(R-15)【ゴスレ二次創作】Seeing same things, doing same things, becoming one
ふたりで同じことは出来なかった。
だが、ふたりで同じものはずいぶんと見た。
前世では、それだけでも幸福だった。
夫婦揃って休みの日の、前日の夜。
夕方から降っている冬の雨が、寝室の窓を叩いている。
そんな中、フローは充分過ぎるほど温いベッドの上、一糸纏わぬ姿で夫と──グレイと抱き合っていた。
「フロー」
と低い声で名前を呼ばれ、フローは顔を上げた。
喘ぎながらも、柔らかい笑みを浮かべている愛しい夫の顔がそこにある。フローは自分から、彼に口付けた。
今世では、自分は大分欲張りになってしまった、とフローは思う。
グレイ──前世の記憶を持ったまま同じ時代に生まれ変わって再会し、今度こそ生涯の伴侶となった人──と同じことが出来るようになったばかりか、こうして繋がることが出来るようになったからだ。
だけど。
「ねえ、グレイ……」
舌を絡め合った後で、フローは呼び掛けた。声も熱を帯びているのが、自分でもわかる。
グレイは動きを止め、フローをしっかりと見た。
フローもグレイと目を合わせ、夫の手を取って頬に当てながら、しっかりと伝える。
「私、幸福です。身に余るくらい」
重なっている肌が、ひとつになっている箇所が熱い。
今世くらい欲張ってもいいのだと、あなたが教えてくれたから。そんなオマエも悪くないと、あなたが伝えてくれたから。
「私あなたのお陰で、こんなにも熱くて温かいのよ」
「……オマエな」
グレイがため息まじりにつぶやいた。
かと思うと強く抱きしめ揺さぶってきて、フローも思わず声を上げてグレイを抱き締め返す。
「それはこっちの台詞だ」
静かに囁かれると口で口を塞がれた。同時にグレイの動きが速まって、フローは隙間から息を漏らすことしか出来なくなった。
同じものを見て、同じことをして、ひとつになる。
ここまで苦しくて幸せなことがあるだろうか。
溶かされていく意識の中、フローは再びキスを返してグレイと共に達した。