皮肉を言うペパー。気にしない風のフトゥー。
『それはよかった』
口をつむぐペパー。
『現在可能な降下方法は、難易度が高いため心配していたのだ』
「……?」
「イヤミ、通じてないし」
首をかしげるペパーに言うボタン。
「はあ、どうも」
「ご心配ありがとうございます!」
『これから最深部……、ボクの待つゼロラボを目指してもらうわけだが……。その扉は外部から4つのロックがかかっており、ボクでは解除できない』
「4つのロック……」
つぶやくボタン。
『キミたちには、途中に建造されている観測ユニットを4ヶ所めぐってもらう。その施設でロックを解除しながら進んできてほしい。
では、健闘を祈る』
通信切れる。ネモはしゃぐ。
「4つのロックかー! ゲームみたいで楽しそう! それじゃあ、エリアゼロの奥底目指していざしゅっぱーつっ!」
うなずくヨーコ達。いざ歩きだす。
進んで行くと、根元が結晶に侵食された木。
「木が……」
ボタンがため息をつきながら、
「ここがパルデアの大穴。──その中の……、エリアゼロ……。教科書の挿し絵で見るより、なんかすご……」
「普通、入れないもんねー」
うなずくネモ。
「あれ……? そういえば、ミライドンは?」
「……なんかビビって、ボールに戻った」
「えー、心配だね」
「うん」
「もしかして、あの子いないと上に戻れん?」
「いや、前、来たときは……、そらとぶタクシーに泣き入れて来てもらった」
「下に博士いるなら頼ればよかったじゃん? 仲、悪いん?」
「うっせえな……、オマエ調子乗んなよ」
ボタンの言葉に気色ばむペパー。
「ペ、ペパーさん」
「は? オマエって言うな。何キレてんの?」
ボタンも噛みつく。
「ボタンさんも!」
「もー、せっかくの大冒険、楽しくしようよっ!」
ネモがクッションに入ってくれる。
フンッ、と顔を背け合うふたり。ネモがボタンに聞く。
「ボタンって、ヨーコとどういう関係なのー?」
「え? んと、助けてもらった……。友達とか学校とか、いろいろ大変だったん。そんなとき、たよりになってくれた恩人……」
「いやあ、事情知らんかったとはいえ、うちも荒れとったけ。本当にごめんね」
「ピーカ」
改めて詫びるヨーコとぴっかりさん。首を振るボタン。
「平気。こっちも悪いようなもんだし」
「へー! ジムも行きつつヨーコすごいね!」
目を輝かせるネモに、ボタン、
「そういう……、あなたは?」
「わたし同じクラス! 家も同じ町にあるんだよ! チャンピオン目指そって言ったら、チャンピオンになってくれたんだー」
「いやあ、あはは……」
「何それ、ヤバ……」
引き気味ボタン。ぴっかりさんニヤニヤ。
「いやオマエらさ、オレとヨーコの友情物語に比べたら、全然まだまだだぜ!」
「聞いてない……、ってかマウントとんなし」
「ボタンさん」
「アハハ! みんなヨーコとなかよしなんだねー!」
珍しいきのみを見つけたりポケモンを眺めたり、そうこうしているうちに1つ目のユニットが見えてきた。
「あ! あれじゃない!?」
ネモ近づく。
「博士が言ってた建物……」
「うん、ほうじゃきっと」
「なんだっけか? 満足ナゲット?」
言い間違えるペパー。ボタン訂正する。
「観測ユニット」
「フンッ」
そっぽを向くペパー。
「ボタンって記憶力すごいねー!」
「うん! さすがなねえ」
「いや、こんなん誰でも……」
照れ隠しかうつむくボタン。すると、
「キラリ……」
ポケモンの鳴き声が。
驚いて前を見るヨーコ達。花のようなポケモン、キラフロルが!
「わっ! わっ! なんか出た!!」
驚愕するボタン。
「キラフロルさんじゃ!」
「トップのポケモン! 大穴にいるんだ!」
「キタカミにもおったけど、ここにもおりんさるんじゃね……!」
「ピカチュ!」
「ヨーコ! ぴっかりさん! 一緒に戦ってみよっ!」
「うん!」
「ピカピカ!」
ふたりで構えると、キラフロルも威嚇してくる。
「フロシチウ!!」
ぴっかりさん&ルガルガンで立ち向かう!
「よし! ぴっかりさん、アイアンテー……」
「ルガルガン、ドリルライナー!」
ルガルガンのドリルライナーでワンパン。あえなく倒れるキラフロル。
「ありゃあ……」
「ピカピ……」
出る間もなく呆然なふたり。
「珍しいポケモン、いっぱいいるのかなー」
呑気なネモにペパーが、
「エリアゼロの恐ろしさは、こんなもんじゃねえからな?」
「は? なんで上から目線?」
また気色ばむボタン。ネモとヨーコなだめる。
「まあまあ! 観測ユニット入ろうよ!」
「ほうじゃね。休憩もせんと」
ということでネモ先頭に観測ユニットへ。
「わー! 古代の遺跡ー!?」
「いや……」
「にしては新しすぎでしょ」
目を輝かせるネモに困惑のヨーコとボタン(汗)。
『無事、1つ目の観測ユニットにたどり着いたようだな』
フトゥーの声が響く。
『87年前、エリアゼロ調査の中継地点として作られた施設だ』
「はー、遺跡言うのもあながち間違いじゃないんねえ」
「だからベッド! ここで休めそうだね!」
「向こうの部屋も見たいけど、ドア壊れててダメだこりゃ」(機能しない)
「父ちゃんもココで働いてたのかな……」
色々調べるボタンとペパー。
『ではヨーコ、中央のパネルを操作してロックを解除してくれ』
「はい。ええと……、ポチッとな!」
ヨーコ、パネルのボタンを押す。
『ロックが解除されました。残り3/4』
の音声案内。
『その調子だ。残りの観測ユニットも引き続きよろしく頼む』
黙っているペパー。
「少し休もうか?」
「うん」
おやつサンド食べる。ぎこちないけどそれでも回復。
「ちょっとカビ臭いけど、元気になったね!」
元気になってベッドで跳ねるルガルガンとぴっかりさんを見てにっこりのネモ。
ふと記録ファイルがあることに気付いて読むヨーコ。
『テラスタルオーブ・プロトタイプを発明。企業から研究資金を融資されたのでコサジタウンの灯台に研究室を作った。ゆくゆくは大穴に戻り、結晶体の研究を再開したい。』
『仮称◼️◼️◼️の存在が影響してエネルギーが結晶化していると判明した。六角形が多層的に組み込まれた◼️◼️◼️の殻の構造が要因と考える。この現象をテラスタルと命名する』
(ブライア先生の言うとったポケモンかね……)
「ヨーコ、行くよー」
いつの間にか準備できていたネモ達。
「うん!」
ヨーコ、ファイルを閉じて行く。