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season9 2話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
2.『拝啓、北條陽子さま』
2日後、メロコ達の追試合格の知らせを受けてほっと一安心なヨーコ。
のんびりパルデア中をミライドンで飛び、テーブルシティのレストランで、ブルベリで出会った相棒達にパルデア飯をおごっていると、ペパーから電話が。
『もしもしヨーコ!』
「ありゃペパーさん!」
「ピカピカ!」
ぴっかりさんも反応。
『よう! ペパーだぜ! 聞いたぞオマエー! 林間学校の次は交換留学で大冒険! ……だったんだろ!?』
「うん! 色々すごかった~」
『へぇー、いいなー! オレも一緒に行きたかったぜ! っつーか、ヨーコって転入してきていきなりいろんなこと起きすぎだよな。最近忙しそうだったけど、だいぶ落ち着いたのか?』
「うん。ほいで今パルデアに帰ってきとるんよ」
『そっか。もし時間あったらさ、あー、よかったらでいいんだけど……、オマエん家……、遊びにいってもいいか?』
「うん。ええけど、どしたん?」
『いや、深い意味はないって! 刈谷のおばちゃん家にはよく行ってんだけど、オマエん家には行ったことなかったからさ。それに親友だったら、おたがいの家に遊びにいくもんなんだろ?』
「ほうよ。もちろんええよ」
『マジか! やった! 速攻おいでちゃんうれしいぜ! じゃ決まりな! ヨーコの家、コサジタウンの上の方だったよな』
「うん。庭に畑あるけえすぐわかるよ。わからんかったら刈谷さんが教えてくれるし」
『わかった。家の前まで行くからよ。あとで落ち合おうぜ!』
電話切れる。ぴっかりさんとうなずき合い、ヨーコ、すずに電話してから向かう。
家の前に来てみると、ペパーだけでなくネモとボタンも来ていた。
「ヨーコだ! ぴっかりさんも! おーい!」
ネモが手を振る。
「ネモさん! ボタンさんも!」
「ピカピカー!!」
駆け寄るヨーコと手を降るぴっかりさん。
「えへへ、来ちゃった!」
「うーっす」
「みなおりんさる! どうしたん?」
ペパー悲しげに、
「ヨーコ……、すまん! 遊びにいく電話してたの、コイツらに聞かれちまって……」
「いや、ペパーだけお宅訪問とかありえんし」
「みんな一緒の方が楽しいよ!」
「つっても、あんま大勢で押しかけても迷惑だろ!」
「大丈夫、気にせんで」
「ヨーコがいいならいいけどよ……」
ペパー、少し悔しげ。それを見たぴっかりさん、ちょっとしかめ面(何抜け駆けしようとしたんじゃ)。
しかしすぐにキッ、と顔を上げ、
「いいかオマエら! くれぐれもヨーコのご家族に迷惑かけんなよ!」
「はーい!」
「誰目線かわからんけど、いいよ」
みんなで家に入る。お昼時だったのでごちそうを用意してくれていたすず。
「ちょうどよかった。簡単なもんじゃけど、えっと作ったんよ」
ラインナップは庭でとれた野菜をたっぷり使ったサラダうどんと醤油であぶった焼きとうもろこし&塩ゆでとうもろこし。みんなでわいわいと食べる。ポケモン達にも同じメニュー。
食器の片付けをしてゆっくりしとけと言われたため、ヨーコの部屋に集まるみんな。
「いきなりおじゃましたのに、ごちそういただいちゃったね!」
ネモ嬉しそう。
「ヨーコの母ちゃんめっちゃ料理上手な!! 道具使ったりポケモンに手伝ってもらってるっつっても、片手であれだけやるんだからすげえよ!」
「ね! ね! 思った! かわいい系美人すぎてビビったし。あと道具作ったおじいちゃんもすごすぎ!」
ペパーとボタンも目を輝かせる。ネモも、
「わたしのこと、おぼえててくれてうれしかったー!」
「ふふ、チャンピオンになって勝負した時から、何度も学校最強大会来てくれとるけえね」
「ピッカチュ!」
ぴっかりさんどや顔。
「そうなんだ!」
「てか、部屋もすげえよな! 寮より開放感ありすぎだ! ──なんかちょっとかわいすぎる気もするけど……」
「ああ、パルデアに来たばっかりのころ、お母さんたちがみなでうちのために色々かわいくしてくれたんよ。最初はここでお父さんたちと寝とったんじゃ」
「ペパー?」
「ちょっとー?」
「ピカピカァ?」
女子3人から詰められ、すぐに謝るペパー。
「そ、そうか。すまん」
「ったく」
ふんすとしながらも、棚の本に目をやるボタン。
「おー、これ、空想科学読本じゃん!」
「楽しゅう勉強できるようにっておじいちゃんがくれんさってじゃ。おじいちゃん科学オタクじゃけ」
「へー、中身気になるー」
「あ、ホシガリスクッション! いいね! もっふもふ!」
「ここに来て初めての誕生日に、径子お母さんから買うてもろうたんよ」
と、すずが上がってきて、
「みなもうお腹いっぱいかね? オヤツでもどうかと思うて」
「食べる! ありがとうお母さん!」
「ピカピ!」
「オヤツ!」
ノリノリのヨーコとぴっかりさんとボタン。ペパーあわあわして、
「いえいえいえ! めっそうもない! おま……、おかまいなくで!!」
「ふふ、そがあにかしこまらんでええよ」
すずにっこり。
「自分家(がた)じゃ思うてくつろいでね」
「は……、はい!」
「ほうじゃヨーコ。封筒届いとったで」
後ろから円太郎もやってきた。
「封筒?」
「ああ。スグリいう人からじゃ。知っとるか?」
「うん! 知っとる知っとる!」
「よおけお友達がおりんさるんじゃね」
すず嬉しそう。
「ほうか。これじゃ」
円太郎も優しくうなずき、封筒を渡す。
「オヤツ持ってくるけえ、楽しみにしとってね」
階段を下りようとするすずにヨーコ、
「あ、うち運ぶよ!」
「お前は封筒の中身確認しときんさい」
「うんうん」
優しくなだめる円太郎とすず。
「それじゃあわたし、お手伝いします!」
「うちも! オヤツ、気になるー!」
ネモとボタン、名乗り出て一緒に下りていく。
「ヨーコの母ちゃんたち、いいな……、いいなー」
しみじみニヤニヤなペパー。
「えへへ、ほうじゃろほうじゃろー」
ヨーコも嬉しい。ぴっかりさんもにんまり。
「ってか血がつながってないとか本当ちゃんかよ? オマエと母ちゃんたちよく似てるじゃん」
「うん、本当」
ヨーコがうなずくと、
「そういや封筒、中、見なくていいのか? じいちゃんから言われてただろ?」
「あ、うん」
ヨーコ、机のペン入れからカッターを取り出しそっと開封。手紙を取り出し読んでみる。
『ヨーコへ
ぴっかりさん達と元気にしていますか?
知っての通り、俺は学園をお休みして、スイリョクタウンに戻っています。一緒にねーちゃんも帰省しています。
大空洞からあんまり会えてないから、もう一度ヨーコに会いたいです。
よかったら、パルデアのお友達も、一緒に一度キタカミの里に来ませんか?
チケットを何枚か入れておきます。ねーちゃんも楽しみに待っています
スグリ』
嬉しくなって微笑むヨーコ。ぴっかりさんもニコニコ。
「ソイツ誰だよ。……友達なのか?」
覗き込みすねるペパー。
「ほうよ。林間学校とブルベリでね、色々あったけど仲良うなったの」
「ふーん……。まぁ、いいけど」
釈然としない様子で腕を組むペパー。
と、階下からネモが、
「ヨーコー! ぴっかりさーん! ペパー! オヤツ思ってたよりすごいのー! 運ぶの大変だから、下で食べようよー!」
「わかったー! 今いくー!」
「ネモの声、でかすぎんだろ」
やれやれペパー。
「しかたねえ、行ってやるか!」
*
オヤツとお茶をみんなでいただく。オヤツはクスノキ饅頭とブドウ、すずとサンが作ってくれたフルーツサンドウィッチだった(ピックはピカチュウのやつ)。
全部食べた後、ソファでくつろぐヨーコ達。ぴっかりさんはペパーとヨーコの間に陣取りごろごろ。
すずとサンは洗い物に取りかかり、円太郎は食器を片付けた後でゴンさん&ヒナじろうと共に腹ごなしに畑の水やりに行く。
「あー、お腹いっぱーい。もう入らーん」
ボタン満足げにため息。たしなめるペパー。
「ごちそうさまでした、だろ!」
「お母さんおばあちゃん、片付けうちらもやるよ」
「洗いもの手伝います!」
立ち上がるヨーコとネモ。
「ふたりともありがとうねえ」
「せやぁないけえ(大丈夫だから)、ゆっくりしとって」
軽く笑うふたり。
「ありがとうございます!」
「たいぎくなったら言うてね」
「さすがネモは思いやりがあるな。それに比べて……」
ペパー、ボタンを軽くにらむ。
「ふぃー? どしたん?」
ボタンきょとん。ペパー、軽くため息をついて、
「ヨーコ、さっきの手紙だけどよ、……キタカミの里、だっけか?」
「うん」
「スグリってのに会いに、また行っちまうのかよ?」
どことなく寂しげなペパー。
「行くよ。じゃけど今度は、みなで一緒に行こう!」
「ん? ヨーコ、どっか行くん?」
「あ、いや……」
少しどもるペパー。
「なに、なにー!? 何の話ー!?」
食いついてくるネモ。
「んーとね」
かくかくしかじか。
「えー! そんなの一緒に行くしかないって!」
大賛成のネモ。
「てらす池も気になるけど、強豪校のチャンピオン! スグリくんにも会いたいなー!」
「『戦りたい』でしょ?」
冷静にツッコむボタン。
「バレたー?」
ネモにっこり。
「なんか、悪いな……。無理やり誘わせたみたいで」
「ううん、ええんよ」
「お友達も一緒に、ってチケットくれたんでしょ!」
ネモが言うと、ボタンにっこりと、
「うちらのことでは?」
「ねー!」
ネモ、ニコニコとうなずく。ボタンしみじみと、
「友達と旅行なんて、……うち、初めて。なんか……、ドキついてきた」
「そういや……、オレもそうかも」
ペパーも顔を上げる。
「そっかそっか! すっごく楽しみだね!」
ネモ立ち上がり、
「旅行すること、お手伝いさんにいちおう言っとこうかな。みんなも準備とかありそうだし、いったん解散して、明日また集合しようよ!」
ペパーも立ち上がり、
「おう! それじゃ……、午前7時、テーブルシティ南門の前で!」
「おけー! じゃ、また明日!」
ボタンも立ち上がる。
「うん!」
「ピカチュウ!」
「「「おじゃましましたー!」」」
帰っていくみんな。見送るとサンが、
「ありゃ、ネモさんたちもう帰りんさったん」
「うん。次の冒険の準備があるけえね」
すずも来て、
「あんたのお友達はみなええ子じゃねえ。お母さんたちまで嬉しくなってじゃ」
「えへへー、ほうじゃろほうじゃろ」
「ピッカピカ!」
ヨーコ&ぴっかりさんどや顔。
「今度はみなで冒険に出かけるんじゃね。ケンカせんで仲良ういってらっしゃい!」
「うん!」「ピカ!」
*
ヨーコ、家と寮を行ったり来たりして準備。それぞれのシーン。ヨーコは家に泊まる。
翌日、南門前。
「おーうい! コッチだコッチ!」
「ヨーコはお菓子何持ってきたー?」
ネモ聞く。
「んーとね、キャラメルじゃろ、チョコレートじゃろ、お好み焼き味のポテチじゃろ……」
と、ボタン誰かと電話で話している。
「だーかーらー! 友達とだって! もう大丈夫だし! 心配とかいらんから!」
みんな顔を見合わせる。
「いやダッハッハじゃなくて! ……過保護、ウザイ!」
ややあって電話切るボタン。
「はー、ドッと疲れた……」
げんなりボタン。
「ボタパパの許可、とれたのか?」
ペパーが聞くと、
「うん……。でも、オヤジ成分とりすぎたん」
「とりすぎていいやつだぜ、……それ!」
ペパーにっこり。ボタンちょっとだけ笑いつつも気まずげに、
「あ、うん……。あー……、そうかもね」
「さて、許可もとれたし! みんな集まったし!」
ネモ、みんなを見回す。
「忘れ物はないかねー!? そしたら出発するよー!」
「「「「おー!」」」」「ピカー!」
それから飛行機に乗ったりバスに乗ったりのシーン。キタカミが見えてくる。