season3 14話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
14.『秘伝スパイス、砂中にあり』
翌日、ペパーの電話を受けロースト砂漠へ再び向かうヨーコ。
砂漠に来ていた人と勝負がてら証言を聞き、その姿に驚愕。転がっている。
「あれが土震のヌシ……、ポケモン、なんかね?」
ミライドンに乗って追いかけてみる。
するとこちらに気付く謎生物。雄叫びも共に地面が揺れる。
「ヴィィール!!!」
「うわわ!」
なんとかバランスを取るヨーコ。同時に、ハイダイに財布を届けに行った時に追いかけてきたヤツだと悟る。
揺れが収まり、前に出るぴっかりさん。
「ウィ・ルドン・ファー!!」
吠えるヌシに電気浴びせてみるが効かず。
「じめんタイプ!? しまった!」
即座にぴっかりさん戻すが襲いかかるヌシ!
かわすも砂に足をとられ転倒。足がつり動けなくなるヨーコ。再び転がってくるヌシ!
わっぷるさんとポンさんが出てきてがっちり防御。わっぷるさんヨーコを抱き上げてくれる。
「ありがとうふたりとも」
と、ここで電話が。
『ハロー、ヨーコ。こちらフトゥーだ』
「博士! 今謎の生物と戦っとって……」
『ミライドンのボールのデータで知っている。あれはテツノワダチ、というポケモンだ』
「テツノワダチ?」
『ああ。本来はパルデアの大穴のポケモン。くれぐれも注意して対処してくれ』
「すでに足つりましたけんども?」
思わずツッコむが電話切れる。
「ごめん、ポンさんよろしく!」
「がおー!」
やるべ! と気合いを入れるポンさん。さっそくツタこんぼうを振り下ろし急所に当てる!!
こうそくスピンで攻撃かつ素早さをあげられるも、ローキックをかます!
逃げていくテツノワダチ。ポンさんとわっぷるさん、ヨーコの足を気遣う。
「少しひきつるけど、痛みはひいたよ」
「バルブ……」
「ぽにおーん……」
無理しないで、と言う感じのふたり。
「ありがとう。そのまま追いかけてくれる?」
「バルッブ!」「ぽにお!」
うなずく二匹。みんなで後を追う。
すると岩の手前で止まり、岩壁を破壊。なにかを食べ始める。
「わっぷるさん、もう大丈夫。休んどって」
わっぷるさんをボールに戻すと、
「ヨーコ!」
ペパーが駆けつける!
「ペパーさん!」
「ヌシ見つけたみたいだな!」
「ほらあれ! 地震を起こしとったんもあのポケモンじゃ!」
ペパー、テツノワダチを見て、
「アイツが土震のヌシ……!? えっと……、アレって……、ポケモンなのか!?」
「みたい……」
「なんか食って一段と元気になってそうだな……」
ペパー、構えて、
「……ヨーコ、踏ん張りどころだぜ!」
「うん!」
「ぽにお!!」
ポンさん続投。ペパー、スコヴィラン。
「この辺で捕まえたスコヴィラン! ピリッとホットに活躍してくれ!」
「よし! ポンさん、テラスタルじゃ!」
「ぽにおー!」
「面影宿して、ポンさん!」
ポンさん、テラスタル! おもかげやどしで素早さアップ!
「すっげえ……」
「ツタこんぼう!」
ツタこんぼう振り下ろす! しかしそこまでダメージはない様子。テツノワダチ、またもやこうそくスピンで素早さを上げるが、スコヴィランがこわいかおでがっくり下げてくれる。
「今度はローキック!」
蹴りをくらわすもようやく体力が半分に削れたくらい。そこをほのおのキバでたたみかけるスコヴィラン。しかしアイアンヘッドで少しピンチ。
ポンさんは体勢を整えツタこんぼう! 急所あててとどめ!
「やった! さすがポンさん!!」
「ぽに~!」
「うっし! ヨーコ、お疲れちゃんだぜ!」
「久しぶりじゃったけど、何とかなって良かったわあ」
「結構キレキレだったじゃねえか。にしてもアイツ! ヌシっていうかマジで何だったんだ!? でもどっかで見たことあるような……」
「うん……」
「ま、それより、ひでんスパイスはこの中にあるはずだ。いつも通り早いとこ調査しちまおうぜ」
「うん」
中に入るふたり。やっぱり暗い。
「どこだどこだー!」
と、黄色に輝くスパイスが!
「わ、まぶしい!」
「やったぜ発見! ひでん・すぱスパイスちゃんだ!」
採取しながら笑うペパー。
「この形! 色ツヤ! すげえまずくて体に良さそー!」
「え、味大丈夫かね」
ヨーコの心配をよそに本を開くペパー。
「なになに、えーと……、滋養強壮! 栄養がいっぱいつまってる! 疲れた心と体によ~く効いて、みるみるうちに回復するんだと!!
さっそく調理開始だー!」
意気込み支度するペパー。
「うおおおおおお! ずりゃ! おりゃー!」
(やっぱしすごい勢い……)
サンドウィッチ完成!
「お待ちどうさん! 食べて健康! ヘルシーサンドおあがりよ! 友情のヌシバッジを見つめながら食ってくれ!」
ポンさん達に先に食べさせ、手を合わせると、
「いただきます!」
「ギャッス」
やっぱり出てきたミライドン。
「あ、ミライドンさん」
ちょーだい、と軽くにらむミライドン。
「グギュ……」
「はい、どうぞ」
「ギャアンス」
ガツガツ食べるミライドン。ペパー、ヨーコにサンドウィッチを渡してくれる。おいしくいただくヨーコ。
「うっ、すいい……! じゃけどまずいどころかさっぱりしとっておいしい~!!」
「マフィティフも、ほら」
マフィティフを出すペパー。かがんでサンドウィッチを食べさせてやる。
あぐあぐとゆっくり、でもこの前よりもしっかり食べるマフィティフ。
「おっ、おっ、おっ! サイコーな食いっぷりだな!」
ペパー嬉しそう。と、ミライドン食べ終わり、
「アギャアス!」
体が一瞬光る。
「ありゃ、また元気なりんさったかね?」
「もともとの身体能力が少しずつ戻ってきてるのか。……でもバトルフォルムに戻れる気配は全然しねえな」
「アギャス……」
考え込むペパー。しょんぼりなミライドン。
「なしてじゃろうねえ」
「体は元気そうだけど、なんか精神的な理由で本来の姿に戻れないのかな?」
「それって、心の傷、とか……?」
「ああ。トラウマとも言うんだっけかな。どっかの本で読んだんだけど、戦いで怖い体験をしたから、戦うのが怖くなったのかも……?」
「ああ、それはあるかも……」
ヨーコ、昔を思い出して静かにうなずく。
「そうか……」
うなずき、気を取り直すペパー。
「……ま! ソイツもマフィティフもいつか完全回復すんだろ! スパイスの効果、マフィティフはどうだ……!?」
「……ワフン」
マフィティフ、小さく鳴く。でも動かない。
「あ、ごめんごめん。毎回ちゃんと治るとは限らないよなー」
肩を落とすペパー。
「効果がすぐ出るってワケでもないし」
「バウフ……」
ごめん、と言ってるようなマフィティフ。明るくうなずくペパー。
「大丈夫だ! 安心しろ! オレとヨーコが絶対元気にしてやるからな! 何よりヨーコにゃ最強の味方がついてるんだ! な?」
ぴっかりさん達に目配せするペパー。それぞれの鳴き声で答えるぴっかりさん達。
「残りの1つが最高のスパイスに決まってる! きっと……、うん、きっと、そうだ!」
己に言い聞かせるようなペパー。
「ペパーさん……」
「ヨーコ! スパイス探しの旅も次でラストだ! 気合い入れて探すぞ!」
「「エイエイオー!」」
勝鬨を上げるふたり。マフィティフに優しく語りかけるミライドンとぴっかりさん&わっぷるさん。そしてポンさん。
「アギャ!」
「ピカチュ」「ワプ」「ぽに」
「バフ……」
静かに答えるマフィティフ。
*
ペパーと別れ砂漠を進んでいると、電話が。
「ヨーコです」
『ハロー、ヨーコ。こちらフトゥー。ミライドンがまたひとつ、本来の力を取り戻したようだな。ライド状態でジャンプすると、滑空が出来るようになった』
「滑空……!」
目を輝かせるヨーコ。
『これからもミライドンをよろしく頼んだよ』
電話切れる。さっそくぴっかりさんわっぷるさんポンさんを乗せ、滑空でマリナードタウンに着地! みんなで笑い合う。