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season9 4話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)

4.『踊るキビキビ、戦うキビキビ』


 一方、外に出たヨーコとぴっかりさんとスグリ。

「ん? ……誰かいる」

 スグリの目線を追うと、向こうにふたりの人影が。

「誰かねえ」
「ピカピカ」

 目をこらすヨーコとぴっかりさん。

「よく見えねえけど、多分りんごさ作ってるご近所さんだ」

 スグリ、判断が早い。

「ネモさんのこと見てねえか聞いてみんべ」
「うん」
「ピカ」

 近づいてみるヨーコ達。
 黙って向かい合っているご近所さんのおじさんおばさん。

「こんばんは! すみません!」

 ヨーコ声をかける。しかし黙ったまま。
ヨーコ達、顔を見合せ、

「あのー! もしもーし!」

 やっぱり黙っている。

「ピカァ……?」

 なにあれ、なぴっかりさん。

「なんか、変だな」

 スグリも首をかしげる。
 と、おばさんが、

「キ……、キ……」

 おじさんも、

「キビ……、キ……、ビ」
「なんですか?」
「キビキビ?」
「ピカピカ?」

 思わず聞くヨーコとスグリ、ぴっかりさん。
 振り向くふたり。目がアレである。

「「キ……、キ……」」

 そして紫のモヤをまといながら、謎の踊りを踊り出す!

「「キビキビー!!」」
「はい!?」
「ピカピ!?」
「わぎゃー!? な……、なんだなんだ!?」
「キビキビー!!」
「キビキビー!!」

 おじさん&おばさん、踊りながらもポケモン繰り出す! おばさんエンニュート、おじさんアリアドス!

「ぴっかりさん!」
「ニョロボン!」

 ヨーコとスグリもポケモンを繰り出す!

「キビキビー!!」

 おじさん踊る!

「い、いきなりわやじゃ! なんで襲ってくるんだ……!?」

 と、エンニュート、あまいかおりを出してくる。

「と、とにかく戦わんと……! ぴっかりさん、あなをほる!」

 あまいかおりが届く前に、ぴっかりさんあなをほる。が、ニョロボンはくらってしまい、回避率ががっくり下がる。
 しかしニョロボン、攻撃にそなえてはらだいこ。アリアドスはネバネバネットを足元に広げる。
 と、ぴっかりさんエンニュートにあなをほる攻撃! 効果抜群でワンパン! ニョロボンも全力アクアブレイクをアリアドスにかましてワンパン!
 と、おばさんウツボット、おじさんヨルノズクを繰り出す。
 ぴっかりさん即座にヨルノズクにかみなりパンチ! ヨルノズク倒れる。

「キビー!?」

 おじさん叫ぶ。

「悪いけど、勝負でおとなしくさせるしかねえべ……」

 覚悟を決めるスグリ。漆黒の意志の瞳。

「ニョロボン、インファイト!」

 全力インファイトをウツボットにぶちかます!
 効果今一つだがワンパン! ウツボット倒れる。勝利!

「キィ……」
「ビィ……」

 肩を落とすおじさんおばさん。糸が切れたように大人しくなる。

「「キ……、ビ、ビ……」」
「ハァ、ハァ……、び……、びっくらこいた」
「うん、本当に……」
「ピカチュ……」
「あの人たちどうしたんだ? 昨日まで普通だったのに……!」

 おののくスグリ。

「何だこれ……、何が起きてんだ!?」
「──もしかしてこれ、ゼイユさんと一緒の、呪い……!?」

 ハッ、とするヨーコ。

「本当だ! これってねーちゃんとそっくり……」

 スグリ、おじさんおばさんを見る。

「この人たちも呪いと関係あんのかも! うぅぅ……、こんなときにネモさんが行方不明なんて……」

 肩を落とすスグリ。が、ヨーコ&ぴっかりさん、向こう側にネモを見つけ息を飲む。

「ネモさん!? おった!!」
「ピカ!」

 が、ネモ振り向くことなく橋を渡っていく。

「あれ、ネモさん……、だったよな?」

 確認するスグリ。

「うん。間違いなくネモさんじゃった」
「なんでキタカミセンターのほうに? ぴっかりさんの言う通りだとしてもおかしい……」

 スグリ、ちょっと考えすぐに、

「……追いかけんべ」
「うん」

 話し合っている間もおじさんとおばさん、相変わらず。

「ビ、ビ……」
「キ……、ビ……」

 村を歩くふたり。みんなキビキビ言いながら変な踊りを踊っている。



 舞出山道をミライドンで登る。ポケモン達には異常はないようだ。
 はたしてキタカミセンターの階段前の広場についてみると、姉弟のおじいさんおばあさんがいた。

「おじいさん、おばあさん!」
「おお、スグリにヨーコさん。ピカチュウさんも」

 おじいさん気づく。

「じーちゃん! ばーちゃん!」

 スグリびっくり。

「なんでここに!? ねーちゃんは大丈夫!? あ、あと女の子見なかった!?」
「どうしたんだ、そんなにあわてて……」

 矢継ぎ早に聞くスグリに困惑しながらも教えてくれるおじいさん。

「ゼイユは踊り疲れたのか、部屋でぐっすり寝ておるよ」
「そっか、よかった……」

 一安心なスグリ。ヨーコも思わず笑顔。

「ゼイユが寝てる間に、あの子が好きな焼きそばを買いにきたんだ」
「あれ、まだお祭りしとるん?」
「今日までキタカミB級グルメまつりやってたんだ」
「ああ。キタカミそばの屋台も出ているから、食べたらもとに戻るかもと思ってな……」
「そっか……。うん。きっとよくなるよ」

 うなずくスグリ。

「ところで……、女の子を見なかった、とは?」
「あ……、そうだった!」

 思い出すスグリ。

「村がなんか変で……、パルデアから来てる女の子もいなくなっちまって!」
「うちらの友達なんです! うちとおんなじ制服着とって、元気そうな子なんじゃけど……」
「おお、そういえば、さっき学生服を着とる、村では見かけんハツラツな子と会ったな」

 おじいさん、おばあさんに、

「ばーさん、さっきの子と何を話しておったんだ?」

 しかしおばあさん、黙ったまま。

「ばーさん?」

 聞き返すおじいさん。おばあさん、どこから取り出して来たのか、

「おモち、ドうゾ」

 見るからにヤバそうなもちをつめたタッパーを差し出す。

「え? あの……、今はもちとかいいから」

 戸惑うおじいさん。しかしおばあさん、壊れたように、

「──おジー、ささん、も、チ、お、もち、た、べ、テテ」
「ばーちゃん?」
「そのおもち、どこから……?」

 スグリとヨーコも首をかしげる。

「いきなりどうしたんだい? まったく……、しかたないのう」

 おじいさんため息をつき、ひとつ取ってパクリ。

「ほら、ばーさん、食べたぞ。これでいいんだろう」

 と、おじいさん、

「ん……?」

 いきなり目を閉じる。そして黙りこくる。

「おじいさん?」
「じーちゃん? ……どうしたの?」

 おじいさん、カッ! と目を見開き、

「キビキビー!!」

 あの踊りを踊り出す!

「えっ!?」
「はっ!?」
「ピカ!?」

 スグリとヨーコ、ぴっかりさん驚愕。

「キビキビー!!」

 おばあさんも踊り出す!

「ええええーっ!?!?」
「ウソぉーっ!?!?」
「ピカピーッ!?!?」

 スグリ&ヨーコ&ぴっかりさんのけぞる。

「キビキビー!!」
「キビキビー!!」

 おじいさんアーボック、おばあさんシャンデラ繰り出す!

「キビキビー!!」
「キビキビー!!」

 戦闘開始!

 *

「じーちゃん! ばーちゃんまで! ど……、どうしちまったの!?」

 と、言いつつもニョロボンを出すスグリ。ヨーコはぴっかりさん。
 アーボックの特性いかくで攻撃力下がる。しかしめげずにぴっかりさんあなをほる、ニョロボンはらだいこ。が、シャンデラ、至近距離で肉薄しエナジーボールをくらわす。倒れるニョロボン。
 アーボックがたたみかけるようにいやなおと攻撃するもそれは当たらなかった。

「どうしてこんなことに……。うぅ……、やるしか、ねえべ……」

 覚悟ガンギマリなスグリ。カミツオロチを繰り出す。特性かんろのみつで相手の回避率が下がる。
 と、ここでぴっかりさんのあなをほる攻撃が炸裂!

「キビー!?」

 おじいさん叫ぶ。アーボック倒れる。
 と、シャンデラ、ねっぷう。ぴっかりさんも大ダメージ、カミツオロチは効果抜群。しかしカミツオロチひるまずにシャンデラにだいちのちから! 効果抜群返す!

「キビー!?」

 叫ぶおばあさん。しかしシャンデラ倒れず。
 おじいさんマタドガスを繰り出す。

「ぴっかりさん、休んどって」

 ヨーコ、ぴっかりさんを休ませる。

「頼んだわっぷるさん!」

 わっぷるさんを繰り出す。

「バルーブ!」

 わっぷるさん華麗に登場!
 と、シャンデラ再びねっぷう。カミツオロチはギリギリかわすも、わっぷるさんはくらう。効果今一つで助かる。
 カミツオロチ、だいちのちからで今度こそシャンデラを仕留める。急所当て&効果抜群で倒れるシャンデラ。マタドガス、ヘドロばくだんをわっぷるさんに当てる。幸い毒状態にならず。
 おばあさんマンムーを出す。しかしわっぷるさんすかさずアクアステップで仕留める。ついでに素早さ上がる。
 カミツオロチ、マタドガスにきまぐレーザー!
 しかしマタドガス倒れず、わっぷるさんにどくどく攻撃。猛毒を浴びるわっぷるさんだが、自力で解毒した。

「わっぷるさん」

 ホッとするヨーコ。わっぷるさんサムズアップ。

「さすがだべ」

 スグリ思わず感心。

「一気に決めるで! アクアステップ!」

 わっぷるさん、戸惑うマタドガスにアクアステップを急所当てで決める! 倒れるマタドガス。

「チ、もち、ヲ、た、べ、ナさい」
「キビキビ……」
「「キィ……、ビ……」」

 大人しくなるおじいさんとおばあさん。

「うぅ……、あぁ……。じーちゃんとばーちゃんまで、おかしく……、なっちまった……」

 弱気になるスグリ。

「スグリさん……」
「きっと、次、俺だ……」

 スグリ、ドシリアスにポツリ。思わず叫ぶ。

「次は俺がおかしくなっちまうんだぁ!!」
「スグリさんしっかり! なんとかするけえ!」

 ヨーコの言葉で正気に戻るスグリ。

「グス……、弱気になってた」

 涙をぬぐって笑う。

「ごめんヨーコ。……ありがとな」
「うん」
「そういえば、じーちゃん、おかしくなる前……、変なもち……」

 スグリが言いかけた時、ヨーコのスマホロトムが鳴る。

「もしもし」
『ヨーコ! そっちは無事か!?』
「ペパーくん!」
「ペパーさん! こっちはなんとか大丈夫じゃ!」
『そっか! よかった……。声聞けて安心したぜ』
電話の向こうで安心したようなペパー。
「ペパーさんたちは!?」
『コッチは大丈夫だ! ボタンがビビり散らかしてっけど!』

 ヨーコ達もホッ、と胸を撫で下ろす。

『全然連絡ねえから外に出てみたんだけど、村中おかしくてよ。キビキビ言うやつらに襲われるし、オマエらはいねえし心配してたんだ。今、オレたちは商店の前にいるんだけど、なん……』
『わっ、わっ!! 何かおる! おるー!!!!』

 ボタンの叫び声が入る!

「ボタンさん!?」

 叫ぶヨーコ。

『ボタ……、うおっ!?』
「どうしたんだ!?」

 スグリも聞く。

『げっ! なんだ!? ……ヤベっ!!!』

 ガタン! ガタタタタ……。
 物音と共に、通話、切れる。

「ペパーさん!? ペパーさん!!」
「おい! おーい!!」

 叫ぶふたり。しかし反応なし。

「ふたりに何かあったんだ……!!」
「うん……!!」

 顔を見合せうなずくふたり。おじいさんとおばあさんを振り向き、

「じーちゃん、ばーちゃん、ここで待っててな」
「ゼ……、グリ……」
「──も、チ、ヲ、た、べ、テテ」

 うめくふたり。スグリ、ヨーコと向き合う。

「ネモさんも気になるけど、今は……、桃沢商店に急ぐべ!」
「うん!」

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