season3 5話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
5.『頂きに咲く沢瀉』
勝利の報告にジムに戻ると、
「ジムリーダーに勝利、おめでとうございます」
オモダカに声をかけられる。
「チリからユニークなトレーナーがいらっしゃるとお聞きしていましたの。……やはり、貴方でしたか」
「はあ、ありがとうございます」
「先ほどの試合、拝見しましたが、とてもファンタスティックな実力の持ち主です……!
その調子でチャンピオンランクへとコマを進められましたら、近い将来、ぜひとも貴方をポケモンリーグへとスカウトさせ……」
「ヨーコ! 戦うポケモン決めたよー!」
ネモ乱入。
「ネモさん!」
「ジムの勝負も見てた! まーた強くなっちゃって!」
「いやいやそれほどでも……」
「チャンピオン・ネモ、お久しぶりですね」
「えっ! なんでトップがヨーコと一緒に……!?」
びっくりなネモ。
「え、トップって……」
「あれ!? ちゃんとは説明してなかったっけ!?」
「うん、まぁ」
「この人はねー、みんなが憧れるチャンピオンランクのさらに頂点……、トップチャンピオンのオモダカさんなんだよ!」
「ポケモンリーグ委員長と兼務でやらせていただいてます」
「正真正銘すごい人!!」
ヨーコ、ガビーンΣ(゚Д゚)
「ジムの視察できないほど忙しいんじゃなかったでしたっけ!」
「こちらは別件です。この度は有望な人材をヘッドハンティングに参りましたので」
「え! ヨーコ、もう有名人なの!?」
ネモに言われ、ヨーコ恥ずかしそうに、
「お父さんのことも知っとりんさったし」
「あ、リーグで働いてるって言ってたもんねー。
って! ヨーコはわたしが最初に目をつけたんですから、トップでも横取りダメです!」
「フフ……、大人気ですね」
「あはは……」
ヨーコ苦笑い。
「そうだヨーコ! 約束のポケモン勝負しよっ!」
「え、あの」
「早く早く! 外行くよー!」
「お待ちください」
止めるオモダカ。
「え! なんですか!」
思わずキッ! なネモ。
「その試合、私もぜひ見学させていただきたく思いまして」
「あはは、わたしは全然いいですよ! ヨーコもいいよね?」
「うん。ちょっと緊張するけど大丈夫。あと回復……」
「感謝いたします。おふたりの攻防、楽しみです」
優雅な仕草で先頭に立つ。
「それでは、参りましょうか」
(ヒナじろうに頑張ってもらうか……)
ということで外へ。
*
「ヨーコにもっかい説明! いろんなジムをめぐってバッジを集めていくと、ポケモントレーナーの最高峰に挑戦することが出来るんだ!」
「ええ、ポケモンリーグですね。ご存知かとは思いますが、テーブルシティの北西に位置しております。
最強の称号、チャンピオンランクのトレーナーが新たに生まれる場所。それがすなわちポケモンリーグ」
「ジムバッジを8つ手に入れたら試験を受けることが出来て、最強の試験官と戦って勝てば、チャンピオンになれるんだよ!」
「なるほど」
「その時の気持ちになって、今からイメージトレーニング! 最高の舞台目指していざ、勝負……」
「あら? お待ちください」
ヨーコに近づくオモダカ。
「ヨーコさんのポケモンは、少しお疲れのようですよ」
体力とか回復してくれた。
「ありがとうございます。助かりました」
「ごめーん! 早く戦りたくて配慮足りてなかったです……」
(よかった、タイミング掴めんかった)
「トップのおかげで準備万端だね! 気を取り直して! ヨーコ! 今回も実りある勝負にしよっ!」
「うん!」
位置について、勝負開始!
ルカルガン、ゴンさん。
「トップの前だからって、緊張しないでリラックスだよ!」
「う、うん!」
かみつくをくらうも、ほしがるで腹パン&軽く吹っ飛ばす。
「わあ、なかなかやるね! でも……!」
再びかみつかれるが、受け身をとってのしかかり。しかしアクセルロックを飛ばされる。
怯まずのしかかり、そこを再度かみつかれ大ピンチ。でもそのまま体重かけのしかかりでとどめ。
「ありがとうゴンさん」
次、ヌメラ、まんじゅう。
「特性、どっちかな?」
みずのはどう、まんじゅうには効果なし。
「はずれでした」
「やられた!」
「ほいじゃくらえ、毒攻撃!」
どくどくで毒をあびせる。構わずりゅうのはどう。
「またまた毒攻撃!」
どくづき&毒がすすんでヌメラ倒れる。
次、パモット。でんこうせっか&つっぱり!
「間合いにはいった! じだんだ!」
しかし巻き込んで倒す!
「いいのもらっちゃった! 技の威力も冴えてる!」
「林間学校で鍛えられたけえね」
最後、ラウドボーン、わっぷるさん。
「アハハ! トップ見てますか!? わたし追い込まれてるでしょ!」
楽しそうなネモ。
「わっぷるさん、またまたテラスタルじゃ!
えっとそばえて、わっぷるさん!」
わっぷるさんテラスタル!
「テラスタルするなら今! トップの目も輝かせちゃう!」
ネモもテラスタル!
ローキック行くが、器用にかわされ少しバランスを崩し、したでなめる攻撃でまひ状態に。
「いくよ、とっておき! しっかり耐えてみせてよね!」
フレアソング! 効果今一つでも結構効く。
「気を取り直してお返しじゃ! アクアステップ!」
バークアウトをくらい体のしびれがまわるも、耐え抜いて効果抜群により勝利!
「ヨーコのこと、もっと注目されちゃうね」
「いやいや、ネモさんも相変わらず強いわー」
オモダカが拍手で褒め称える。
「チャンピオン・ネモ相手にここまでの戦いぶり……。見事な試合、楽しませていただきました」
「トップさえ認めるポテンシャル、すごすぎっ! わたしもうかうかしてられないよ!」
「ありがとうございます」
ヨーコが会釈すると、ぴっかりさんが出てくる。元気になったらしく、
「ピッカチュウ!」
あたしも忘れんじゃないわよ! とどや顔。
「あ、ぴっかりさんもう大丈夫そう?」
「ピカピカ!」
「ぴっかりさん! いたんだ」
「久しぶりのパルデアごはん、食べ過ぎてダウンしてしもうたんよね」
ぴっかりさんから軽くどつかれる。余計なことは言わんでよろしいといった感じ。
ネモとオモダカ笑う。
「初めて会った時からなんとなくわかってたけど……、ヨーコなら、絶対チャンピオンランクになる。残りのジムも、絶対ぜーったい大丈夫だから!」
「私もそう思います。未来への投資として、こちらを受け取ってください」
テラバーストのわざマシンもらう。
「テラバースト……!」
「テラスタル状態で放てば、そのタイプに応じて技のタイプも変化します」
そしてにっこり笑い、
「こんな時間ですし、学校までお送りしましょうか」
「「ありがとうございまーす!」」
一緒にタクシーで。授業とか林間学校とか話す。
学校に着くと、
「ヨーコとなら、いずれ最高の勝負ができる……! わたしも、もっともーっと頑張るね! お休み!」
先に戻るネモ。
「うん、お休み!」
見送るヨーコ。
「友情……、応援……。それとも、期待でしょうか?」
少しだけ寂しげなオモダカ。すぐにヨーコに笑いかけ、
「いえ……、きっと彼女は確信しているのでしょうね」
「?」
「それではごきげんよう。お父さまにもよろしくお伝えください」
「はい、ありがとうございました」
オモダカを見送るヨーコ。
*
翌日、後期の授業がスタート。
午前いっぱい受けて学生食堂でお昼食べに行く(最後はバトル学のおまかせバトルの話。原作ゲームの4を受ける)。
メニューを見ているとキッチンの方にタイム先生が。
「タイム先生?」
「ヨーコさん!? ああ驚いた!」
「先生もお食事ですか? それともお料理?」
「いいえいいえ、違うのよー! さっきエントランスを歩いてたらね、例のドキドキ熱視線、感じちゃったのよ! それでとっさに近くの食堂に駆け込んだの。ここって、出入口ひとつでしょ?
だから、視線の人が追いかけてきたら、正体がわかると思ったの!」
「なるほど」
と、何かに気付くタイム先生。
「あ! 誰か来たわ!」
こっそり見守っていると、ひとりの女生徒が。
「……おかしいな? ここに入ったと思ったのに。今日もあのこと、質問できなかった……」
何やら独り言を言っている。
「あの女性……、何度か見たことあるような……。
学校の生徒みたいだけど、勉強の質問じゃなさそうね……?」
「……ですね」
「今度見かけたらこっちからいっちゃうわ!
ひとりじゃ怖かったから、一緒にいてくれてありがとう」
「いえいえ」
その後お昼食べて、晴美にそなえるピーナッツバターサンドを持ってお墓に行くとオモダカとばったり。
理事長であることを聞いてびっくりしつつも、リーグ近くのバラトでのお茶にさそわれ、レモンジェラートをいただきつつ色々話す。ぴっかりさん達も紹介したり、家族のこともあれこれ。オモダカからはアオキと周作が仲良くなったことを。
「失礼ですが、確かお父さま、北條さん達は実のご家族ではないそうですね」
「え、知っとったんですか?」
「アカデミー理事長として、生徒の家庭環境を把握するのは当然ですから」
舌を巻くヨーコ。すぐにうなずく。
「そん通りです。お父ちゃんとお母ちゃん……、本当の両親はクスノキの事件で亡くなりんさって、色々あって今の両親と出会ってパルデアに来ました。その後もあれこれあったけど、お陰で今はとっても幸せです。相棒達もおるし」
黙って聞くオモダカ。優しい眼差し。
その後ネモ達から声をかけられ、生物学の宿題の進化方法のノートまとめを、進化したい相棒達がいるメンバーと共にグラウンドですることに。オモダカも立ち合う。そこでオコリザルの進化を試す。見事にコノヨザルに進化。みんなでお祝い。オモダカも満足げにリーグへと戻る。