season6 15話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
15.『告解、決戦前夜』
「スグリさん」
足元のぴっかりさん、黙ってにらむ。
「ヨーコにしてはちょっと遅いよな。……四天王倒すの」
「ほうかね、ごめんねえ」
ヨーコ、あえて笑って詫びる。
「スグリよう」
カキツバタ牽制。
「よっぽど、ヨーコが気になるんでやんすねぃ?」
笑いの中に若干の煽り。
「……カキツバタこそ」
スグリにらみ返す。
「やけにヨーコに肩入れしてるんだな」
「新入生には優しくしないと! 人類みなキョーダイよ?」
「……よく言う」
スグリ、ため息まじり。
「何考えてるのか知らないけど、それももう終わりだ」
スグリ、ヨーコに、
「ヨーコ」
ヨーコ、スグリを見る。
「どっちが強いのか決着つけよう。日時は明日の午後2時。遅れたり逃げたりするなよ」
冷たい目。しかしヨーコ、キッ、と見返す。
「……もちろん」
納得したらしく、スグリ去る。
「いよいよだな……。オイラも楽しみだ」
「んもう、他人事みたあに!」
思わず愚痴るヨーコ。
「へっへっへ、悪い悪い」
軽く笑うカキツバタ。
「頂上決戦はエントランスの受付から申請すりゃあいいのよ」
カキツバタ、大きく延びをしてから、
「そいじゃ、節供倒しは薬礼になる、だ! オイラも明日エントランスで待ってるぜ」
「はい」
カキツバタと別れるヨーコ。ぴっかりさんがヨーコを見上げる。言葉の意味を調べた後で考えに沈むヨーコ。
その後、サザレと少し話し、久夫、ユリカに会ってブルレクをやりながらこれまた色々話し、久夫の部屋でロトム兄弟に癒されながら、久夫に林間学校での出来事を告白する。
「そんなん誰も悪うないじゃろ。ってか、スグリが勝手にこじらせとるだけじゃろうが」
そう言ってくれる久夫に、それでも何か出来たかもしれない。自分が引き起こしたことだからけじめをつけたいと語るヨーコ。戦う決意を固める。
*
翌日。10分前の午後1時50分。
授業終了と共に受付へ直行。ネモの時とは違い、嫌な緊張感を感じつつも平常心でいるヨーコ。
「すみませーん、あの」
と言いながら受付に向かうと、
「おーす、ヨーコ」
カキツバタがやってきた。
「こんにちはカキツバタさん」
「おうよ」
カキツバタ、受付を見て、
「ブルベリーグの公式試合もこっから申請すんだ」
「北條陽子さんですね。チャンピオン戦の手続きをいたしますので、少々お待ちください」
「お願いします」
奥の部屋へ行く受付さんを見守っていると、
「ヨーコ……、お前さん、スグリとなかよかったんだろぃ?」
カキツバタがおもむろに言ってきた。
「はい」
即答するヨーコ。
「……そうかい」
カキツバタ後ろを向いて、
「ツバっさん的には、あいつ気に食わねえ。以前のスグリは喋んねえわオドオドしてるわ自信ねえわで、すぐゼイユの後ろに隠れてた……」
(散々な言われよう)(汗)
「……でもよ! ポケモン戦わせんのだけは、誰よりも楽しそうだったんだ」
ヨーコ、スグリと出会ったばかりのころを思い出す。
「うん。確かにほうじゃった」
「それが……、いつの間にやら変わっちまって、自分もまわりも責め立てて追い込んでらあ」
顔を上げた仕草のカキツバタ。
「誰かがあいつの目、覚ましてやらないと、よくねえ」
カキツバタ、罰が悪そうにヨーコに振り向く。
「楽すんのが板についちまったオイラにゃできなかったからよ。──キョーダイまかせで悪いな」
「いいえ、こちらこそ。スグリさんときちんと向き合う機会が欲しかったですから」
(誰にも出来なかったのなら、スグリさんのことをあれほど思う人達すら届かなかったのなら)
(うちがやるしかない)
と、
「お待たせしました。手続きが完了しました」
受付さんが戻ってきた。
「ブルベリーグチャンピオン、スグリさんと勝負されますか?」
「──はい!」
深呼吸し、迷いなく言うヨーコ。
「かしこまりました。まもなくチャンピオン戦が始まりますので、ご準備ください」
「……そいじゃ、後たのんだぜ、ヨーコ」
カキツバタ、にっこり笑い、
「オイラ、四天王連中と一緒に応援してっからよ」
「はい」
ヨーコ、うなずきカキツバタを見送る。ディンドンダンドーン♪ 校内放送流れる。
『ブルベリーグよりお知らせです。エントランス、バトルコートにてチャンピオン戦が始まります。チャンピオン戦の観戦希望者は、エントランスロビーに集まってください』
ドンダンドンディーン♪
ヨーコ、相棒達のボールを取り出し、うなずきあってしまう。
と、スグリが姿を表した。
振り向くスグリ、ヨーコをにらむ。
ヨーコ、目をそらさず真剣な顔でコートに向かう。
*
「──待ってたよ」
ボールを手に語りだすスグリ。
「ヨーコを見返したくて、俺、努力したんだ。
吐くほど勉強して、ポケモン強くして、四天王蹴散らして、チャンピオンになって……」
心配そうなゼイユとざわつくギャラリー。見守る四天王。ネモの時とは違って緊迫した異質な空気。
「それも全部、全部、全部!!」
スグリ、ボールを握りしめ、ヨーコに向ける。
「今ここで、ヨーコに勝つため!!」
ヨーコ、身構える。スグリ、一層眼光が鋭くなる。吠えてニョロトノ&カイリュー繰り出す!
「俺は間違ってない……。答え合わせさせてもらう!」
ヨーコ、黙ってぴっかりさんとちっちらさん出す!
勝負、開始──