season1 2話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
2.『冒険は突然に』
冒頭、謎のポケモン(ミライドン)が飛んでくる(ゲームの冒頭部分)。
力尽き、コサジの灯台のあたりの海にドボン。
*
一方、北條家にお茶を呼ばれるクラベル&ニャオハ。
「せっかくじゃし、お茶でも飲んで行ってつかあさい」
「いえいえ、お構い無く……」
「さあさあ、どうぞこちらへ。ニャオハさんもどうぞ」
「……それでは、お言葉に甘えて」
「はにゃ」
出勤する周作と径子を見送ってから、リビングでヨーコについて話すすず(ニャオハ、モーモーミルクを飲ませてもらってる)。
*
そのころ、ぴっかりさんとわっぷるさんと共に歩き出したヨーコの元にネモとパモ、ホゲータが。
「ヨーコ!」
「ネモさん」
「クワッスが仲間になったんだ!」
「うん、わっぷるさん言うんじゃと」
「そっか、きみ、わっぷるさんって名前だったんだね」
かがみこみ、わっぷるさんに目線を合わせるネモ。うなずくわっぷるさん。
「じゃ、さっそく勝負しよっか!」
「勝負? どこで?」
「うちの裏にビーチがあるから、そこで!」
ビーチのバトルコートに案内されるヨーコ達。
ヨーコはびっくり。
「お、お家の裏にバトルコート……。しかもプライベートビーチ? なんじゃね……」
「ポケモンと一緒にいれば、誰もがポケモントレーナー! わたしたちポケモントレーナーは、ポケモンを戦わせて強くするんだよ! ヨーコ、準備はいい?」
「あ、うん、いつでも大丈夫!」
「やった! 待ってました! 今回のわたしのポケモンは……」
そこで、クラベル&ニャオハがやってくる。
「ネモさん」
「あ、クラベル先生」
「ヨーコさんはポケモン勝負をしたことがあるとはいえ、初心者! ですからね」
「アハハ……。うっかりいつものポケモン、くりだりしゃうところでした」
たは~、なネモ。すぐに気を取り直し、
「ええと、それなら……、ホゲータの修行がてら!」
「じゃ、うちも今回はわっぷるさんだけで!」
コートに立つふたり。ぴっかりさんはサイドでクラベルとともに見守る。
「ヨーコ! 実りある勝負をしよっ!」
さっそくみずでっぽうとひのこのぶつかり合い! 競り勝って効果抜群!
「みずはほのおに強い! そうそう、予習はばっちりだね!」
「訳あって勉強したけえね!」
ホゲータ、にらみつけるでわっぷるさんのうごきをとめ、たいあたり。
ホゲータから再びたいあたりを受けたところで、わっぷるさんいなしてはたき、ふらついたところにホゲータにみずでっぽう! 勝利!
「へぇー、きみ、やるね! スター団を追い払っただけはあるよ! 絶対もっと強くなる!」
「えへへ、ありがとうございます……」
「じゃ、違う戦法も試したいし、もっかい勝負しよーっ!」
「え」
固まるヨーコ。咳払いで止めるクラベル。
「コホン! ヨーコさんもクワッスさんも疲れておいでですよ」
それからわっぷるさんとホゲータを回復してくれる。
「あ、すみません、興奮しちゃってついつい……。ごめんねふたりとも」
「ううん。ぴっかりさんもおるし、またやろう」
「ピッチュ!」
「ワープル!」
コテンパンにしてやるからね! なぴっかりさん。素直にうなずくわっぷるさん。
「えへへ……、ありがと、ヨーコ、ぴっかりさん、わっぷるさん」
ネモ嬉しげ。クラベルも微笑んで、
「この前出会ったばかりなのに、もう仲良しさんですね。チャンピオンとして、色々教えてあげてください」
「はーい! あ、そうだ。ヨーコ、スマホロトム持ってる?」
「うん。ついさっきお父さんからもろうたばかりじゃけど」
ヨーコ、言いながらスマホロトム取り出す。
「なら、あのアプリいれなきゃね! ちょっといじらせてね」
「うん」
「これをこうして、と」
画面を操作するネモ。少しして、
「はい!」
ヨーコが画面を見ると、ポケモン図鑑がインストールされていた!
「おお、噂のポケモン図鑑!」
「そ! ポケモントレーナーなら要チェック! 担任のジニア先生が作った、すごいアプリなんだー!」
「私の時代は、図鑑と言えばノートに手書きでしたから、本当に頼もしい世の中です」
クラベルしみじみ。ヨーコはうなずき、ネモはびっくり。
「おじいちゃんとおばあちゃんも言うとりました」
「図鑑を手書きって大変すぎっ! 想像も出来ないですよ!」
「フフ、そうでしょうね……。しかし時代は変われど、ポケモンと出会う素晴らしさはいつの世でも色あせません。出会いの数だけ、あなたたちに大きな成長をもたらすでしょう」
「「はい!」」
ヨーコとネモ、元気なお返事。ぴっかりさん達もこっくりうなずく。
「では、私はネモさんのご家族とお話がありますので、ネモさんにはヨーコさんをアカデミーまでご案内してくださると助かるのですが……」
「もっちろん! まかせてください!」
「お願いしまーす」
「ピーチュ」「クワプル」
「頼りにしていますよ」
ということでネモと一緒に登校することに。すると、
「ヨーコちゃん」
道の向こうからすずが駆け寄ってきた。
「お母さん」
「そちらは?」
「生徒会長のネモさん。さっそく友達になったんじゃ!」
「ネモです」
「初めまして、北條すずです」
ネモ、すずの右手に気付き思わず、
「あ、右手……」
「ああ、ちいとね」
「すみません!」
素直に謝るネモ。すず笑って、
「ええよ、気にせんで」
ヨーコ、ぴっかりさん&わっぷるさん共々首をかしげて、
「お母さんどしたん?」
「ごめんね、おこづかいとお弁当のサンドウィッチと、おやつ渡すの忘れとったんよ」
おこづかいとサンドウィッチの包み、『クスノキ饅頭』とかかれた箱を手渡すすず。
「やった! あ、クスノキ饅頭じゃ!」
「今日から寮生活じゃけ、しっかりご飯たべるんよ」
「うん」
「あとこれ、径子お母さんたちから」
キズぐすりとモンスターボールの包みを渡すすず。
「ぴっかりさん達が傷付いたら使うてあげるんよ。ボールは、にいな仲間に出会うた時にね」
「うん!」
「……これから自分家(がた)離れて、初めてづくしの毎日が始まるけえね、楽しいこともたいぎ(大変)なこともいっぱい経験してきんさい。
じゃけどいつだって帰ってきてお休みしてもええんよ。あんたとあんたの相棒達の居場所は、いつだってここじゃ」
「……うん!」
「ほいじゃあ、みんな気を付けてね」
「はーい!」「ピーチュ!」「プルップス!」
歩き始めるヨーコとネモ。コサジの小道に入ると、ぴっかりさんがきのみを拾ってくれたりする。
「ヨーコのお母さま、優しくていいね」
「えへへ、ほうじゃろ」
と、野生のグルトンが歩いてきた。
「あ、あそこに野生のグルトンが!」
ヨーコ、さっそく図鑑で確認。ネモ、説明してくれる。
「町と違って、道や草むらには野生のポケモンがいるんだ! 近付くと戦うことになるけど、相棒がいるなら大丈夫!」
そしてポケモンゲットの方法を見せてもらうことに。パモを出して電気ショックを浴びせ、
「ポケモンを弱らせて、投げる!」
ボールを投げる! が、失敗……。逃げていくグルトン。
※ネモのサポーターの話もここで。
「あ、あの灯台は?」
しょんもりしているネモ気をそらすため、灯台を指差すヨーコ。
「コサジの灯台! あそこからアカデミーが見えるんだよ! ひとまずそこを目指そうか」
ポケモンを観察したりきのみを拾いながら歩いていくと、突然、
「グギャォォォ!!」
どこからともなく謎の咆哮が。
「何!? 今の……!?」
「ポケモンの声、かね……?」
みんなでキョロキョロしている間にも聞こえる。
「オオオ……」
「でも知らない鳴き声! 強いポケモンいたりして! ヨーコ、声の出どころを探してみよっ!」
「うん!」
「このへん、危ない洞窟もあるから、そこには行かないように! スマホロトムの安全機能があるけど、崖には気を付けてね!」
あちこち探すもよくわからない。そして残った場所である灯台近くの崖にそっと近付くと(ぴっかりさん&わっぷるさん、ヨーコの肩に乗る)、謎のポケモンが倒れている。
弱っているのかデルビル達に吠えられている。
「アギャアアアアオ!!」
ようやく立ち上がり、威嚇する謎ポケモン。辺り一帯が震え、
「え、ちょ、ええええええ!?」
「ピーチュー!?」「ワプー!?」
崖から落っこちるヨーコとぴっかりさん&わっぷるさん!
*
しかしスマホロトムの安全機能で助かる。
ふたりで胸を撫で下ろして見ると、尻尾をまいて逃げるデルビル達。変わらず弱っている謎ポケモン。恐る恐る近付く。
「……グゥゥ」
「……ピーチュ?」
ヨーコの肩から首をかしげるぴっかりさん。わっぷるさんも気遣わしげ。
「……お腹、すいとるんかね?」
迷うことなくサンドウィッチの包みを取り出し、破いて差し出すと、謎ポケモンは匂いを嗅いでヨーコ達を見る。
「……アギャ?」
「……食べる?」
ヨーコの問いに答える代わりに、バクッ……、と一口。そのままガツガツ咀嚼し立つ。
「アギャアス」
「よかった。饅頭は食べんでも大丈夫そうじゃね」
謎ポケモン、どうやら後ろの洞窟を見ているらしい。のそのそ歩いていくと、
「アギャアアアス!!」
一声吠えて体が光る!
「アギャアアアス!!」
四つ足から竜のような姿へ、フォルムが変わる。呆然と眺めるヨーコ達。
ちらりとヨーコ達を見る謎ポケモン。そのまま洞窟へ。
「あ、待って……」
ヨーコの言葉も気にせず、謎ポケモンは洞窟へ。そしてヨーコ達を待っているそぶりを見せる。
ヨーコ、ぴっかりさん&わっぷるさんと顔を見合せ、謎ポケモンについていき、入り江の洞穴へ。
それから謎ポケモン先頭に歩き出すヨーコ。
「おーい! ヨーコー! ぴっかりさーん! わっぷるさーん!」
「ホーゲー!」「パーモー!」
入って少しすると、遥か上の穴からネモとパモ、ホゲータが。
「ネモさーん! ここー!」
「ピーチュー!」「クワープー!」
手を振り上げるヨーコ達。謎ポケモンはいったん止まってくれている。
「いた! ふたりとも大丈夫!? 怪我してない!?」
「スマホロトムさんのおかげでせやぁないよ、大丈夫ー!」
「よかった……。本当に心配した……!」
胸を撫で下ろすネモ。
「わたしが声の出どころ探そうとか言い出したから……。ううん! 今はとにかくこの状況を解決しないと!
どうにか上まで登ってきて! 近くに来てくれたらポケモンの技で引っ張りあげるから!」
「わかったありがとう! 行こう、ぴっかりさん、わっぷるさん」
「ピーチュ」
「クワプル」
ひとまず謎ポケモンについていくことにしたヨーコ達。
「ところで、ヨーコたちの前歩いてるポケモン何!? 強そう!」
上から呼びかけてくるネモ。声が反響するので、普通の大きさでもよく響く。
「うーん、見た目的に、ぴっかりさんと同じでんきタイプかねぇ。あとドラゴンタイプ?」
「っぽいねー。それにヨーコ達のこと気にしてる? ついて来いって言ってるのかなー?」
「みたい……」
話している内に岩を壊す謎ポケモン。デルビルが逃げていく。
「ありゃ!」
「わっ、わーっ! すごいすごい!」
慌てて追いかけると、ヘルガーがじっと見てる。
こっそり駆けていくヨーコ。
でもその先でデルビルがわらわら。謎ポケモンが威嚇し追い払う。
「あ、ありがとうございます……」
「ピ……」「ワプ……」
恐る恐るお辞儀するヨーコ達。
「この洞窟、暴れん坊のデルビル達が棲んでるんだ!」
「うん、気をつけて、歩いとる」
その間にも岩を壊す謎ポケモン。
「岩が壊れちゃった!? すごい破壊力!
なんて技なんだろう!? もっと近くで見せてほしいなー!」
「ネモさんは本当にポケモン勝負が好きなんじゃねえ」
ヨーコ思わず笑う。と、ネモ緊迫した声で、
「あ! 気を付けて! 何か来てるよ……!」
「え……?」
身構えるヨーコ達。
「後ろ! 後ろー!」
振り向いた途端、ヘルガーが立ちはだかる!
ヨーコを守るべく戦闘態勢に入るぴっかりさん&わっぷるさん! でもヘルガーのあまりの気迫に動けない。
そしてヘルガーが襲いかかろうとした刹那、察した謎ポケモンが助けに来てくれる。しかしヘルガーもデルビル達を呼び、囲まれてしまうヨーコ達。
多勢に無勢。雷を出そうとする謎ポケモンだが、ヨーコ達も囲まれてるのを見て即座に駆けつけ、ヨーコを抱き上げる。
「わっ!」「ピッ!」「ワプ!」
「おーい!」
謎ポケモンと見上げると、ネモが手を振っている。いつの間にかネモの真下に来ていたのだ。
「こっち! 急いで!」
謎ポケモン、一気に飛び上がりネモの元へ。思わず拍手を送るネモ。
おろしてもらうと、ネモ大興奮。
「すっごい身のこなし! 危機一髪だったね!」
「本当にありがとう、謎ポケモンさん」
「ピーチュ!」(まぁ感謝してやるわよ!)
「クワプ~」(助かった~)
黙って外に目を向ける謎ポケモン。そして外に出ると、四つ足の姿に戻り倒れてしまった。
「謎ポケモンさん!」
「大丈夫!?」
駆け寄るヨーコ達。
「力を使い果たして疲れちゃったのかな……?」
「うん。ずっとうちらを守ってくれんさっとったし……」
「何だろこのポケモン……。モトトカゲってポケモンに似てるけど」
図鑑でモトトカゲを見るヨーコ。
「ホント、似とりんさる」
「でもこんな姿見たことない。いきなり形が変わったけど、大丈夫……、なのかな?」
「どうじゃろ……、わかんない……」
「ヨーコにもわからないんだ……」
ネモ、ハッとして、
「──っていうか本当、無事でよかった!! にしてもさっきの戦いすごかった。ヘルガー相手に、謎ポケモンと息ピッタリじゃん!」
「え、うちなんもしとらんよ?」
「えー! この子に指示出してなかったの!?」
「うん。まだよせとらん……、うちらの仲間になっとらんし……」
「そう……、まだヨーコのポケモンになったわけじゃないんだ」
と、立ち上がる謎ポケモン。
「謎ポケモンさん」
「あっ、良かった! ちょっと元気出たみたい。さっきの謎の声……、正体はこの子だったのかな」
「うん」
「ギャオス……」
少し動く謎ポケモン。目を輝かせるネモ。
「く~ッ! 見れば見るほど不思議なポケモンだね! ヨーコのポケモンになったら、絶対、勝負させてねっ!」
「う、うん……」(汗)
「そうだ、もしものときのために、連絡先交換しとこっ!」
スマホロトムを出して連絡先交換。互いのスマホロトムが電波をだす。
「はー、こうして色々送るんじゃねえ」
「それと、強いポケモンと戦うための技を覚えさせる道具もあげとくよ!」
スピードスターとかみなりパンチのわざマシンをくれるヨーコ。
「へー」
「わざマシンは一回使うとなくなっちゃうから、注意してね」
「使い捨てCD的な感じなんね」
「大変な目にあったし、ちょっと休憩ー!
灯台にのぼってひと休みだ!」
「うん!」
灯台までてちてち歩く。すると人影が。
みんなで近寄ってみると……。
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