season8 17話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
17.『かわいいもの好き、弟子入り志願』
カキツバタと勝負して勝つヨーコ。
「キョーダイとやらねえと発散できなくなっちまった」
部室に戻ってくると、
「グレープアカデミー美術担当……、ポケモンリーグ四天王、ハッサクです」
ハッサクがやってきた。
「ブルーベリー学園のみなさん、よろしくお願いしますですよ」
「ハッサク先生ー!」
「なんと、ヨーコくんが小生を呼んでくれたのですね。と……」
ハッサク、カキツバタを見つける。
「カキツバタくんではないですか。こちらに通われていたのですね」
「げっ! ハッサクの旦那……!?」
慌ててヨーコの後ろに隠れるカキツバタ。美術部メンツとアカマツ&ネリネ、きょとん。タロ、クスクス。
「おじいさま……、シャガさんから聞きましたよ? なんでも留年しているとか?」
「あのジジイ、んなことまでペラペラと……」
こっそり毒づくが、気を取り直したように(ただし、まだヨーコの後ろに隠れている)、
「なあに、留年したってなるようになる!」
お目々、ムダにキラキラ。
「ときには回り道して、ゆっくり歩くのも人生だろぃ!?」
ハッサク、ため息。
「……その道を広げるためには、やはり勉強も大事ですね?」
うぐっ、となるカキツバタ。タロ、必死に笑いをこらえてる。
「周囲からの期待にこたえろとは言いません。ご自身があとで後悔することなきよう、学園生活に臨んでくださいね」
「はぁ、わかったって。旦那にはかなわないねぃ……」
しょんもりカキツバタ。
「すごい、あのカキツバタを完封した……」
お目々キラキラのタロ。ネリネも、
「流石パルデア四天王の一角。ネリネたちに出来ないことを平然とやってのける」
「四天王でも最後の壁じゃしね。あと必殺苦労人……」
「な、なぁヨーコ部長? もしかして今回呼んでんの、ハッサクの旦那だけとか言わねえよなぁ?」
「ご心配なく、もう一方呼んでますよ。もう少ししたら来んさってじゃ」
「ホッ、助かった」
こっそり胸を撫で下ろすカキツバタ。
「しかし、少々見ないうちにそのような大役をまかされるお立場に……!」
お目々うるうるしはじめるハッサク。
「しょ、小生……、驚きと感動で感極ま"っで……」
「ハッサク先生!! 泣かんといてつかあさい!」
ハッサク、ぐっ、と唇を噛む。
「……泣いてしまいそうですが、ぐっとこらえますですよ。学園のみなさんに怖がられてしまいますからね」
ホッとするヨーコ。
と、再びドアが開き、姿を表したのは、
「パルデア地方ポケモンリーグより参りました」
非凡サラリーマン兼四天王アオキ。
「アオキです。何とぞよろしくお願いします」
「あ、アオキさんお待ちしてましたです」
アオキ、目をぱちくりさせ、
「……あなたでしたか。よその地方まで人を呼びつける豪胆さ……、誰かの影響を受けてません?」
「ほうですかね?」
「アオキ」
ハッサク、咳払い。アオキ、チラリとハッサクを一瞥しヨーコに、
「いえ、出張は好きなので自分はかまいませんよ。仕事として来ていますが、せっかくなので楽しませてもらいます」
「……イッシュでうまい料理といえば、ビレッジサンド、ヒウンアイスが有名です。あなたはどちらが気になりますか?」
「うーん、どっちもおいしそうじゃけど、やっぱりヒウンアイスですね! あいすくりん好きじゃし、この前食べたけど甘うて冷やくておいしかったし!」
「なるほど、甘いものが好きなんですね。お父さまと似ていらっしゃる」
うなずくアオキ。
「……参考になりました。講義が終わったら腹いっぱい食べてきます」
「お腹冷やさんようお気をつけて」
「心得ています」
と、ハッサク大仰にため息をつき、
「アオキ! あなたはどうしていつもいつも……!!」
「……」
黙りこくるアオキ。
「アオキ! あなた、聞いているのですか!?」
「──正直に言ったら怒りますか?」
「……急に、どうしました?」
虚をつかれるハッサク。咳払いして、
「正直なことはいいことです! 小生の怒りも半減するかもですね」
「さっき寝てました」
「ドラゴーン!!」💢
「ハッサクの旦那の説教をスルーどころか居眠りって何者なんでぃあの人!?」
思わずガクブルなカキツバタ。タロは笑いこらえるのにもう必死。
「ジムリーダーで四天王のアオキさんじゃ」
このやり取りを見たタロはふたりに弟子入り志願。講義後、タロがハッサクとドームで勝負がてら修行する(ヨーコ達も一応いる)。
「ハッコウシティの大型モニターにコルさんが映っていました。友人ががんばっている姿を見るのはとても喜ばしいですね」(フデヤナギからコルサの話をされて)
タロの本格的な勝負修行には、ネリネとフデヤナギがつきそう。この間、カキツバタのおじいさんのことを本人から聞くヨーコ。
「ブルーベリー学園の生徒さんもいい子たちばかりですね。とても教えがいがありますですよ」
その間、ヨーコはアオキをキラキラとした目で見る。
「自分と勝負したい……。そんな目をしてますね?」
「はい❤️」(つぶらなひとみ)
「業務外ですが、お相手しましょう」
バトルコート。アカマツとカキツバタが観戦。
「業務時間内であれば最後まで対応いたします」
「普通でいいんです。ノーマルにいきましょう」
ヨーコ勝利。
「腹いっぱいです」
*
「……お疲れ様でした。あなたという人はますます強くなりますね」
それからタロ達もコートにやってきた。ハッサクとヨーコとの勝負を見て学ぶことにしたタロ。
「ではヨーコくん、もしよろしかったら小生とひと勝負しませんか?」
「やりましょう!」
「ヨーコくんの強さ、どれほどか教えてもらいましょう」
「わたしも勉強させていただきます!」
ということでバトルコート! なおカキツバタは無理矢理タロからつれてこられてげっそり(講義後医務室に逃げてた)。
「何ごとも最後が肝心です。画竜点睛といきましょうか」
「竜の冠を頂きましょう。あなたの色で染めあげなさい!」
「背中から失礼しますですよ!」
ハッサク、キリッ!!
「セグレイブ、きょけんとつげき!」
かち合ってヨーコ、勝利!
「ドラゴーン!!」
悔しそうな嬉しそうなハッサク。タロ達拍手喝采。
*
「……リーグで相対したとき、あなたの強さはまだ道半ば、未完成の強さを秘めていました」
ハッサクうるうる。
「それが今では、こんなにも……、揺るぎない……。小生、感極ま"っで……、うぼぉおおい、おいおいおい!!」
大泣き。みんなぱちくり。ヨーコ苦笑。カキツバタやれやれ顔。
「ハッサクさん」
アオキに言われ、慌てて涙をふき、
「これからも驕らず自由に、その道をつき進んでください」
「はい!」
「見る度に成長するあなたを見ているとつい……、目頭がうるんでしまいますね」
また泣きそうになるハッサク。あわててとめるヨーコたち。