season3 19話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
「よう、ヨーコ。ピカチュウも一緒か」
「ネルケさん?」
「そうだ、今のオレはネルケ。──いや……、お芝居はそろそろ閉幕だな」
フッ、と笑うネルケ。ヨーコを見据え、
「今こそ、ヨーコ達にオレの正体を明かそう」
服バサリ!
「……ハッ!」
現れたのは、
「──クラベル先生……」
「ピカチュ……」
クラベルだった。やっぱり半分、驚き半分のヨーコ。
「今まで身分を偽っていてすみません。じつはネルケは、グレープアカデミー校長……、クラベルだったのです!」
「……ええ、知っとりました」
ややあって冷静にうなずくヨーコ。
「えっ! 校長ショック! 完璧な変装だったはず……!」
残念そうなクラベル。(汗)なヨーコとぴっかりさん。
「……よく考えたら、ネルケ中何度か校長の素がでてたのでしかたありません。しかし驚くべき事実はまだ残っています」
「え?」
「──私こそがスター団マジボス、カシオペアだったのです!!」
「ピカピ!」
「そんな、ありえません!」
思わずツッコむぴっかりさんとヨーコ。
「いやいや、本当ですよ!」
なんだか慌てた様子のクラベル。
「カシオペアとの電話も、あらかじめ録音した音声を、こう……、なんかうまいことやっていたのです!」
「ええ……」
「ピカ……」
(汗)ながらも訝しむヨーコとぴっかりさん。
「さあ、ヨーコさん! マジボスである私と! 最後の決闘を始めましょう!!」
「え、ちょ、先生!?」
戸惑うヨーコをよそに、ヤレユータンを繰り出すクラベル。
「私こそがスター団のカシオペア! さあ大作戦を終わらせましょう!」
何かある。感づいたヨーコ、ぴっかりさんをボールに戻しゴンさんを出す。
ヤレユータン、あくびでねむけを誘う。ゴンさん目をこすりつつもかみくだく。急所に当てる。
向こうはイカサマで攻撃。こちらも急所。でもかみくだくをお返し、倒す。代わりに眠るゴンさん。
2体目、ユキノオー対竈の仮面ポンさん。特性ゆきふらしで雪が降る。こおりの技が強くなると感じ、すみやかにツタこんぼう炎バージョン。
でもオーロラベールでギリギリふせがれウッドハンマー&ふぶきで視界を塞がれる。だが近づいてくる物音に気付きツタこんぼうでワンパン。
3体目、ギャラドス対ぴっかりさん。飛んでくるストーンエッジをかわしかみなりパンチで急所に当てワンパン!
4体目ヘルガー対わっぷるさん。かみなりのキバで効果抜群になるも、アクアステップでとどめ。
5体目ポットデス対ヒナじろう。ルミナコリジョンで特防を下げる。効果抜群のシャドーボールをかわすもふいうちくらう。が、すかさず再びのルミナコリジョンでとどめ。
「フッ。このカシオペアが押されていますか」
静かに笑うクラベル。マスカーニャを繰り出す。こちらはポンさん。
「……しかたありませんね。テラスタルさせていただきます」
マスカーニャ、テラスタル!
「ほいじゃこちらも、特別なテラスタルじゃ!
面影宿して、ポンさん!」
テラスタルして仮面が大きくなる!
マスカーニャ、シャドークローで攻撃。ポンさんじごくづきで急所! が、かみなりパンチを叩き込まれた上、
「ケガをしないよう、離れてくださいね」
マスカーニャ、トリックフラワー!
効果今一つだが、急所にあたってポンさん大ピンチ!
「こっちは火の用心じゃ!」
ポンさん、ツタこんぼうで効果抜群&急所に当てとどめ!
「……強くなりましたね」
うなずくクラベル。
「ありがと、ポンさん」
「ぽに……!」
元の姿に戻り、ボールに戻るポンさん。
「──ヨーコさん」
クラベル、静かに呼びかける。
「宝探しを通して、大きく成長されましたね」
「ありがとうございます」
「すみません……。私がマジボス、カシオペアというのは嘘です。ネルケがクラベルなのは本当なのですが……」
(あ、やっぱし……)
クラベル、横を向いて言いにくそうに、
「──私には、すでにカシオペアが誰か、おおよそ見当がついているのです」
クラベル、ヨーコに顔を向ける。
「だからこそ、あなたと戦わせたくなかった。カシオペアの……、あの子の悲しみを、あなたに──、実のご両親を亡くし、ポケモンに触れることが出来なくなった、そんな辛い目にあったヨーコさんに、背負わせたくなかった」
「先生……」
「──しかし、カシオペアの決意は本物です。一般的な生徒では太刀打ちできないでしょう。
だからこそ、あなたに勝負を挑ませていただきました。勝った方がカシオペアを止めるべきだと、心に決めて……」
クラベル、ヨーコをまっすぐ見る。
「あなたの深い優しさなら、あの子を救えるかもしれません」
居住まいを正すクラベル。
「今から教師として、恥ずかしいお願いをします」
頭を下げる。
「──スター団マジボス、カシオペアに勝ってください!」
「──はい! まかせてつかあさい!」
「ありがとうございます。頼みましたよ……」
ここで初めて、柔らかい笑みを浮かべるクラベル。
と、後ろから、
「コラコラコラ~!」
タイム先生がツカツカやってくる。
「おや? タイム先生」
「おや? ではありませんよ!」
お怒りのタイム先生、クラベルに詰め寄る。
「校内で決闘してるって聞いて来てみれば!! 校長先生みずから生徒に何をしてらっしゃるの!?」
「いえ、あの……、これには悲しい訳が……」
たじたじクラベル。しかしタイム先生バッサリ。
「ワケもタマゲタケもございません!」
「タ、タマゲタケも……!?」
動揺するクラベルだが、
「……コホン」
と咳払いしヨーコに振り向く。
「マジボスとの待ち合わせはグラウンドでしたね。ヨーコさん、カシオペアを……、あの子をよろしくお願いします」
「は、はい」
「反省文書いてもらいますからね! 理事長にも報告します!!」
「そ、それだけは勘弁してください……」
足早に去るタイム先生を追いかけるクラベル。
(タ、タイム先生怖い……)
と(汗)になりつつも寮の部屋に戻り、一旦休みアラームで起きてグラウンドへ。